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フィンランドとスウェーデンのNATO加盟の賛否は?日本にとっても大いに参考になる議論!

2022.05.12

境治
フィンランドとスウェーデンのNATO加盟の賛否は?日本にとっても大いに参考になる議論!
©ytv
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ロシアのウクライナ侵攻で国際情勢は一気に不安定になった。5月8日放送の「そこまで言って委員会NP」では「行くか?戻るか?岐路に立つ世界」と題して世界の動向を議論。その中でも「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟」の賛否を聞いた議論は白熱した。

宮家邦彦氏は「反対。でも、もう手遅れ」という微妙な回答。
「フィンランドとスウェーデンは緩衝地帯。だが3年前エストニアに行った時、スウェーデンがゴットランド島に兵を置くようになった。当時からロシアのバルト海における脅威を、スウェーデンもフィンランドもビンビンに感じていた。ロシアが攻めてくるとなればフィンランドを守らざるを得なくなる。新しい抑止の枠組みがまだできていないから、本当は反対なんだけど手遅れ。」
竹中平蔵氏も反対と回答。
「彼らはNATOに入るだろう。ただロシアを決定的に追い込まないことも必要。ロシアは国土が広く、真っ平らで入って来られやすい。だから、我々はロシアに対して脅威を感じるがロシアも周りに脅威を感じている。フィンランドは1300キロも国境を接している。ロシアに対しては緩衝地帯としてあまり刺激しない役割を歴史的に演じてきた。」

須田慎一郎氏は「賛成」の立場。
「バルト三国について日本国民は忘れてるが、旧ソ連はその末期に独立を志向した三国に攻めいった。それをこのエリアの人たちが知っている。ロシアは国家主権をまったく理解していない。相当な危機感を持っていると思う。」
竹田恒泰氏も「賛成」を表明。
「緩衝地帯との話が出たが、確かにロシアやNATOの理屈からしたら緩衝地帯が必要。だが君たちは緩衝地帯だと言われたフィンランドからしたらどうだろう。」
これには竹中氏が反論。「フィンランドは自ら選んで緩衝地帯になることで地域の安定を図ってきた。」
竹田氏も引き下がらない。「これまではそうだったと思う。それはフィンランドがロシアは絶対攻めてこないという安心感を持っていたから。第二次大戦でフィンランドの東部がロシアに攻められて、東をあげる代わりに、これ以上西には来ないで欲しいという約束をした。その約束の上で緩衝地帯に甘んじた。」
朴一氏が反対の立場で主張する。「フィンランドのマリン首相は、元々緩衝地帯としていきたいと信念を持っていた。だが国民の世論の7割がNATOに加盟すべきとなった。連立政権の苦渋の選択としてNATO加盟を選択したと思う。問題は正式に加盟が認められるまでの間にロシアが侵攻する可能性。実際ウクライナがそうだった。同じことが起こった時に誰がどうフィンランドを守るのか。」
井上和彦氏も賛成の立場。「フィンランドはそれまでは、気をつかってソビエト製の兵器を使っていたが、気がつくとドイツ製の戦車とアメリカ製の戦闘機に切り替えた。徐々にロシア離れをやってきた。スウェーデンはまったく対ソ連一辺倒で来て、軍隊の装備は全部対ソ連向けだった。むしろNATOに入ってない方が不思議なぐらいの状況。自らが攻められないようにNATO加盟の選択をしてなかっただけの話だ。」

古舘伊知郎氏は印象的なエピソードを語る。
「バルト三国の話が出たが、ソ連邦崩壊の時に、その前からソ連に反対の態度をとっていたリトアニアの商店主のお父さんがソ連に連行され、最終的に亡くなった。ソ連崩壊後に年老いておばあさんになった奥さんのところにご遺体が氷漬けで送られてきた。連れて行かれたときと同じ姿形が、氷の中に入って戻ってきた悲しみのドキュメンタリーがNHKで放送された。守るべきものは自分たちで守らなきゃと。当然そうなると思う。」
宮家氏が加えて解説する。「フィンランド、スウェーデンそしてノルウェーの三か国は、実は共存共栄で協力し合っている。フィンランドはロシアに直接面していて陸軍国。スウェーデンは空軍国。だけどフィンランドとスウェーデンはNATOには入ってないがEUには入っている。ノルウェーはNATOに入っているがEUに入ってない。賢い分業をしてロシアを抑止してきた。」
中林美恵子氏は「自国を守るため当然の進展」と回答。「NATOの国々も十分に理解している。民主主義的な価値を共有できる国が既にある。問題はどっちつかずの絶妙のバランスが取られた時代が終わりになりつつあること。そこが私たちにとって一番大事なポイントだと思う。日本もあっちにもつかない、こっちにもつかない形で上手に間を縫ってきた。今まではそれができたかもしれないが、今後第二の冷戦のような状況が始まるとき、少なからず影響がある。これらの国々の生き方がとても参考になるだろう。」

最後の中林氏の論が深く胸に刺さった。日本はもう曖昧な態度では済まないのだろう。今後の日本外交はどう進むべきか、注視していきたい。

※追記/番組放送後、フィンランド政府は5月12日にNATO加盟申請の方針を表明した。

【文:境治】
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