キノコはコケで、コケもコケ。そう呼ぶのは、石川県民だった!

2022.02.16

キノコはコケで、コケもコケ。そう呼ぶのは、石川県民だった!
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「秘密のケンミンSHOW極」の名物企画となった「ケンミン刑事」。いつもなぜか出身県だけは黙秘する容疑者の、ちょっとした一言から出身県を当ててしまう凄腕刑事が登場する。演じるのは刑事物の名優・高杉亘。毎回、必要以上の迫力で出身県を見抜くのが、サマになるのはさすがだ。出身県だけ黙秘する設定の強引さを感じさせない名演を見せてくれる。

さて今回は、毒殺事件の容疑者が逮捕されたものの、毒物が判明しない。取り調べた刑事は「コケを使って殺害したと自供した」と言うのだが、押収物にキノコはあるものの、コケはまったく見つからない。だが「コケ」と聞いたケンミン刑事・神宮寺剣はピンと来た!「ふるさとはただ一つ」といつもの決め台詞を言いながら、「容疑者は、石川県民だ!」と言い当てた。そして「使用された毒物は、このキノコだ。キノコのことをコケと呼ぶのは、石川県民だけだ!」と力強く言ってのけた。

でもキノコのことをコケと呼ぶなんてことがあるのか?どちらも湿った場所に生えるが、見た目がまったく違う。同じ言葉で呼ぶとは、考えられない。
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そこで石川県に急行し、出会った人に山盛りのキノコを見せて聞いてみた。「これなんと呼びますか?」問われたおじさんは「コケ。コケ以外の何者でもない」とキッパリ答えた。ええー?やっぱりそうなんだ!

「キノコとも言いませんか?」とさらに追い込むと「ああ、キノコとも言うねえ」あ、言うんだ。「でも私たちはコケやね。」キノコという言葉も使うのに、コケなんだ。

年配の人だけで若い人は違うのでは?金沢で出会った女子高生トリオに聞くと口々に「コケ」「コケ」と答えた。若者もそうなのね。「今日コケの味噌汁、とか言う」そこで一般的なコケも見せて「これはなんて言う?」と聞くと「コケ」と答える。キノコも「コケ」、コケも「コケ」。なんで同じなの?
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今度は市場に行き、聞き方を変えてみた。「この辺でコケ売ってませんか?」と聞くと「隣の八百屋さんに行ったらコケ置いてあるかもしれない」わざわざ八百屋さんまで案内してくれるのだが「コケ売ってるけど少ないわ」と指すのはしいたけ。やっぱりキノコだった!

次に老舗洋食店に行き、キノコたっぷりのパスタを食べるお客さんに質問。「パスタの茹で感の中にコケがうまくミックスされてソースとからみ合っておいしかった」と、素晴らしい食レポに「コケ」という言葉が違和感を放っている。「コケがあってのパスタかな」と決めてくれたが、あんまりおいしそうに聞こえないなあ。
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しかし、なぜ石川県民はキノコをコケと呼ぶのだろう。ケンミン刑事・神宮寺がドヤ顔で説明する。「それはコケとキノコの共通性に由来する。」共通性?「コケという言葉は平安時代の京都で生まれた。それが北陸地方に伝わったのだが、同じように地面から生える共通性から、キノコもコケと呼ぶようになったと言われている。」そういうことかあ。

またもや事件を解決した神宮寺だが、彼に憧れる若い刑事の肩を突然強くつかみ「被害者のためにもどんな小さな声も決して聞き逃さず、すべてを見抜け!いいな!」と声を荒げた。いったい彼の過去に何があったのか?俄然そっちに興味が湧いてきた。この続き、早くやってね、お願いしまーす!

【文:境 治】
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