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AIスピーカーでリモコン消滅!?テレビ業界が直面するチャンネル戦国時代とは?

2017.12.26

「オッケーGoogle、今日の予定は?」「アレクサ、明日の天気を教えて!」
2017年後半の話題を席巻したデジタルガジェットといえば、AIスピーカー。現時点で出来ることは限られているが、実際に購入し、その便利さに未来を感じている人も多いことだろう。今回、読みテレ編集部ではこれらAIスピーカーが持つ、音声で家電製品を操作する、スマートハウスのハブ的な側面に注目。現行のAIスピーカーでどの程度「テレビ」の操作が可能か検証を行った。その結果、テレビ業界を揺るがすかもしれない未来が見えてきた。

「テレビをつけて!」3大AIスピーカーのテレビ対応、徹底比較!

2017年12月現在、日本で発売されているAIスピーカーで代表的な機種といえば、Google Home、Amazon Echo、Clova WAVE。まずは、これら3大AIスピーカーで可能なテレビの操作を下記にまとめてみた。
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これを見ると、LINEから発売されているClova WAVEは特に機材を買い足さなくても、単体でテレビ操作が可能なことがわかる。理由は3つのスピーカーのうち、日本の多くの家電リモコン通信で使われている赤外線通信機能を標準搭載しているのがClova WAVEのみだからである(これは意外!)。要するに、ユーザーから音声で命令を受けると、Clova WAVEはその命令を赤外線通信で直接テレビに送ることができるのだ。

Google Home、Amazon Echoはスマートリモコンを駆使!

続いてGoogle Homeだが、こちらは別途購入の必要があるChromecastを介することにより、テレビのON/OFFや音量の操作が可能になる。(テレビのチャンネルを変えたり、入力を切替えたりは出来ない。)

最後にAmazon Echo日本版は現在、単体・Fire TV Stickを介してもテレビの操作は出来ない。
しかし、Nature Remoなどのスマートリモコンを使用し、IFTTTと呼ばれるサービスを介することで、テレビのON/OFF〜入力切替まで大半のテレビ操作がEchoを通じて可能になる。ちなみに、Nature RemoはGoogle Homeでも使用可能で、多少手間はかかるが一度設定してしまえば、テレビだけでなく赤外線リモコン操作可能なエアコンや照明もすべて音声で操作できてしまう便利なシロモノなのだ。

ということで、本記事執筆時点では、テレビ操作に単体で対応しているものはClova WAVEのみとなるが、スマートリモコンを介する事によって、テレビの基本的な操作はどの機種でも可能だ。さらに時が経てばAIの進化と対応機器の増加により、HDDレコーダーを含む周辺機材とテレビとのやりとりもシームレスなものになっていくだろう。そのうち、「適当にザッピングして!」とか「HDDレコーダーからMステの安室奈美恵の出演シーンを再生して!」などといった操作が面倒なリモコン操作無しで可能になる日が訪れる事は想像に難くない。

地上波最後の砦「リモコン」消滅?フラットで熾烈なテレビ画面の奪い合いが始まる

これまで、衛星波(BS/CS)、CATV、Netflix(Netflixボタン)、Amazon Fire TVなど、様々なプレーヤーがテレビ画面に進出しようと試みてきた。それらがことごとくクリティカルなものとならなかったのは、テレビリモコンが持つ「押せば1アクションで番組が見られる12個のボタン」というシンプルなインタフェースを独占できていた部分が非常に大きい。しかし、AIスピーカーの登場で、この最後の砦かつ最強のインタフェースであるリモコンが消滅する日が来るかもしれない。そして、その日が訪れた時、地上波にもYouTubeにもAbemaTVにもワンアクションで到達可能、真の意味でフラットなテレビ画面の奪い合い=チャンネル戦国時代が始まるのである。

また、「リモコンがAIスピーカーに置き換わる」ということは、同時に「いつ、誰が、どの番組を、どのくらい見たのか」という、テレビの膨大な視聴データをAIスピーカーによって取得される可能性があることを意味する。AIスピーカーの供給者達がこれらのデータを自社で収集した他のデータを組み合わせ、更なる自社サービスの強化につなげる事が可能になる一方、テレビ業界はそれを黙ってみている事しかできないのであろうか。

テレビ業界に抗う術はないのか?

このように、AIスピーカーの普及によって世の中は確実に便利になるといえるが、テレビ業界にとっては競合と真正面からぶつかる場が生まれ、自局の視聴時間が削られ、視聴データは他者の手に…というイバラの道が待っていることも否定できない。テレビ業界がこの時代を生き抜くためには「視聴者に選ばれるため、質の高いコンテンツを作り続ける」という、「コンテンツファースト」の精神を益々強化することは必須であるが、それ以外に方法はないのだろうか。個人的にはAIスピーカーに「テレビ業界が生き残る道を教えて!」と聞きたいところであるが、きっと「自分で考えてください。」という答えが返ってくるに違いない。

【文:清水誠(読売テレビ)】
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