蚊取り線香はなぜ渦巻状なのか?藤原竜也も大ファンの「金鳥の夏、日本の夏」!

2018.06.28

テレビCMのあれこれにも迫る『読みテレ』編集部。今回は「金鳥の蚊取り線香」を取り上げてみたい。

金鳥の蚊取り線香といえば、その歴史は古く、商品の発売は1890年(明治23年)にまでさかのぼる。今もテレビCMで使われている「金鳥の夏、日本の夏」というフレーズを聞いたことがない人はいないはずだ。そこで、大日本除虫菊の宣伝部・小林裕一さんにいろいろ聞いてみた。

--初めて知って驚いたんですが、「金鳥」って会社名じゃないんですね。

「あはははは。そうなんですよ。正式な社名は『大日本除虫菊株式会社』です。『金鳥』は弊社の商品のブランド名ですね。ただ、一般的には金鳥のほうが浸透してますので、みんな普通に『金鳥の〇〇です』と自己紹介してますよ」
CMのラストを飾る「KINCHO」の花火。以前は漢字の「金鳥」だった。
--そうなんですね。知らない人、多いんじゃないですか?

「はい、私も就職活動するまで知らなくて驚きましたから(笑)。ついでに言うと、『金鳥の蚊取り線香』も正式な商品名は『金鳥の渦巻』です。当初は棒状のものを『金鳥香(きんちょうこう)』という名で販売していたんですが、これだと細くて折れやすく、使用できる時間も短い。そこで渦巻状にすることで、太くて丈夫で、長時間使え、さらにコンパクトにすることにも成功したんです。それ以降、『金鳥の渦巻』という商品名に。一説には創業社長の奥さんが、ご自宅の庭でとぐろを巻いているヘビを見て思いついた、と言われています」
--へぇ、おもしろい(笑)。歴史ある商品だけに知らないことだらけです。現在のテレビCMは藤原竜也さんが出演されていますが、これはどんな理由ですか?

「藤原さんが弊社の渦巻の大ファンだということを、あるテレビ番組でお話されていて、それを偶然、弊社の社員が観ていたことがきっかけです。香りが大好きだそうで、いつもバッグに入れて、夏だけでなく一年中お使いいただいてるそうなんですね。で、『そんなにお好きでしたら、ぜひ』とお声をかけさせていただきましたら、二つ返事で『OKです』と。2010年の『夏の封を切る篇』で初出演していただいて以来、もう8年のおつき合いになります」

--藤原さんも嬉しかったでしょうね。

「今でも『金鳥の社員の方と話すとテンションが上がる』と言っていただいてます(笑)」

--おもしろい方ですね(笑)。最新作の「ひやむぎ篇」は、どんな狙いで作られたのでしょう?

「一番お伝えしたかったのは、『見た目は似てるけど、弊社の蚊取り線香はひと味違うんだぞ』という点です。弊社の渦巻は原材料にこだわってますから、香りも効果も本当に自信があるんです。ただ、それを直接CMでお伝えするのは難しいですから、『ひやむぎとそうめんも見た目は同じですけど違うでしょう?』と。似てるけど違うものをいろいろ考えまして、最終的にひやむぎとそうめんになりました」

--金鳥の渦巻と言えば、日本の祭りや海辺など、夏をイメージさせるCMが以前は多かった気がしますが。

「そうですね。確かに以前は、“なつかしい日本の夏”をイメージするCMを作っていました。しかし、マットタイプやリキッドタイプの商品が浸透してきた中で、2005年から出演者の衣装も浴衣などではなく洋服にして、全体的なイメージを現代風にしました。藤原さんにご出演いただいている今のCMもその流れを汲んだものです」
石川さゆりさんが出演した『風鈴編』(2003年)。浴衣に風鈴という日本の夏のイメージ。
ちなみに「蚊取り線香が本領を発揮するのは野外です」と小林さん。電気を使わなくてもいいし、火を使うことで高温になるので、薬剤の拡散力が高いのだそうだ。

まさにこれからが渦巻の季節。昔なつかしいだけでない、今の渦巻にぜひ注目してみてほしい。

【文:井出 尚志】
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