【蓬莱さんの桜中継】 桜前線に異常あり?!

2023.04.11

【蓬莱さんの桜中継】 桜前線に異常あり?!
©ytv
春になると天気予報では晴れ、曇り、雨だけではなく、
もうひとつ皆さんが待ちに待っている大切な情報をお伝えしなければなりません。

それは桜の開花情報です。

気象庁が管理する標本木の状況だけでなく、各名所に問い合わせして何分咲きかをこまめに取材していきます。
これが人海戦術でけっこう大変なのですが・・・。
桜の情報は、現在の情報だけをお伝えするのではなく、前もって開花予想となるものも行います。

その開花予想には計算式があり、2月に入った頃から1ヶ月先の気温を予想し、桜の開花も予想していくのですが、まあ、これがピッタリ当たる・・というわけには、なかなかいかないんです。
今年に限ってはなおのことでした。過去のデータが全然通用しなかったのです。

今年は3月からの気温が全国的に記録的に高く、桜の開花が早まりました。
青森4/7・仙台3/26・新潟3/27・東京3/14・名古屋3/17・大阪3/19
いずれも観測史上最も早い記録です。

このあと、北海道も記録的に早い開花となる見込みで
札幌や函館などゴールデンウィーク前に満開を迎えるでしょう。
提供:蓬莱大介
3月25日 菜の花と桜のコントラストが美しい京都の平野神社
ソメイヨシノと遅咲きの桜が同時に咲いていました。
提供:蓬莱大介
4月6日 京都一遅咲きの名所といわれる仁和寺
お寺の方が、こんなに早い満開は初めてだとおっしゃっていました。
九州と東北で同時開花?!
今年は3/24に鹿児島と福島で同時に開花しました。
東京は3/14にとっくに開花しており、その頃にはすでに散り始めていました。
今年はキレイに桜前線が北上せず、開花にバラつきがでました。
その理由は、桜の開花には休眠打破が必要で、冬の寒さがある程度ないと、春に急に暖かくなっても開花は早まらないからです。
冬に比較的気温の高い鹿児島など九州では、3月に急に暖かくなったとしても平年より2〜4日早い程度でしたが、冬の寒さが十分にあった東京や福島では、寒暖差が大きく平年より10〜14日も早まりました。

これが今年だけでなく、この先も気候変動が続き、偏西風の蛇行が大きくなるとすると、冬は寒波がきて、春に急に暖気が入る傾向で、九州と東北の同時開花ということはあり得るかもしれません。

地球温暖化やヒートアイランド現象が進むと、昔から桜の開花は今年のようなバラつきが出るのではないかと指摘されていました。
それが実際に現実になってきたのかなと感じます。

ちなみに、このまま気候変動が進むと、将来的には鹿児島県や種子島ではソメイヨシノが咲かなくなったり、九州南部や四国南西部では、咲いても満開にならない木もあるのではと予測されています。

ほとんどの人は、桜の開花それ自体で生活に直接大きく影響が出ることはありませんが、気候変動を考える上での資料の1つにはなるのではないでしょうか。
これからも今年のような桜の傾向になるのかどうか注視する必要があるでしょう。

では目先、今年の今後の天気はどうなるのか。
この先、初夏の気温も平年より高めを予想しており、5月は早めの熱中症対策が必要です。また、上空に寒気が流れ込む時があると、地上と上空の温度差が大きくなり、雷雨、雹(ひょう)、竜巻などの激しい突風にも注意が必要です。
梅雨は前半の6月から大雨傾向、夏になると猛暑傾向と気象が激しくなると予想しています。

新年度が始まりましたが、今年も天気は、異常気象というワードが飛び交う大変な年になりそうです。
プロフィール
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。健康気象アドバイザーと熱中症対策アドバイザーの資格を持つ。
1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネットten.」「ウェークアップ」にレギュラー出演中。読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」を執筆。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)


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