日本は医師信仰が強すぎ?社会や世界全体の健康や生命、幸福をどうするかを考えると…。

2022.05.19

日本は医師信仰が強すぎ?社会や世界全体の健康や生命、幸福をどうするかを考えると…。
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5月15日放送の「そこまで言って委員会NP」では「そこまで読んでブックストア」と題して今注目の本をもとに議論した。最初に取り上げたのは、委員会の常連でもある、京都大学医生物研究所准教授・宮沢孝幸氏の「ウイルス学者の責任」。ウイルス学の研究者の視点で、これまでの国のコロナ対策を総括している。

政府の専門家会議は、人と人の接触機会を8割減らすことが必要だと主張していた。本書で宮沢氏は、人と人の接触ではなく、ウイルスと人の接触を減らすべきだと提言。手洗い、マスク、換気の三つを実行するべきだとし、ウイルスの数が少なければ、他人にウイルスを感染させることはないのがウイルス専門家の常識。ところがウイルス学の常識を知らない医師たちの意見で、国の政策が決められてしまったと書いている。

委員会の論客たちに、この本に共感したか聞いたところ、石川和男氏は「1億%共感。」と言う。「最初の緊急事態宣言の頃は仕方がなかったと思う。だがそのあとは医療に偏重しすぎた。保守本流のお医者さんだが本当にウイルスの専門家なのかという方々。そこに警鐘を鳴らすこの本は全面的に賛同する。」
番組議長・黒木千晶アナが補足する。
「ご著書の中で国や自治体の感染症対策は、医療機関のキャパを確保するために行われると書かれてました。」
それを受けて宮沢氏が語る。「非常に驚いたのは、このウイルスをなくそうという動きがあったこと。確かに2003年のSARSコロナウイルスは消えた。今回はウィズコロナになってしまうだろうと当初思っていた。ゼロコロナを目指すのは無理だった。なぜ消えるというメッセージを国民に与えたのかわからない。その後、GoToトラベルやるのでと、1か月我慢すればいけると受け止められた。それは無理だとわかっていたのにも関わらずどんどん続けた。」
門田隆将氏がフォローする。「なんで5月以降ああなったのか。厚労省と医療界が大きなお金をぶんどろうとゼロコロナを作り上げた。8月に2類相当から5類に落とそうとしたが、専門家会議で叩き潰された。」
宮沢氏がこれに応える。「自分には裏事情はわからないが、なんでなんでの連続だった。例えばイギリスでは初期の頃に20倍ぐらい感染者が出てたのに、医療崩壊なんかしなかった。オールUKの医療体制。日本はごく一部の医療機関しかやらない。」
そこを豊田真由子氏が解説。「(日本はほとんど)民間だから。イギリスはほとんど公的病院なので、全部上意下達。」

古舘伊知郎氏がさらに述べる。「ズルズルべったり役所とお医者さんの流れの中でフットワークが鈍かったのは事実。どんどん変異して強毒性から弱毒性になりフェイズは大きく変わったが、日本でできてなかったことがいくつもある。人流抑制も大切ではあるが、実はそれが根本的な対策じゃない。」
豊田真由子氏がまた発言。「政策決定の判断をする人たちのバリエーションがない。日本は医師信仰が強すぎ。目の前の患者さんを助けようとする臨床のお医者さんと、広義の感染症対策は全然違う。目の前の人を助けようと思ったらどれだけでも厳しくしたくなるが、本当はウイルス学や公衆衛生学は社会や世界全体の健康や生命、幸福をどうするかの学問があって、医学ではない。疫学、統計学、経済学、政治学、社会学、倫理学、法学などいろんなものをミックスして、どうやって世界の命を助けるか健康を守るかという手法。」
ここで山口真由氏が話の矛先を変える。「宮沢氏はウイルス学者としてすごい優秀。優秀な研究者がオピニオンの旗印になって担ぎ上げられることが、いつも痛ましいと思う。専門性で損をすればするほど、専門家会議に呼ばれなくなる。」

立川志らく氏が似たことを言う。「内容はもうほぼ100%共感できるのだが、伝え方。情報番組では攻撃的になるから、伝え方が落ち着いていれば。バラエティーでは暴れて、ちゃんとしたところでは普通の学者と同じようなポジションだったらみんな言うことを聞いてくれる。攻撃的に言うと馬鹿は攻撃的に言い返すから。」
ここで豊田氏が宮沢氏に「告白がある。」と言い出す。「初期の頃ご一緒した時に、えらいキャラの強い先生おるなと警戒した。だが聞くとすごくまともなことおっしゃってて、私利私欲ではなく純粋に国民のために正しいことを伝えよう、そのために自分は犠牲になってもいいというところが、本当に私と同じなので絶対仲良くなれると思った。」
宮沢氏も「すごく似てると思った。」と意気投合。
そこになぜか石川氏が割って入る。「経済政策としてコロナを書きたいので一緒に本を書きましょう。」豊田氏がすかさず「私も入れてよ。」と宮沢氏を取り合って議論は終わった。

確かにここへ来て日本のコロナ対策は世界の中で浮いているのではとの見方が出てきている。宮沢氏の「ウイルス学の責任」をここで読んで、本来どうあるべきだったか考えるタイミングかもしれない。

【文:境治】
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