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読みテレ編集部

知ってた? テレビの番組表は「見てほしい」という工夫だらけだった!!

2019.03.07

世間のみなさんが今どんなふうにテレビを楽しんでいるのかに興味津々の『読みテレ』編集部では、今回テレビの“番組表”に注目してみました。

テレビを楽しむ上で視聴者が何から情報を得ているのかを見てみると、「電子番組表(テレビ画面に表示される番組表)」が最も多く49.8%。次いで「新聞のラ・テ欄(新聞のラジオ・テレビ番組表)」が40.4%。
そして「SNS(LINE、Instagramなど)」が14.8%だそうです(※スカパー!がインターネットで実施した「テレビ視聴に関する調査」2018年より)。

番組が面白かったから、異議があるからとSNSで拡散される現象はもはや当たり前ですが、これはまだ全世代に影響しているわけではなさそうです。やはり多くの人はシンプルに“番組表”を見て「これ、面白そう!」とテレビを観ている。そして、そんな中でも「新聞のラ・テ欄」が今なお4割の人たちから視聴選択の情報源とされているのは興味深い事実です。その信頼度、かなり根強い。

そこで、今回は「新聞のラ・テ欄」を書く人たちにあれこれと聞いてみました。

電子番組表が比較的に文字数に余裕があるのに対し、「ラ・テ欄」は制限がきつい。ゴールデンタイムなら、ヨコ10文字×タテ5、6行の中に番組の面白さをギュッと詰め込まなければなりません。ミニ番組なら、5文字だけなんてのもあります。「ラジオ・テレビ欄」略して「ラ・テ欄」――そこにはどんな工夫があるのでしょうか。

番組表は基本的にプロデューサーが書いていた!その工夫はさまざま!

まずは、ラ・テ欄を書く上で作法のようなものはあるのだろうか?

――「じっくり読むというより、目でパッと情報を追う感じなので、ひとつの単語の途中で改行させないというルールはあります。10文字めで単語の区切りが気持ちよく終わってるはず。その方が入ってきやすいからです」(報道番組プロデューサー)

改めて見てみると確かにそうなっています。例えば、県民の秘密をカミングアウトする人気番組『ケンミンショー』のある日のラ・テ欄を見てみましょう。
「全国ホカホカ汁物祭り
 青森㊙海鮮じゃっぱ汁
 新潟豪華具材のっぺ汁
 大分モチモチだんご汁」
これなど、気持ちいいくらいにパッと理解できますよね。

――「企画にもよりますが、できるだけ短く引っ掛かりそうなワードを多くまぶしています。よっぽど1つのネタが強い時は、それ推しにしますが」(情報番組プロデューサー)

限られたスペースの中に、話題をいくつ詰め込むか。そこも悩みどころらしい。
人気番組『チコちゃんに叱られる』のある日のラ・テ欄は、「高齢者をシルバーと呼ぶ秘密▽タイムマシンはある?▽……」と「▽」を入れることでたくさんのネタを並べていますし、ある日の『ぐるナイ』では「➀ドラム得意なモテ男➁CMドラマ引っ張りだこ美女W参戦!…」というように数字を入れてラインナップを見せている。
この中に「気になる!」と思ってもらえる要素があれば御の字というわけです。

――「ひらがなは多めがいい。昨今は高齢者が多いので遠目に見ても目立つものを心がけています」(バラエティプロデューサー)

なるほど。漢字は少ない文字で意味を詰め込めるが、適度にひらがなを入れないとゴチャゴチャした印象になり、視線から避けられてしまうのだとか。

基本的な作法こそあれ、限られた空間を使って情報を提供するため、その工夫は番組のジャンルや制作者によってそれぞれ違うようです。そして、ラ・テ欄は制作統括をしているプロデューサーが書いているので、その番組のテイストが如実に醸し出されるものだと言えます。

ラ・テ欄でよく見る「あるあるフレーズ」、それは視聴者の好みそのもの!?

番組表は美味しい料理のメニューと同じだろう。いかに食べたくなるか、プロデューサーたちは心得ているようで、それぞれお得意のフレーズというのがあるようです。

――「うちはスタジオトークなので例えば『ケチ対決A子vsB美』のようにスタジオの熱量が伝わるような『VS』はよく使います」(トークバラエティ)

確かにバトル的な言葉は盛り上がっている様子がイメージできます。どうやら私たち視聴者は白熱したイザコザを期待している?

――「メインタレントが圧倒的な人気者ならば、その人を中心に書きます。『上沼激怒』『上沼仰天』『上沼号泣』は多用しました」(情報バラエティ)

これはもう誰の番組か明らかですが(笑)、メインタレントがどんな反応をするのか?で「今回もスゴそうだなぁ」とそそられてしまうというわけです。

――「問いかけパータンを使う時があります。『……完食なるか』『……見つかるか』『……正体は』というように見どころを提示します。最後まで見てほしいという願いを込めて」(バラエティ)

人気企画が定着している番組では、「今回は完食なるか?」といった見方で注目してもらおうという作戦のようです。

――「お金関連のワードは入れがちかも。とくに金額が大きい時は」(情報ワイド)

確かに豪邸や年収、売上、宝石装飾品といったものの金額は目を引きますよね。
また、お金だけでなく、ラ・テ欄には他の数字もかなり多く見受けられます。ある日のラ・テ欄からちょっと抜き出してみましょうか。
「10分で美文字になる」
「ボロボロバスで16時間」
「22歳美女が物件探し」
「極寒!!-30度!!真冬アラスカ」
「100年ぶりお引っ越し」
……おぉ、どれも気になりますねー。

こう考えると、ラ・テ欄は「気になる」が大渋滞しているスペースと言えます。しかし、そんな中でもさらに目立たなければなりません。そこで登場するのが――?

