12年間、その日生まれたばかりの赤ちゃんを取材・紹介してきたニュース番組のコーナー『めばえ』。その舞台裏に迫る!【後編】

2019.12.25

12年間、その日生まれたばかりの赤ちゃんを取材・紹介してきたニュース番組のコーナー『めばえ』。その舞台裏に迫る!【後編】
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関西地区で放送中の夕方のニュース番組『かんさい情報ネットten.』(以下、『ten.』)。
この番組の最後に、その日に生まれた赤ちゃんとそのご家族を紹介するおよそ1分20秒のドキュメンタリー『めばえ』というコーナーがあります。
【前編】では、コーナーを支えるディレクター陣に制作秘話や感動のエピソードをインタビュー。
【後編】では、いよいよ『めばえ』の取材現場に密着。
どのように『めばえ』は撮られているのか? その全貌が明らかに!

【前編】はこちら

厳正な抽選を経て取材するご家族を決定

今回密着するのは、『めばえ』を担当して4カ月(取材当時)の陽川(ひがわ)翼ディレクター。
午前9時30分、出社と同時にまず出演者募集の応募メールをチェック。毎日平均10通ほど届くそうです。
この日の応募は5件あり、厳正なる抽選を経て、取材当日の未明に2人目となる女の子の赤ちゃんが生まれた明治さんご一家に取材を申し込むことになりました。

さっそくご家族に電話でアポイント。
まず電話口で「おめでとうございます」とお祝いの言葉を贈った後、ママと赤ちゃんの体調は万全かを電話で確認。
実は明治さん、1人目の赤ちゃんが誕生した時も『めばえ』に応募しようと思っていたとか。
しかし誕生したのが『ten.』の放送がない土曜日で、応募を断念。 今回は念願の出演となりました。


取材のOKが取れたところで、ママが入院中の病院にも撮影の申し込みの連絡を入れます。
これまで『めばえ』の取材に協力してもらった産婦人科や助産院などは、近畿2府4県で356カ所も(2019年10月29日現在)!
今回、明治さんがお世話になっているのも、過去に取材実績のある大阪・貝塚市の産院。
今やコーナーがスタートして12年が経ったことで知名度が上がり、病院に電話を入れる際、「あぁ、『めばえ』ですね!」と喜んでもらえることも増えたそうです。

赤ちゃんが生まれた喜びをそのまま切り取る撮影現場

午後1時、貝塚市の産院に到着。取材スタッフは陽川ディレクターとカメラマン、カメラ助手の3人。

マスクを付け、手を消毒して個室に入ると、出産を終えたばかりのママ・加奈さんとパパ・賢太さん、加奈さんのご両親、そしてこのたびお姉ちゃんになったばかりの長女・栞里(しおり)ちゃん(3歳)が出迎えてくれました。実は栞里ちゃん、赤ちゃんとの対面はこれから! 
取材準備を進める中でカメラマンが栞里ちゃんに話しかけると、「緊張する~!」と愛嬌いっぱい。そしていよいよ、病院スタッフに連れられて赤ちゃん登場…! 栞里ちゃんは何度もベッドの中を覗き込み、赤ちゃんの顔を見ては「すごい、すごい!」と飛び跳ねて大はしゃぎ。その横ですぐさまそのお姉ちゃんの自然な表情を撮影すべく、ご家族の邪魔にならぬようカメラを回し始めます。
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ママに、家族構成や赤ちゃんの身長・体重などのアンケート用紙に記入してもらっている横で、気持ちよさそうに眠る赤ちゃんを慎重に撮影します。病院スタッフに、おくるみに隠れた手をそっと出してもらうと、まるでもみじのようなかわいらしい手がちょこんと覗きました。
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さらにママへのインタビューも実施。「大きくなったら何がしたいですか?」と気さくに声をかける陽川ディレクター。同時に栞里ちゃんにも「赤ちゃんに何してあげたい?」と優しく声をかけます。この時、“お祝いに駆けつけた親戚のおっちゃん、おばちゃん”の距離感で声をかけるのがコツなのだとか。
その間も栞里ちゃんは赤ちゃんに夢中! 「笑った!」と喜んだり、パパに手伝ってもらって初めて赤ちゃんを抱っこしたり、ほっぺに優しくキスしたり。ほのぼのムードに包まれた、笑顔の絶えないひとときをつぶさにカメラに収めます。
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続いてはママ、パパ、お姉ちゃんとで赤ちゃんを囲んでの撮影。
その時でした。栞里ちゃんが、赤ちゃんの頬をよしよしと撫でながら「お母さんも、パパも、ねぇね(姉)もいるから大丈夫よ」と囁いたのです。まさにドキュメント! 誰に教えられたわけでもないのに突然飛び出した優しい言葉に、「まだこんなに小さいのに、もうお姉ちゃんの自覚があるんだ…」と胸が熱くなりました。そんな小さな声も聞き逃さないために、音声さんはマイクを長時間向けたままだったのでしっかり録音することができました。
赤ちゃんのお名前は、誕生した秋にちなんで穂乃果ちゃん。すくすく育ってくださいね!
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どの場面をテーマにおよそ1分20秒にまとめるか?腕の見せどころ!

撮影が終わり、読売テレビへ戻ったのは午後3時過ぎ。さっそく編集室へこもり、編集作業に入ります。まずは編集スタッフと、撮影した36分の映像を全編チェック。同時に、取材したご家族を象徴するようなポイントやぜひピックアップしたいシーンを用紙に書き起こします。
すべて視聴し終わったところで編集スタッフと構成の打ち合わせ。この日は、取材時に大活躍だったお姉ちゃんの栞里ちゃんにスポットを当てて構成することで編集スタッフと意見が一致。「今回は、お姉ちゃんがすごくご機嫌だったので、その表情を切り取りたい」と陽川ディレクター。方向性が決まれば大急ぎで編集作業へ!
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約3時間の編集作業を経て、午後6時頃、ついに1分26秒のドキュメントができあがりました。統括ディレクター&プロデューサーのチェックもパスし、あとは放送を待つばかり…と思いきや、陽川ディレクターの役目はこれで終わりではありません。
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『ten.』エンディング直前の午後6時50分にはニュースサブ(音声や映像を調整するための操作室)に入り、『めばえ』放送スタートと同時に、「きょう、生まれました」などのテロップをON・OFFし、リアルタイムで放送に載せます。

無事に放送が終わり、明治さん一家にお礼の電話を入れる陽川ディレクター。電話口から漏れ聞こえるママの感激の声に、頬がゆるむと同時にホッとひと安心。
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今回の陽川ディレクターの仕事ぶりを、『めばえ』ディレクターを統括する林ディレクターは「赤ちゃんと、お姉ちゃんのかわいらしさを全面に押し出した内容がすごくよかったですね。」と太鼓判! 先輩からのうれしい言葉に、ますます笑顔がこぼれる陽川ディレクターでした。
わずかおよそ1分20秒のコーナーでありながら、新しい命が誕生した家族の喜びと、そして「どんなに殺伐とした世の中でも、最後は心温まる映像を届けたい」というつくり手の思いがギュッと詰まった、癒やしのひととき。
関西以外にお住いの方、またはその時間にテレビをご覧になれない方は『ten.』番組公式HPをご覧ください。

また、『ten.』番組公式instagram【ytv.ten】、Twitter【ytvnewsten】では誕生した赤ちゃんとご家族を紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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