【グッと!地球便】アメリカ・ロサンゼルス 偶然の出会いからチョークアーティストになった娘へ届ける両親の想い
2024.07.01
アメリカ・ロサンゼルス。ここでチョークアーティストとして奮闘するkokoこと瀬尾琴之さん(29)へ、栃木県で暮らす父・恭彦さん(58)、母・雅威さん(57)が届けたおもいとは―。
オーストラリアとアメリカの技法を組み合わせた独自のスタイルを武器に
街の中心部にあるピザ店でチョークアート制作の真っ最中だった琴之さん。間もなくオープンする新店舗に飾るためのチョークアートを依頼されたそうで、オーダーされたテーマは「ピザ」と「ピクニック」。しかもいいパフォーマンスになるから、と今回は人通りのある店頭で絵を描いていた。
チョークアートは一般的なチョークではなく、専用のオイルパステルを使用することでこすっても消えず、より繊細な表現が可能になる。チョークアートの本場・オーストラリアでは、そんな色鮮やかで消えないスタイルが主流だ。一方アメリカでは、白を基調とする文字をメインに消えるチョークでデザインした「タイポグラフィ」という技法が主流だという。琴之さんはオーストラリアとアメリカ、それぞれで学んだ技法を組み合わせた独自のスタイルを武器に、2021年からロスで活動している。
本当にやりたいことを模索する中、人生を大きく変えた偶然の出会い
絵を描くことが大好きだった琴之さんは、小学生の頃から数々の賞をもらうほどの腕前で、父と一緒に取り組んだひまわりの絵では宇都宮の芸術祭で特賞を受賞した。ただ、チョークアーティストになるまでの道のりは決して平坦ではなかったという。
アーティストやデザイナーに憧れていたものの、両親が望むまま安定した会社に就職。しかしストレスと過労で体調を崩してしまう。そこで仕事を辞め、自分が本当にやりたいことを模索する中、人生を大きく変えたものが、図書館で偶然見つけた本に載っていたチョークアート。ロスのとある店の壁一面に描かれたタイポグラフィのチョークアートに感動した琴之さんは、どうしてもこの作品が忘れられず、オーストラリアで学んだあとロスへやってきたのだった。
今また人生を変えたそんな作品を前にして、「チョーク1本で人々をこれだけ感動させられるようなアーティストになりたいと思います」と誓う琴之さん。現在、仕事の依頼は月に8件ほどで、収入的にはまだまだというのが現状。そこで地道に飛び込みの営業も行っている。
翌日、ピザ店で制作を続ける琴之さんは、ピクニックをイメージしたカラフルなイラストの周りにタイポグラフィで白い文字をデザインしていく。どんな書体をどんな配置で書くのかが腕の見せ所だ。こうして制作時間37時間、2メートル四方という自身でも一番の大作が完成し、依頼したオーナーも「期待以上の出来栄え」と大満足する。
そんな中、SNSを通じてビール醸造所からメッセージが。さっそく店を訪ねた琴之さんは、チョークアートの見本を見せて積極的にアピール。そしてどんな作品にしたいのかを詳しく聞き出して、リクエストされたキーワードをその場でデザインへと落とし込んでいく。さらにスマホを駆使してデザイン画を修正。アメリカではこのスピード感が大事だといい、今回も無事依頼へとつながった。
最初は大反対していたという母・雅威さん。だがロスで積極的に活動する琴之さんを見て「感動しました。すごく成長しているし、頑張っているのが伝わってきて…」と胸を詰まらせる。一方、父・恭彦さんも「思っていたより100倍ぐらいすごいですね」と、この道を選んだ娘に目を細める。
ようやくたどり着いた道を歩み続ける娘へ、両親からの届け物は―
ロサンゼルスに渡り3年。遠回りしたものの、ようやくたどり着いた道を歩み続ける娘へ、両親からの届け物はチョークアート用のエプロン。雅威さんがミシンをかけ、絵が得意な恭彦さんがデザインしてイラストや文字を描いたものだ。中央にはかつて親子で取り組んだあのひまわりが描かれていた。「幼い頃から夢だった道でこれからも頑張ってほしい」そんな両親の想いに触れ、最初は笑顔だった琴之さんも次第に涙がこみ上げる。「少しでもいい結果を両親に見せたいっていうのが原動力にもなっているし、心配なこともいっぱいある中で応援してるって言ってくれて、本当に感謝ですね」。そしてエプロンを身につけ、「ますますスキルアップして、どんどん仕事をしたいと思います」と決意を新たにするのだった。
