食べたらおいしいとどんだけ言われても信じられない油麩丼が食べたらおいしい件について

2021.11.05

食べたらおいしいとどんだけ言われても信じられない油麩丼が食べたらおいしい件について
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油麩丼と聞いておいしそうだと思う人はほとんどいない気がする。カツ丼や親子丼の肉の代わりに麩が乗ってる、と言われると、他に食べるものがなく仕方なく作ったんだろうと考えてしまう。
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ところが、おいしいものの宝庫、宮城県でこの油麩丼が愛されているというからよくわからない。発祥の地は、県北部の登米市。現地に行って油麩丼について聞くと「普通に食べます。」と平然と答える。「カツ丼と同じようなもの」って、いや全然違うっしょ。それにお麩は脇役でしょう?「油麩は主役になります。」ってそんなことあるの?
「騙されたと思って食べると意外においしい」と言ってのける人もいる。「油麩どんだけ〜?」とお母さんがIKKOさんの真似をして言うほどおいしいらしい。

実際、登米市を歩いて回ると大衆食堂でも油麩丼を猛プッシュ。老舗ホテルの喫茶スペースでも人気メニューとして推している。登米市を中心に宮城県内には油麩丼を出すお店が50店もあるのだ。

油麩丼を生んだお店、味処もんに行くと実家みたいな雰囲気のお座敷にお客さんが座り、誰も彼もが油麩丼を食べている。そんなにおいしいすか?と聞くと「油麩がメイン!」と胸を張って言う。「普通の麩は柔らかいけど、油麩は揚げてあるのでコクがあるんです。」とおかあさんが先生のように解説してくれた。
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そもそも、麩は知っていても油麩ってどんなものかよく知らない。実物は、フランスパンのような形状。普通のお麩は焼いて作るが、油麩は低温で揚げるので、油を吸収して香ばしさとコクがある。
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登米市には油麩メーカーがなんと8社もあり、全国の95%のシェアを誇る一大生産地なのだ。油麩丼の作り方を見てみると、ほぼカツ丼や親子丼と同じ。油麩をお湯でもどして親子丼用の鍋に入れ、長ネギと椎茸を加えて和風だしで煮立てる。溶き卵を入れてとじればできあがりだ。

そして油麩丼は、お店で出てくるだけでなく、お家でも出てくるメジャーな家庭料理のひとつ。登米市の家族はみんな大好き。

だからスーパーでも売っている。もちろん普通のお麩も普通に売っているが、油麩は独立コーナーで大量販売。お店の人によると、麩の売上の9割が油麩だという。登米市の人びとにとっては、麩といえば油麩なのだろう。油麩丼以外にもいろんな料理に使う。肉じゃがや野菜炒めにも、肉の代わりに油麩を使う。麻婆豆腐ならぬ麻婆麩もポピュラー。そのうえ、グラタンにも入れると言うからほんとにどんだけ〜?
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しかしこの油麩丼はどうやって生まれたのか?味処もんの女将、海老名孝子さんに聞いてみた。「約30年前に、鶏肉の嫌いなお客さんに親子丼の鶏肉の代わりに油麩を使ったのがはじまりです。」それを隣接する旅館のメニューとして、出すようになり、当初は登米市登米町の地名から、とよま丼と呼んでいたそうだ。それがいつしか油麩丼として登米市一帯、やがては宮城県中に広まった。

と、いろいろ知って興味は深まった油麩丼。食べてみたらおいしいらしいが、食べたいかと言われるとうーん、となっちゃう。でも食べたらおいしいんだろうな、うん。旅行もしやすくなってきたので、宮城に行ってみようかな!

【文:境 治】
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