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モッタイナイは通じない? イラクの食事あれこれ

菱田雄介 2019.04.11

読売テレビで「ウェークアップ!ぷらす」のプロデューサーをしている菱田雄介と申します。この読みテレで、「15年ぶりのイラクで見た イスラム国の残したモノ」という記事を掲載してもらっていますので、是非ご覧ください。
イラクでの取材内容は、人間の尊厳や宗教、命の価値を考えさせる深いものだったのですが、それは本編でご覧いただくとしてここでは取材中に感じていた「イラクの食事」について取り上げたいと思います。日本では恵方巻きの大量処分などで「食べ残し」が問題になり、フードロス対策が叫ばれている昨今。イラクではさぞかし食べ物を大切にしているかと思いきや…というお話です。

 みなさん、中東の料理を食べたことはありますか?一番有名なのは羊肉の串焼き「ケバブ」だと思います。日本では主にトルコ料理店などで食べられると思いますが、同じようなものはイラクでも広く食べられています。中東の料理に慣れていないときは、レストランに入って「何食べる?」となったときに「ケバブ!」などと答えておけばいいのですが、出てくるものはそれだけではありません。
 お揃いのシャツを着たお兄さんが忙しく動き回るイラクの食堂。オーダーをしてしばらく経つと…。

はい、まずはこのくらいの「前菜」が運ばれてきます。日本だと「お新香の付け合わせ」的なものだと思いますが、かなり量が多いです。韓国でも前菜が山ほど出てきますが、イラクの前菜は韓国のそれを遥かにしのぐ量です。しかしこれはまだ序の口、これに加えてスープなども出ますし、さらにホブス(ナンのようなもの)も大量に出てきます。
©ytv

お店によっては上の写真のように「盛り合わせ」にしてくれる場合もあります。前菜だけでテーブルはほぼギチギチになってしまいますので、これは良心的な対応ですね。
 上の写真だと丸い部分に入っているクリーム色のペーストは「フムス」という豆のペーストです。日本のレストランで頼むと一皿700円くらいするものですが、イラクの食堂だと実質タダです。ホブスとの相性は絶妙!ですので、テーブルに載るとバクバクとたべてしまいます。(あまり勢いよく食べると「好きなんだなぁ」と思われておかわりがやってきます)

 ほぼ腹一杯・・・となったところでメインディッシュがやってきます。ケバブはもちろんですが、僕のオススメは、羊の骨つき肉の煮込んだもの(正式な名前は忘れました)です。
ドーン!と運ばれてきます。

この画像を見ているだけでも食欲がそそられますが…。この羊肉とライスのコンビネーションは絶品です。お腹いっぱいになった後も、さらに食べられます。
それではここで、ギチギチのテーブルにメインディッシュが運ばれた時の様子をご覧ください。基本的には4人で来店して一人一品注文した状態で、すでにいくつかの皿が重ねて置かれています。さらにスープを持ってきたものの置く場所がない…!というウェイターさんの思考を追体験できる映像です。決してテーブルが小さいわけではありません。

お味は…と言いますと、どれもこれも非常に美味です。メソポタミア文明を育んだイラクの地で受け継がれてきた料理の一つ一つは、どれも高いクオリティです。我々が使っているのは、高級レストランではなく、ごく一般的な大衆食堂ですが、お値段も(我々からすれば)リーズナブル。しかし、残さずに食べ尽くすことは「大食いチャンピオン」でもない限り不可能だと思います。

食べきれなかったお皿がウェイターさんによって一気に片付けられる様子も動画で撮りましたので、どうぞ。

運ばれて行く残飯はどうなっていくのか…確認をするのを忘れましたが、単に捨てられるのではなく、なんらかの形で再利用(家畜の餌にするなど)されていることを願います。

さて、食事が終わるとどこの国も同じようにティータイムとなります。中東の様々な国々と同じように、イラクもチャイ文化。大量の砂糖が入れられた小さなコップにサモワールでに出された紅茶が注がれたものが運ばれてきます。

こちらがイラクの一般的なチャイ。一杯で数十円とリーズナブル。コップの底に白い砂糖が溶け残っているのがわかります。甘さが苦手な人はスプーンをあまりかき混ぜず、甘さを求める人は完全に溶かすのが流儀です。9月でも最高気温は40度に達するハードな取材が連日続く中、糖分を摂取して頑張る原動力となります。

 ここまで、イラクの一般的な食堂での食事風景をお届けしました。続けて、私がイラクで頂いたメニューをいくつかご紹介します。(料理が出たら写メを撮るというのはどこの国でも同じです)


これは、羊肉を焼いたものとライスですが、サフランライスみたいなものや短い焼きそばみたいなものも盛り付けられています。骨を持ちながらだと食べやすい。

こちらはティッカ(日本でいうケバブ)。タマネギや香草、トマトが盛り付けられていて、サッパリと食べることができます。砂漠のイメージの強いイラクですが、こうした野菜も生産されているのです。

こちらはレストランよりも小規模な立ち食いのお店で食べたケバブサンドのようなもの。ベジタブル豊富で食べやすいお味でした。

さらにこちらは羊肉ピラフと豆のスープ。食べやすいサイズです。ピラフというのはアフガニスタンやウズベキスタンで美味しいのを頂けますが、イラクのものもなかなかです。

ちなみに、クルド自治政府の中心都市・アルビルには西欧風のお洒落なレストランもあります。新鮮な野菜を好きなだけ食べられるサラダバーがあることには感激しました。
©ytv

以上、大衆食堂を中心としたイラクの食事をご紹介しました。実はイラクには川で採れたコイを背開きにして囲炉裏のようなところで焼くマスグーフという名物料理がありますが、今回は食べることができませんでした。また、市場に行けば甘―いお菓子がたくさん並んでいます。
短いコラムでは書ききれない食文化を持つ国、イラク。なかなか訪問することは難しいですが、ドバイやドーハなどではイラク料理の店もあるようなので、旅行のついでに味わってみるのはいかがでしょうか?
執筆者プロフィール
菱田雄介(ひしだ・ゆうすけ) 
読売テレビ報道局「ウェークアップ!ぷらす」プロデューサー
96年読売テレビ入社 「THEワイド」「情報ライブミヤネ屋」などを担当。北朝鮮問題、難民問題、北方領土問題などを現場から伝える。シリア難民に関してはバルカンルート2000キロの歩みをタレントの春香クリスティーンと取材。バルカンルート、ロヒンギャ難民、そして「イスラム国」についてのリポートは、雑誌「中央公論」に掲載された。
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