【北海道】鼻にティッシュを詰めることを「つっぺ」と呼ぶってホント?

2022.12.05

【北海道】鼻にティッシュを詰めることを「つっぺ」と呼ぶってホント?
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ちょっとしたことから容疑者の出身県を見抜くケンミン刑事、神宮寺剣。今回の容疑者、桜庭剛志を追い詰めたのはいいが、ものすごく強くてバッタバッタと警官たちをなぎ倒す。すっかりビビってしまった主任刑事・田中三郎と若手刑事・安井蓮に桜庭は「出身県だけは絶対言わないからな」と凄む。そこに登場した神宮寺はあっという間に桜庭を叩きのめす。「アチョ〜」とか叫んでたからカンフーの使い手なのか?神宮寺の格闘場面は初めて見たが、さすがサマになっている。

助け起こされた桜庭、よく見ると鼻血が出ている。ティッシュを鼻に詰めながら桜庭はこう言った。「つっぺなんてガキの頃のケンカ以来だぜ」誰もが「つっぺ」という耳慣れない言葉に引っかかった瞬間、神宮寺のプロファイリングが始動!

「ふるさとは、ただ一つ。そこは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の閲覧時間が日本一。スポーツ用品の購入金額も日本一。そして、桜庭という苗字が日本一多い。」たじろぐ桜庭を神宮寺が指差し「君は、北海道民だ!」天を仰いで「なんでわかったんだー!」と叫ぶ桜庭。「ティッシュを鼻に詰める。これを“つっぺ”と呼ぶのは、北海道民の証だ」とキメる神宮寺。

理由はわかったけど、北海道民はティッシュを鼻に詰めることを“つっぺ”なんて言うの?

そこで北海道に飛び、マネキンの鼻にティッシュを詰めて聞き取り調査をしてみた。札幌の大通公園に集うマダムたちに聞く。「あ〜つっぺだよね。」「つっぺつっぺ」と口々に言う。「一般的には、鼻にティッシュを詰める、と言います」と説明すると「長い長い」「待ってられない」と反論。「ティッシュ取って〜なんて言ってられないもん。つっぺつっぺ!と言わなきゃ」まあそう言われると便利な言葉だが。
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今度は二人連れ女子にティッシュを差し出し「つっぺしてもらえますか?」と聞いてみた。「つっぺ?」と戸惑ったように見えたのだが、「薄くした方がやりやすいんだよね」などと解説しつつ、ティッシュを鼻に詰めようとする。しかしうら若き女性だけに「つっぺしたのテレビで流れるんですか?」と躊躇。だが取材班は一人がティッシュを鼻に詰めた瞬間をしっかり撮っていた。「ティッシュのことではなく、鼻に詰めた状態がつっぺ」と丁寧に教えてくれた。

他にも道民たちに取材して回ると、みなさん鼻にティッシュを詰めて「つっぺ」を説明してくれる。我々他県民にはまったく馴染みのないこの言い方が、北海道では定着していることがわかった。

耳鼻科のお医者さんで診療の様子を観察すると、鼻血の相談で来たらしい患者さんに、お医者さんが「入口の鼻血なので、つっぺしたら止まると思います。」「つっぺして止まらないようだったらもう一度来てもらえますか?」とつっぺを乱発。お医者さんが真面目なムードでつっぺと言うと、なんか変な感じ。
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それにしてもなぜ北海道民は「つっぺ」と言うのか。札幌国際大学の大鐘秀峰教授に聞いてみた。つっぺは「詰める」が語源。その昔、北前船が北海道に物資と共に言葉も運んできた。その過程で「詰める」→「つべる」→「つっぺる」→「つっぺ」と変化したという。

ところで北海道は広く、地域によって文化が違う。そこで最北の地、宗谷岬にスタッフが行き地元の人に聞こうと、鼻から赤いものを垂らして待った。だが観光客は来ても地元の人は来ない。寒さの中、もはや限界と地元の食堂「最北端」に入った。スタッフのフェイク鼻血を見た食堂のおばさんが「鼻血出てるからつっぺしてください」とティッシュをくれる。やはり宗谷岬でもつっぺと呼ぶのだ。それも嬉しいが、凍える身体に食事とおばさんの優しさが滲みて、ぬくもりに溶けそうになったスタッフだった。

【文:境治】
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