街の中心部にあるピザ店でチョークアート制作の真っ最中だった琴之さん。間もなくオープンする新店舗に飾るためのチョークアートを依頼されたそうで、オーダーされたテーマは「ピザ」と「ピクニック」。しかもいいパフォーマンスになるから、と今回は人通りのある店頭で絵を描いていた。
チョークアートは一般的なチョークではなく、専用のオイルパステルを使用することでこすっても消えず、より繊細な表現が可能になる。チョークアートの本場・オーストラリアでは、そんな色鮮やかで消えないスタイルが主流だ。一方アメリカでは、白を基調とする文字をメインに消えるチョークでデザインした「タイポグラフィ」という技法が主流だという。琴之さんはオーストラリアとアメリカ、それぞれで学んだ技法を組み合わせた独自のスタイルを武器に、2021年からロスで活動している。
本当にやりたいことを模索する中、人生を大きく変えた偶然の出会い
絵を描くことが大好きだった琴之さんは、小学生の頃から数々の賞をもらうほどの腕前で、父と一緒に取り組んだひまわりの絵では宇都宮の芸術祭で特賞を受賞した。ただ、チョークアーティストになるまでの道のりは決して平坦ではなかったという。
アーティストやデザイナーに憧れていたものの、両親が望むまま安定した会社に就職。しかしストレスと過労で体調を崩してしまう。そこで仕事を辞め、自分が本当にやりたいことを模索する中、人生を大きく変えたものが、図書館で偶然見つけた本に載っていたチョークアート。ロスのとある店の壁一面に描かれたタイポグラフィのチョークアートに感動した琴之さんは、どうしてもこの作品が忘れられず、オーストラリアで学んだあとロスへやってきたのだった。
今また人生を変えたそんな作品を前にして、「チョーク1本で人々をこれだけ感動させられるようなアーティストになりたいと思います」と誓う琴之さん。現在、仕事の依頼は月に8件ほどで、収入的にはまだまだというのが現状。そこで地道に飛び込みの営業も行っている。
翌日、ピザ店で制作を続ける琴之さんは、ピクニックをイメージしたカラフルなイラストの周りにタイポグラフィで白い文字をデザインしていく。どんな書体をどんな配置で書くのかが腕の見せ所だ。こうして制作時間37時間、2メートル四方という自身でも一番の大作が完成し、依頼したオーナーも「期待以上の出来栄え」と大満足する。
そんな中、SNSを通じてビール醸造所からメッセージが。さっそく店を訪ねた琴之さんは、チョークアートの見本を見せて積極的にアピール。そしてどんな作品にしたいのかを詳しく聞き出して、リクエストされたキーワードをその場でデザインへと落とし込んでいく。さらにスマホを駆使してデザイン画を修正。アメリカではこのスピード感が大事だといい、今回も無事依頼へとつながった。
最初は大反対していたという母・雅威さん。だがロスで積極的に活動する琴之さんを見て「感動しました。すごく成長しているし、頑張っているのが伝わってきて…」と胸を詰まらせる。一方、父・恭彦さんも「思っていたより100倍ぐらいすごいですね」と、この道を選んだ娘に目を細める。
ようやくたどり着いた道を歩み続ける娘へ、両親からの届け物は―
ロサンゼルスに渡り3年。遠回りしたものの、ようやくたどり着いた道を歩み続ける娘へ、両親からの届け物はチョークアート用のエプロン。雅威さんがミシンをかけ、絵が得意な恭彦さんがデザインしてイラストや文字を描いたものだ。中央にはかつて親子で取り組んだあのひまわりが描かれていた。「幼い頃から夢だった道でこれからも頑張ってほしい」そんな両親の想いに触れ、最初は笑顔だった琴之さんも次第に涙がこみ上げる。「少しでもいい結果を両親に見せたいっていうのが原動力にもなっているし、心配なこともいっぱいある中で応援してるって言ってくれて、本当に感謝ですね」。そしてエプロンを身につけ、「ますますスキルアップして、どんどん仕事をしたいと思います」と決意を新たにするのだった。
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