【雹に注意!】初夏に発生しやすい「雹(ひょう)」

2022.06.06

【雹に注意!】初夏に発生しやすい「雹(ひょう)」
©ytv
ミヤネ屋でお伝えしたときに、宮根さんも大変驚かれていましたが、
6月2日~3日にかけて、関東・東北を中心に氷の粒の雹(ひょう)が降ったことにより、
各地でケガや物損、農作物の被害が出ました。

場所によっては、ゴルフボール(直径4.2㎝)サイズの大きなものが降ってきました。
一面、まるで雪景色のように真っ白になった地域もありました。

雹というのは、4月下旬~7月上旬の、最高気温が25~30℃の時に発生しやすい傾向があります。
俳句の季語でも、雹は「夏」になります。

仕組みを簡単に説明すると、
地上の気温が上がり上昇気流が発生。
偏西風の蛇行により上空に寒気が流れ込んでくると、空の上では、冷たい空気が上昇してきた暖かい空気の下に潜り込むような形になり、上下の対流が生まれ、雲が発達します。
雲の中で、水蒸気から変わった氷の粒が上がったり下がったりを繰り返すことで、どんどん大きくなります。
これ以上、浮かんでいられなくなると、一気に降ってくるというわけです。その時に、冷たい空気も引きずりおろすので、突風を伴い、気温も急降下します。
真夏になると、地上付近の気温や湿度がもっと高くなるため、降ってくる途中で溶けて雨や小さいあられになります。上空の寒気も流れこみにくくなります。

ということで、6月、7月は地上と上空の気温差などから雹に注意です。
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氷の粒の落下速度は、直径5cmだと推定時速115キロにもなります。
当たったら大けがに繋がりかねません。
今回はゴルフボールサイズが時速100キロで降ってきた所もあったというわけです。恐ろしいですね…。
もし雹が降ってきたら、すぐに建物に避難し窓から離れて下さい。継続時間は、せいぜい15~20分です。

これは異常気象なのでしょうか?


今回のような雹が降ることは、実は、昔からたまにあることなんです。
直近では、2014年6月24日に東京都三鷹市付近で数十センチ積もったことがありました。
1917年6月29日には、埼玉県で直径29.6センチ(かぼちゃ大)の記録が残っています。

最近、雹のニュースが目立つように感じるのは、携帯電話のカメラの普及で映像が各地から入るようになったということも考えられますが、それでも最近は、発達した積乱雲の激しい現象の「頻度が増加」しています。

そこで、東京の6月の最高気温の平均を調べてみたところ、
50年前の10年間(1962~71)と、ここ10年間(2012~21)を比較すると、1.2℃上昇しています。
100年前(1912~21)と比べると1.9℃上昇しています。ヒートアイランド現象や地球温暖化の影響です。

上空の偏西風が蛇行して上空の寒気が流れ込む条件は、もともと地球の大気システムに備わっているものなので、あまり変わらないとすると、今は昔より地上と上空の温度差が大きくなりやすく、より積乱雲の発達しやすい傾向になっていると考えられます。

天気予報で「大気の状態が不安定」「上空の強い寒気」これらのキーワードが出てきたら、
まだしばらくは雹には注意が必要です。
プロフィール
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネットten.」「ウェークアップ」にレギュラー出演中。読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」を執筆。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
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