【長野県】「信濃の国」は長野県民なら誰でも歌える県歌!そんなの長野県だけじゃね?

2023.06.13

【長野県】「信濃の国」は長野県民なら誰でも歌える県歌!そんなの長野県だけじゃね?
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あなたは自分の住む都道府県の「県歌」が歌えるだろうか?全県ではないが、43都道府県に「県歌」は存在する。だがおそらく、歌える人はほとんどいないだろう。その前に、聞いたこともないし、存在すら知らないのが普通だ。愛知県民に聞いても、青森県民に聞いても「ええ?!」という反応ばかり。みなさん、そんなものあったのか、と戸惑うばかり。

だが唯一例外なのが、長野県民だ。「信濃の国」という県歌を知らない県民はいないという。長野市へ行き、音楽好きそうだけど県歌なんて聞いても馬鹿にされそうな若者三人連れに「信濃の国」について聞くと「知らないとマズイですね」と即答。「長野県に生まれたからには聴くしかない」「宿命です」とまで言う。歌えますか?と聞くと「さんはい」と掛け声をかけて「♪信濃の国は十州に〜」と若者に似合わない古臭い曲調の県歌を歌い始めた。他の若者たちに聞いても全員知ってるし歌える。歌詞を丸暗記しているのだ。
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だが長野県は広い。端っこの方の人も知っているのか?長野県最南端、信州のネバーランドと呼ばれる根羽村に行き、「信濃の国」について聞くと「知ってる」と言う。「みんな洗脳されて大概の人は覚えてる。」って洗脳とまで言わなくても。

JR長野駅で新幹線が到着すると流れてくるのが「信濃の国」、地元Jリーグチーム、松本山雅FCの試合ではスタジアムの長野県民が「信濃の国」の大合唱で応援、長野駅前の人気ラーメン店では壁に「信濃の国」の歌詞が刻まれた荘重な板が壁に飾られている。
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夜のカラオケスナックに行くとおじさまたちが、チェッカーズの懐かしいナンバーを歌って盛り上がっている。と思ったら次はガラッと変わって「信濃の国」を歌い出した。「同窓会や盆暮に集まった時、最後の締めで歌いましょうとなります」と言うのだけど、それで盛り上がるのがよくわからない。

なぜ長野県民は老いも若きも「信濃の国」を歌えるのか。聞いてみると「小学校の授業でやります」ということらしい。「教養の一部ですね」そんな大袈裟なもんですか?実際に小学校に行ってみると、音楽の時間にみっちり練習していた。さらに体育の時間には「信濃の国」のダンス。社会科の時間では「信濃の国」を使って地理の勉強。長野県の全てが全6番に詰まっているので教科書としてもってこいなのだ。「県歌を知らないと、県のすごさに気づかない」と誇らしげに子どもたちが言う。
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「信濃の国」をみんなが覚えるようになったのは、あるきっかけがあるらしい。信濃教育会の会長・武田育夫さんに聞いてみた。
「江戸時代の長野県は小さな藩に分かれていました。明治になってそれが2つの県に統合されます。北が長野県、南が筑摩県です。」
そして明治9年に2県が併合し、長野県が誕生した。筑摩県の県庁は松本市にあったのが長野県庁に吸収される。
「県の政策が北に厚く南に薄いんじゃないかと、南側の人々に不満がありました。昭和23年に長野市にあった県庁が火災に遭いました。県庁を立て直す議論の中で、燻っていた不満が分県論になり、かなり揉めたようです。」
分県派が優勢となり、また2つの県に分かれることになりかけたその時、傍聴席の県民たちが「♪信濃の国は〜十州に〜」と「信濃の国」を歌い出したのだ。
「議長が何回か静止しても、なかなか合唱は止まなかったそうです。結果として、分県論は成立しなかった。『信濃の国』が長野県が2つに割れるのを守ったわけです」
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なんていい話だろう!目が潤んでしまう感動ストーリーだ。そりゃあ、県歌を大事にしちゃうよね。みなさんも、自分が住む県の県歌を調べて歌えるようになったらどうかな?

【文:境治】
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