北海道と全然ちがう!長野には想像の斜め上をいくジンギスカンがあった!

2020.06.26

北海道と全然ちがう!長野には想像の斜め上をいくジンギスカンがあった!
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ジンギスカン料理といえば、言わずと知れた北海道名物。ヘルメットのような独特の鍋に肉と野菜をたっぷり盛って、焼けた羊肉とその肉汁を吸った野菜を楽しむ料理だ。最近は各地にジンギスカン料理店が出店してあちこちで食べられるが、あくまでルーツは北海道という前提だ。他県に独自のジンギスカンがあるなんて聞いたことがない・・・と思ってたらなんと!長野県には長野県流のジンギスカンがあるという。うっそー!

そこで長野市に行き、ジンギスカンについて聞くと年配のご夫婦が「子どもの頃からありますよ」と当然のように答える。草野球チームの面々によると「漬け込んだやつがおいしい」という。ん?漬け込んだやつ?夜の街で答えてくれた長野県民は「焼肉屋の1メニューですね」と言っていた。え?焼肉屋?どうやら長野県民にとっては北海道とは別の、独自の食文化として発達してきたジンギスカン料理があるようだ。知らなかった!
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中でも信州新町と呼ばれる町に、「ジンギスカン街道」があると聞いた。なんだろうそれ?道路中ジンギスカンで埋め尽くされているとでもいうのか?長野市から車で20分ほど走り、山あいの街道、というより山道と言いたくなる道路を走っていると、出た!ジンギスカン街道の看板が!さらに走るとジンギスカン街道に突入!なるほど、道路沿いにジンギスカンを掲げるお店がずらりと・・・というほどではないがポツポツポツと見えてくる。信州新町のジンギスカン街道沿いに、ジンギスカンを出すお店が6軒あるのだ。・・・なるほど、でも、ジンギスカン街道はオーバーじゃね?
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その中のひとつ「むさしや」はジンギスカンとともに焼肉レストランとも表示されている。確かに、焼肉屋のメニューの一つの様子。それぞれのテーブルで「サフォークラムジンギスカン」と注文しているのだが、一緒に「牛タンと、カルビ」と、普通の焼肉もオーダーしているのが、なんか変。すぐに牛タンとカルビがテーブルに運ばれ、続いて「サフォークラムジンギスカンです」と、噂のジンギスカンも登場。タンやカルビは生肉なのだが、ジンギスカンとして登場した肉は、明らかに漬け込み肉だ!おお!長野市内で聞いた通り!

だがジンギスカン鍋が別に登場するわけではない。野菜も申し訳程度。これを、他の焼肉同様にただ焼くのだ。ええー?!取材陣がジンギスカン鍋を見せて、肉汁がしみた野菜がおいしくて・・・などと説明するのだが、長野県民は意に介さない。それが何か?とばかりに自分たちのジンギスカンを誇示する。つけ込まれているから臭みがなく、柔らかくておいしいのだ、これこそジンギスカンなのだと言わんばかり。
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さらに、「南信ではまたちがうジンギスカンがあって・・・」と言うので長野県の南部、飯田市に行ってみた。そこは、人口1万人あたりの焼肉店の数が日本一の焼肉ランド。道を行けば焼肉屋さんに次々に遭遇する。ということは、これらの焼肉屋の1メニューとしてジンギスカンが登場するのか?・・・と思うとさにあらず。こちらでは家で食べることが多いのだそうだ。

飯田市のお宅にお邪魔すると、焼肉グリルを前に待ち構えた家族にお母さんが運んできたのは、例の漬け込まれたジンギスカン肉だった。なるほどね、家でね、と思ってると今度は「ブタジンとトリジンもあるよ」と新たな漬け込み肉が運ばれてきた。なにその、ブタジンとかトリジンって?なんとなく予想した通り、ブタジンは豚のジンギスカン、トリジンは鳥のジンギスカンなのだ。何言ってんの?ジンギスカンは羊でしょ?それどころか、スーパーには他にシシジンやシカジン、つまり猪や鹿のジンギスカン肉も漬け込まれて売られている。パッケージには堂々と「猪ジン」「鹿ジン」としか書かれてなくて、「ギスカン」はもう省略されている。そういうことでいいの?
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だが長野県民にとってはこれがジンギスカンですが、なにか?ということだ。きっと北海道民はいろいろ言いたいだろうけど、こっちのジンギスカンもおいしそうだ。ごはんもビールも進みそう。そろそろ県をまたいでもよくなってきたところで、長野県のジンギスカン、楽しんでみたくなってきた。納得がいかないであろう北海道民には内緒で、出かけてみてはどうだろう。

【文:境 治】
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