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インタビュー:テレビを書くやつら

テリー伊藤さんにコロナ後のテレビを聞く(後編)〜3人の面白い人が出てくればテレビはパッと変わる〜

境治 2020.09.03

テリー伊藤さんにコロナ後のテレビを聞く(後編)〜3人の面白い人が出てくればテレビはパッと変わる〜
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テリー伊藤氏へのインタビュー、前編では「元気が出るテレビ」を中心に往年のテレビについて聞いた。後編では、これからのテレビについてお聞きする。重たくなりがちなテーマだが、テリー氏は明るく軽く希望があるお話をしてくれた。ぜひじっくり読んでいただきたい。
(前編はこちら)
【聞き手/文:境 治】
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若いタレントさんが政治を語ったっていい

境治(以下、S):最近、情報番組だらけです。バラエティーと言いつつ健康などの情報を扱う番組をすごく目にします。

テリー伊藤氏(以下、T):テレビの必然的なことかもわかんないですけど、感性の問われないものが数字取るんですよ、例えば健康とかあと食べ物、温泉。基本的に感性いらないんですよ。感性が要るものは今もうYouTubeに行ってしまいます。感性のあるものをテレビでやると、見てる人が疲れますよね。

S:僕が若い頃はテレビに刺激を求めていた気がします。

T:テレビで今「これ、パリで流行ってるファッションだ」って言われたって、「ユニクロでいいもん」って人たちは見ませんよね。YouTubeでいち早く見れちゃうわけだし。テレビではそういう感性を問うものを見ようと思ってないですよね。
でも情報番組が増えたことでいいこともたくさんあって、若い人が例えば香港の問題に関してもコロナについてでも、どんどん喋るじゃないですか。これって、面白いですよね。例えば、みちょぱのようなモデルさんが政治や政治家などの話をしているわけです。そういうのって今までなかった。「朝まで生テレビ」に出るような人しか、テレビで政権批判しなかったじゃないですか。けれど今は別に藤田ニコルが政権批判したっていいし。僕はいいことだと思うんです。

S:今、テリーさんはコメンテーターとしても活躍されていて、それも今のお話と関係するんでしょうか。作り手だったテリーさんが、発言者の立場を取られてるのは、もっとどんどんいろんなことをテレビで喋ろうというお考えだからですか?

T:僕は何でもいいんですよ。そんな深く考えてないです。演出させてもらえるなら演出したいし、出る方でもいいし、ラジオでしゃべることでもいいし、何でもいいんですよ。これってポリシーも何もないんですよ。僕がずっとテレビやラジオに身を置いてるからかわかんないんですけど、そんなにポリシーはないですね。
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テレビを消したあとの余韻が減っている

S:コメンテーターもときには炎上を引き起こしたりしますし、なかなか難しい役割だと思いますが、今のお話だと呼ばれたら喋るし、喋るときには思ったことをそのまま喋られてるっていう感じなんですか。

T:そうですが、ただ僕が最近ちょっと心がけていることがあって、テレビで何かを批判するのって意外と簡単なんですよ。映像をVTRで流し、それに沿ったコメントをするから。テレビの情報番組って、ある話題を取り上げる20分のうち15分はVTRですよね。このVTRってだいたい制作陣が批判的なコメントを望んで作ってるわけです。それに沿ったコメントってしやすいじゃないですか。
例えばGoToキャンペーンで、東京の人が京都行っちゃいました。コメントする人が、やっぱり行かないほうがよかったんじゃないんですかって言う。何やってるんですかねと、それって批判ですよね。だったらコメンテーターにはネガティブなことを言う人とポジティブなことを言う人がいてもいい。僕が心がけてるのは、なるべくポジティブなコメンテーターになりたいなと。この状況の中でもいいことないのかな、といつも考えてしゃべってます。

S:言われてみると、たしかにVTRに沿ったことをみんなが喋ってると、テリーさんが「ただね」って言ってちょっと違う流れのことをおっしゃる印象はありますね。

T:嫌なんですよね、ネットで批判するんだって簡単じゃないですか。ネットの記事を読むとみんな批判しか書いてない。このことに関して、何でみんなポジティブなこととか、創造性のあること書けないかな。バズったりして大きな記事になっていくのは必ず批判なんですよ。
ネット記者も悪いんですけど、僕らがテレビを見てた頃はもうちょっとファンタジーがあった。ファンタジーがなくなってきちゃってるのはちょっと心配ですね。
さっきの話の、昔楽しかったのに今つまらなくなってるのは、ファンタジーとかウキウキ感とか、テレビを消したあとの余韻ってのが減ってるのかなって気はしますよね

S:テレビを消したあとの余韻。確かにそうかもしれないですね。

T:これからはそういうのがすごく、必要なんじゃないかと思うんですよね。

S:これからのことでいうと最後のテーマなのですが、コロナのあとこうなるだろうということを今みんなが言い始めたりしますけど。

T:どういうふうに言ってるんですかみんな?

