【沖縄県】食堂に他のおかずとは別に「おかず」というメニューがあるってどういうこと?

2023.07.09

【沖縄県】食堂に他のおかずとは別に「おかず」というメニューがあるってどういうこと?
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「おかず」と言えばもちろん、ごはんと一緒に食べる生姜焼きやとんかつ、ハンバーグなど惣菜全般を指す言葉で、説明するまでもないだろう。ところが、沖縄ではちょっと意味が違うらしい。

うるま市のビーチカフェの明るいお父さんに「おかず」について聞くと、「ローカル食堂の定番メニュー。おかずっていうメニューがあります」と言う。えーっと、ちょっと意味がわからない。「おかず」というメニュー?メニュー全般がおかずと言えばおかずなんじゃないの?「沖縄あるあるメニュー」と言うので「おかずって注文したら何が出てくるのかなと思いません?」と聞くと「・・・MADE IN OKINAWA」と言ってけっきょくわからない。
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別のお兄さんに「おかずといえば生姜焼きとかハンバーグでしょ?」と聞くと「違います」ときっぱり否定。「おかずは、おかずです」えー?さっぱりわからない。「メニュー表記にはおかずとあります」ごはんに合うのは全部おかずじゃないんですか?とさらに突っ込むと「・・・県外はそうなんですかね?」とまた「・・・」を挟んで謎の回答。

そこで、沖縄市にある「グランド食堂」に行くと、生姜焼きやポーク卵、とうふチャンプルーなどのメニューが並ぶ中、おや?「おかず」というメニューがある。えー!本当に「おかずはおかず」ってことか?
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別の食堂に行ってみると「おかず定食」というメニューがあって、頭の中が大混乱。おかず定食ってそのおかずは何なの?さらに別の食堂で観察していると、お客さんが本当に「おかず」と注文している。出てきたのは、野菜炒めに薄焼き卵がのったお皿だった。これか!これがおかずか!なぜ野菜炒めと呼ばないんだ?ますます謎が深まるばかり。

お客さんは何の戸惑いもなくおいしそうに食べている。平然と「これがおかずです」と言っている。理解できないでいると「おかずはおかず。野菜炒めとは言わない」と説明にならない説明をしてくる。食堂のおばちゃんが言うには「おうちで出すと、野菜炒め。食堂だとおかず」と教えてくれて、またわからなくなった。何でですかと聞くと「分からんさ」ってえー!わかんないの?
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さらに名護市の食堂に行くと「はい、おかず」と運ばれてきたのは、野菜炒めに生姜焼きがのってポーク卵までついている。ちょっと話が違うよ!これもおかずなのか?だがお客さんは「見たまんまおかずです。他の名前を付けなさいと言われたら困りますね」と言う。さっきの食堂とちがうのに。野菜炒めがおかずなのでは?と聞くと「いや、家で食べたいもの全部詰めてるのがおかず。その食堂ならではのおかずがある」と答える。そうかわかってきたぞ、食堂によって違うのか。
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どういうことなのか、沖縄の食文化について詳しい株式会社トラベローグの伊藤一洋さんに聞いた。
「食堂は家庭料理を出す場所でした。余りもので作った野菜炒めを、家庭で使っていたおかずという名前で提供していました。」なるほど、今のようにメニューが広がる前に食堂で出していた家庭料理の主流が野菜炒めで、「おかず」という名前で出していたのが、今も残っているということのようだ。

だから沖縄の人に野菜炒めの写真を見せると「おかず」と答える。そこに薄焼き卵がのってもやっぱり「おかず」。ようやくわかってきたぞ!

ところが、大宜味村の食堂で「焼き肉おかずですねー」と出てきたのは、焼き肉と卵焼きと生のキャベツ。野菜炒めがないではないか!ルール違反だぞ、このおかずは!お客さんに聞くと「ごはんと味噌汁に何かつけば、それがおかずです」って、そうでしょう?それがおかずでしょ?なんか話が戻っちゃったぞ!
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結局沖縄の「おかず」とは何なのか、またわからなくなってしまった。きっと沖縄県民は「なんくるないさー」と明るく言っておしまいなんだろうな。難しい顔で考えちゃってる自分が馬鹿みたいに思えてきた。ま、なんくるないさー!

【文:境治】
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