ラ・テ欄には必殺表記がある!

やたら見かける表記というのがあります。ざっと並べてみましょう。
「衝撃!」「告白!」「スタジオ騒然!」「速報!」「独占!」「感動!」「激ウマ!」「追跡!」「密着!」「絶品!」「スゴ腕」「スゴ技」「初体験!」「究極!」「豪華!」「必見!」「直撃!」「爆笑!」「初登場!」「ナゾ」(漢字の「謎」はダメ)「ナマ激白」(漢字の「生」もダメだそうです)……これら、あちこちで使われていますが、それでもコレがあると、なぜか目に飛び込んでくる。
取材したプロデューサーの中には安易にコレらは使いたくないという人もいましたが、文字制限の中では結局重宝して使わざるを得ないというのが現状のようです。

そんな中でも、絶対的に気になる表記というのがあるそうです。それが「マル秘――『㊙』ですね。これを使うとなんだろうとガゼン興味が沸いてくる」(情報バラエティ)

確かに、ラ・テ欄の中に『㊙』は多い。これまた、ある日のラ・テ欄から抜き出してみましょうか。
「簡単㊙レシピ」
「オリーブ油㊙成分」
「家電店㊙激安買い物術」
「美人教師の圧巻㊙授業」
「巨大㊙ベトナム料理」
「転身㊙起業」
「石原プロ㊙イケメン」
「不思議…㊙遠隔気功師」
「冷え性改善㊙きのこ」
……うーむ、どれも謎めいて気になるぅー。

筆者は男性なので、「美人教師の圧巻㊙授業」はガゼンそそられます。もしこれが「美人教師の圧巻授業」だとしたらちっとも食指は動きません。今はマル秘だけど、番組を観てくれたらわかりますよー、という誘いをたった1文字で表せる『㊙』はキラー表記と言えるでしょう。

ラ・テ欄の爆発力がすごいドラマとは……?

すでにネットでも話題ですが、ラ・テ欄の爆発力がすごいドラマがあります。人気ドラマ『科捜研の女』です。2018年10月クールの中から気になるものをちょっと並べてみます。

「凶器をフリマアプリで売る女!?マリコ決死の爆買い!!」
「飛行距離1200キロ!?蝶が見た逃亡犯VS虫取り名人マリコ」
「マリコVS殺人音楽隊音程を外すと死を招くメロディ!?」

ス、スゴイ……!「凶器をフリマアプリで売る女!?マリコ決死の爆買い!!」などはもはやコミカルでツッコんでくれと言わんばかり。これらのラ・テ欄は、昔の2時間サスペンスのやたら長いサブタイトルや、ワイドショーの「地獄!お盆に腹立て姑にスイカ投げる鬼嫁」系の、なんだかわからないけど好奇心がくすぐられる系譜の極みと言えるかもしれません。

そこには、書く人の技が間違いなく詰まっています。
書き続けて、辿り着いた人だけが知っている技なのかもしれません。いっけんフザけているのに、それでもしっかり映像が浮かぶように書かれている。これはもう、熟練された技でしょう。

ラ・テ欄が面白ければ、番組自体も面白い!

今回、ラ・テ欄を書く人たちを取材してみて同じようなことを多くのプロデューサーから言われました。それは、

「ラ・テ欄が面白ければ、その回の番組も面白い!」

ということです。
時々何を書いたらよいか困る時があるそうです。そういう回は、どうも売りがない。細かく面白い話題はあるのだけれど、メインとして書けるものがない。こういう場合は、だいたい視聴率も芳しくないと言います。

「少しでも見てみようかと思ってもらえるように毎回数時間は悩んで書いています」(情報ワイド担当)

「上司のチェックがあるので、よくダメ出しされて締め切りギリギリになってます。けど、いい言い回しを思いついた時は制作者として快感です」(報道番組担当)

みなさん相当な時間と能力を費やしていました。ラ・テ欄は、制作者たちの自己PRの場です。
「おつきあいしてください!」「私を選んで!」と手をさしのべている状態。
ですからテレビを楽しむのなら、まずは番組表をチェックしてみてください。
自己PRが伝わってくるのなら、その番組は自信を持って面白いとオススメできますから。
さぁ、テレビを観る前に番組表をチェック!
【文:鈴木 しげき】

執筆者プロフィール
放送作家として『ダウンタウンDX』『志村けんのバカ殿様』などを担当。また脚本家として映画『ブルーハーツが聴こえる』連ドラ『黒猫、ときどき花屋』などを執筆。放送作家&ライター集団『リーゼント』主宰。
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