S:多くの人が言ってるのは、ゆくゆくこうなるだろうって思ってたことが時間が短縮されて、例えば働き方改革ももっとゆっくり変わるはずがどんどん進んでいるように、今後あるべき像にいろんなことが近づくんじゃないかという人がいますね。でも一方で、やっぱり経済的に相当厳しくなるし、テレビ局さんなんかでも、相当厳しくなるだろうとみんな言ってます。
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潮の流れは一瞬にして変わる

T:どうなんでしょうね。面白い人が3人ぐらい出てくると、テレビは変わりますよね。

S:3人ぐらい?!

T:3人ぐらい出てきたら。10代か20代かわかんないんですけど、面白い発信をする若い人たちが出てきたら、一転するんじゃないですか。いまとやかく言ってるのはおっさんたちだから。おっさんたちではテレビを変えられない。変えられるのは、もっと身体能力が高くて、運動神経の良い10代とか20代の方、錆びてない人たちがガンガン出てきたら、変わるような気がすんだけどなあ。

S:言われてみるとすでに第7世代みたいな言い方で、若い人が元気にテレビの中で活躍している空気はありますね。

T:今出てきてますよね、お笑いなんかでね。お笑いだけじゃなくて、ミュージシャンもそうかもわからないし、どんどん出てくるとなんか変わってくる気がします。潮の流れなんて一瞬にして変わりますからね。理屈じゃないから。コロナだって一瞬にして来たわけだから。

S:そうですね。

T:テレビはネットとは全然違う巨大な力があるし、スタッフみんながプロですよね。絵面もきれいだし、力もあるし、だからポテンシャルは、すごいあるわけです。
イチロー選手が出たら、一瞬にして野球が変わったじゃないですか。僕は長嶋さんとか王さんの世代で、ああいう選手は50年に1人だと思ってたんですよ。それがあっという間にイチローが出てきて大谷も出てきますよね。
そういうのと一緒で3人ぐらい。世の中を斜めに見ないで、政治なんかにも全く興味なくて、ニュースのコメントでとんちんかんなこと言ってる人の方がなんか、次の時代を制するような気がします。

S:今おっしゃった3人っていうのは、タレントさんなんですか、それとも、例えばテリーさんのような作り手なんでしょうか?

T:やっぱりタレントさんでしょうね。それは歌手なのかもわかんないし、誰かわからないけども。逸材がいっぱい出てくると思うんで。YouTubeで伸びてきた人は、自己演出しちゃってるじゃないですか。それもいいんだけど女優さんなんかは、逸材がいたらやっぱり誰か演出がいるといい。昔で言うと三船敏郎という逸材がいた上に黒澤明がいたから世界の三船になったみたいに、やっぱり演出家がプラスアルファしてあげると、化学反応を起こして大きくなってくるような気がする。まあプロデューサーかもしれないですけど。

S:最初の話からの流れで言うとYouTubeの方が刺激的になってテレビがちょっとおとなしくなっちゃって、今コロナが来ているその先に、3人ぐらいの輝く人たちが現れたら、またテレビ全体が元気になる?

T:一瞬にして変わりますよね。

S:とっても素敵なお話です。

T:野茂がメジャーに出ていったから、その後松井だってみんな出てったわけですよね。その3人が出てくると、二番煎じかもしれないけど3人に大勢が追随していくんですよ。ただこの最初の3人を探すのは容易なことではないと思うんですけども。
たけしさんたちがまだ天下取ってますよね。70過ぎたおっちゃんが天下取ってるのもまた変な話で、たけしさんたちが天下取ったのは30代ですからね。やっぱり若い人が天下を取らないと。

S:テレビ業界としてもそういう人たちをちゃんと見つけて輝かせないといけないんでしょうね。今日のお話は業界のみんなに聞いてほしいです。ありがとうございました。

T:いえ、こちらこそ。

S:そう言えばテリーさん、新著を出されたそうですが。「老後論」というタイトル。キャッチコピーが「この期に及んでまだ幸せになりたいのか」って強烈です。

T:だいたい70過ぎると、終活とか、幸せになろうとか、シケてるんですよ。

S:あははは

T:終活なんて店じまいですよ。シケてるなあと思って。僕ら戦争を知らない子供たちの第1期生ですよ。そいつらが年とったらなんだよ、戦争を知らない子供たちってタンカ切ってたのに、普通のじいさんになってどうすんだみたいな。70過ぎたからこそ戦争を知らないかっこいい生き様を見せないでどうすんだっていう、そういう内容なんですけど。

S:痛快!面白いですね。

T:やっとくたばったかって言われるような死に方すればいいのに、なんか周りに気遣いながら生きていくのは面倒くさいな、と。

S:面白そうです!読んでみます!
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3人の面白い人でテレビはパッと変わる。根拠がないようで妙に説得力があった。テレビは力を失った、つまらなくなったと言い出したらどんどんつまらなくなるだけだろう。逆にパッと変わると思えば、本当にパッと変わるのかもしれない。それは老人だからって大人しくするなという「老後論」とも通じるテリーさんの基本姿勢なのだろう。「元気が出るテレビ」から数十年後、また新しい元気をもらえた気がした。
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