「台風から温帯低気圧に変わりました」の言葉で安心するのはまだ早い!?

2021.09.24

「台風から温帯低気圧に変わりました」の言葉で安心するのはまだ早い!?
©ytv
台風14号が、9月17日迷走の果てに福岡県に上陸しました。
ミヤネ屋などでもお伝えしましたが、福岡県に直接上陸するのは、1951年からの統計史上初めてのことで、その後に四国の真上を横断していった進路も珍しいことでした。

台風は平年ですと、25個発生します。ということは、来るか来ないかはまだわかりませんが、発生自体はまだまだありそうです。

これから日本付近が涼しくなってくると、温帯低気圧に変わることが多くなります。
「台風から温帯低気圧に変わりました」と聞くと、もう終わった感がありますが、実はそうではないんです。

台風と温帯低気圧の違いは何でしょうか?

『台風』と『温帯低気圧』の違いとは?

そもそも台風は、熱帯で発生した風の渦。暖かい空気の塊で熱帯低気圧のその風が17メートル以上になると台風になります。
海からの水蒸気が上昇し、雲が発生する時に熱が生まれます。それが台風のエネルギー源となります。

温帯低気圧は、温帯地域で発生する低気圧で、暖かい空気と冷たい空気のぶつかり合いです。
冷たい空気は重い性質があり、暖かい空気の下に潜り込み、暖かい空気は突き上げられて上昇気流となります。
その時にエネルギーが生まれ、気温差が大きいほど、温帯低気圧は発達します。

つまり、秋の冷たい空気がある所に台風のような蒸し暑い空気がくると、温帯低気圧の温度差はかなり大きく、莫大なエネルギーとなるんです。
場合によっては台風以上に発達することもあり、雨風エリアは拡大することもあります。

「台風から温帯低気圧に変わりました」という発表は、単に弱まりましたという意味ではなく、構造が変わるだけで、引き続き、警戒をしなければなりません。
今後の最新の天気予報に注意をしてください。
©ytv
プロフィール
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネットten.」「ウエークアップ」「a-yan」にレギュラー出演中。読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」を執筆。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
この記事を共有する

新着記事

新着記事一覧へ

アクセスランキング