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『ブラックリベンジ』でドラマ初監修!元・週刊文春エース記者の中村竜太郎氏に聞く(後編)

2017.11.14

週刊誌の編集部を舞台に、スキャンダルをめぐる復讐劇を描く連続ドラマ『ブラックリベンジ』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週木曜23:59〜)。先の読めないスリリングな展開がネットを中心に話題となっている本作だが、ストーリーと同様に注目を集めているのが、ドラマの中で描かれる週刊誌によるスクープ報道の裏側だ。編集部の雑然とした雰囲気や生々しいスクープ取材の手法などの演出には、今回がドラマ初監修となる元『週刊文春』記者・中村竜太郎氏の知見が大いに生かされているという。

「読みテレ」では中村氏へのインタビューを敢行。ドラマ『ブラックリベンジ』をきっかけにスクープ報道の裏側やテレビの話を聞いてみた。今回はその後編だ。


読みテレ : 『ブラックリベンジ』の中で、主人公が情報提供者から騙されるシーンが出てきましたよね。

中村竜太郎(以下、中村) : 友達に言われるんですけど、昔は私、天真爛漫だったと。けど、今は疑い深くなったらしいです(笑)。どうしても「この人の言うことの裏にはなにがあるのかな」とか、近づいてきた人に「これ書いてください」って言われても、その人の背景を考えたり。なんらかの思惑があるから、私に提供するわけで。そこを見極めた上で記事にしますね。

読みテレ : 中村さん、訴えられたことはあるんですか?

中村 : ありますよ。名誉棄損で。何回か。でも運がいいことに、勝ってるんですよね。

読みテレ : タフじゃないとできないお仕事ですね。

中村 : 出廷前は徹夜で、なにを聞かれてもいいようにシミュレーションするんです。向こう側の弁護士から聞かれたことにちゃんと答えられるように。データに関しては、ほぼ暗記しますね。

読みテレ : 裏付けがしっかりあるから、たとえ裁判になったとしても主張できることは持ってらっしゃると。

中村 : そうですね。もちろん、中にはあっさり負けるような人もいると思います。なぜかというと、ちゃんと裏取りをしてないとか、1人の証言者に全部頼っていたとか。その人がひっくり返しちゃうとオセロで全部ひっくり返りますから。私は、本当に運がよくてそこまでの失敗がなかったのかもしれません。けど、入稿ギリギリで「この人ひっくり返りそうだな」なんてことも結構あるんです。例えばですが、ある告発者の話を元にA社の批判記事を書いていたら、その人、A社からお金をにぎらされて、入稿日になって寝返ったり。正義だけではなく損得で動く人もいるわけです。

読みテレ : スクープで雑誌の部数が上がると、同時にその雑誌に対して批判の声も出てくるってことがありますよね。そのへんはどう考えてらっしゃいますか?

中村 : ある意味、商業ジャーナリズムでもありますから、(自分たちのやってることが)すべて正義なのかって聞かれたら、やっぱりちょっとどうなのかなって思うことはありますし、売れてなんぼっていう面もあります。厳密な意味で正義にこだわりすぎると、人間味のない記事になってると思うんです。

読みテレ : そうですね。

中村 : 読者の中には、新聞やテレビでは報じきれない部分を知りたいって思う人がいて、なおかつ、記者というのは、そういう媒体を応援してくれる人がいての取材活動だと思うんです。正直、事件があって人の家にピンポンしに行くのも気がひけます。迷惑かけるし、聞かれたくないようなこともこっちも聞きますから。

読みテレ : けど、知りたい人がたくさんいるっていう。

中村 : だから記者は勇気出して聞いていると思います。
――真相に迫るためには、飛び越えなければならないハードルがたくさんある。だからこそ、信頼を築いて一歩ずつ近づいていく取材姿勢が珠玉のスクープを生むのだろう。では、中村氏の目に最近のテレビ報道はどう映っているのだろうか?

読みテレ : 近頃のテレビ報道は、週刊誌発のスクープに引きずられている印象を持っている方も多いと思います。中村さんはどう感じていますか。

中村 : テレビ報道にもスクープはたくさんあると思うんです。ただ、社会現象に広がるような大きなものはなかなか出にくくなっているのかもしれない。最終的にそれがアウトプットされにくいような感じは印象として受けますね。それってもしかしたら、過度な自主規制なのかなって感じがします。

読みテレ : 自らブレーキをかけてると。

中村 : 私自身、テレビ出演する時に「誰もが傷つかないことを心がけてくださいね」ってアドバイスされるようなことがあるんですけど、「誰も傷つかないことってあり得るのかな?」とは思いますね。テレビというのは娯楽の王様ですし、マスメディアにとって王道でもあるんですけど、もう少し、作り手も視聴者側も、表現の自由についてちゃんと向き合ったほうがいいんじゃないかと。それを自分たちでわざわざ封じ込めてしまうっていうのはどうなのかなと思いますね。
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「ブラックリベンジ」福田浩之プロデューサーと中村竜太郎氏
読みテレ : それでは最後に、監修を担当しているドラマ『ブラックリベンジ』のこれからの見どころをぜひ教えてください。

中村 : 「復讐」というテーマですから、毎回いい意味で期待を裏切られるっていうか、めまぐるしく展開していくのがジェットコースターに乗っているような感じで、まずはそこを楽しんでもらいたい。あとは、人間の欲望。それを背負いながら、いろんな人がうごめく。まだ、最終話まで台本がたどりついてないんですけど、「最後どうなっちゃうの?」っていう怖いもの見たさもあります。

福田浩之プロデューサー : 中村さんに監修してもらって一番「あぁ」と思ったのが、「週刊誌の編集部って動物園みたい」とおっしゃっていたことなんです。だから、いろんな人がいるっていうので、本当にいろんな人を入れました。それで何やってもいいんだっていう幅の広げ方ができたなと。

中村 : 私自身、いろんな人に取材をしていて感じるんですが、人間ってすごく業の深い生き物だなって思うんです。だからこそ、面白い。善い悪いでは片付けられない面白さがあります。欲望によって引きずられたり、思惑通りに行かなかったり。そういったことがドラマに凝縮されていて、主人公の今宮沙織も、これからどう人生が変わっていくのか。そういうところを観てほしいと思いますね。

【構成:牛窪 梨花】
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