第3次世界大戦は起こりうるか?そんな議論をする時代が来た

2022.11.10

第3次世界大戦は起こりうるか?そんな議論をする時代が来た
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今、3人の指導者が世界を脅かしている。ウクライナだけでなく、台湾有事の可能性も論じられ、日本海をミサイルが飛ぶのも日常化しかけている。11月6日放送の「そこまで言って委員会NP」では「恐るべき中国・ロシア・北朝鮮その倫理とイデオロギー」と題し、世界に迫る危機を議論。中でも白熱したのが、「第3次世界大戦は起きると思いますか」と問いかけたパートだった。

「起きない」と回答した岡部芳彦氏(ウクライナ研究会・会長)は「意外にプーチンが腰抜けだとわかった」という。
「経済制裁でスターバックスやマクドナルドが撤退し、そこに政府の息のかかった企業が似たような店を開いた。雰囲気はマクドナルドっぽいが、Twitterの投稿を見ると、パンがカビていたりして、劣化コピーだった。マクドナルドが閉まっているのは西側の経済制裁のせいだと言えばいいのになぜ開くのか。国民の支持をつなぎ止めるには、マクドナルドらしきものは必要だからだ。独裁者のイメージがあるが意外に国民生活に気を遣っている。」

竹田恒泰氏(作家)は「希望的観測を語る段階は過ぎた」と「起きる」との回答。
「今は世界がウクライナに集中しているが、中国が台湾を攻めたら、もう世界大戦になる。」との論は一理ある。

峯村健司氏(キヤノングローバル戦略研究所 主任研究員)も似た理由で「起きる」と回答。
「ロシア帝国の復活をプーチン大統領は目指している。そこが重要なポイントで、中国も同じ。2013年に習近平国家主席がプーチン大統領と会談した時に、『僕たちの夢は似ている』と言った。その習近平国家主席が3期目になると、その関係にどんどん突っ走る可能性は ある。ウクライナ戦争が長期化して、台湾有事が起こると、第3次大戦に近いものが起こると危惧している。」

ここで番組政策秘書・野村明大アナも自らの意見を開陳。
「ロシアが苦戦している現状では、ロシア側につく国は出てこない」と示しつつ、
「でも、今の二人の話を聞くと、2つの違うところで大きな戦争が起きたらイコール第3次大戦との理解も成り立つ。」と悩み込む。

門田将隆氏(作家・ジャーナリスト)は「起きない」との回答だが似たことを述べる。
「今だんだんロシアの武器や部品の不足が徹底的な輸出規制によって起こっている。核兵器を使うしかない状況が来て、実際に使われるとなると、連動する。ロシア、中国、北朝鮮の3人の独裁者はすでに連動を約束しているだろうとみんな思っている。」

「起きない」と回答した安田峰俊氏(ルポライター)が反論する。
「中国とロシアは完全に結託してはいない。今年もプーチン大統領が習近平国家主席と会談しラブコールを前面に出していたが、習近平国家主席の側はテンションが低く、わざと原稿を見ながら喋っていた。ロシアは金融制裁で国際決済システムであるSWIFTからも外されている。それで、中国に銀聯(中国の決済システム)と一緒にやらないか言ったが断られている。必ずしも強固な結びつきを持っているわけではない、と考えた方がいいと思う。」

田嶋陽子氏(元参議院議員)は「避ける知恵を世界はまだ獲得できていない」ので「起きる」と回答。
「第2次世界大戦で、あんなに大変な思いをしてまた第3次世界大戦なんて口に出すのも嫌だ。ロシアとウクライナがこうなっただけで、日本のような小さい国はもう大変。いつまでもマッチョ世界で男どもには頭にくる。」と怒り心頭だ。
中林美恵子氏(元アメリカ連邦議会上院補佐官・早稲田大学教授)が諭すようにこう述べる。
「アメリカの元高官の中でも、ウクライナでの戦争は軍事力でしかもう解決できないんじゃないか、という声が出ている。戦争が起こってしまう前に、相当ロシアを恫喝しておく必要があった。抑止とは恫喝。それをできないから、侵攻が起こってしまう。」
これに田嶋氏がからむ。
「私が人を殺したら裁判にかかって死刑になる。プーチン大統領は誰が見たって殺人者、 侵略者だ。裁く機関はないのか。」
宮家邦彦氏(立命館大学 客員教授)が答える。
「戦時国際法があって、コソボ紛争でも国際法廷が作られた。おそらく、このままプーチン氏が負ければ、当然何らかの国際法廷が…」
だが竹田氏が逆の場合を想定して言う。
「終わった後に戦争犯罪人として裁かれる可能性はあるが、もしプーチン氏が勝ったらその機会は失われてしまう。」
田嶋氏は「プーチンが勝っても犯罪は犯罪。」と言い続ける。
岡部氏が「忘れてはいけないのは、ロシアは曲がりなりにも民主主義国家。一応、民主主義的な手続きでプーチン大統領は選ばれている。ポストから降りた後はもちろん裁くことができるだろうが…。」とまとめた。

第3次世界大戦が起こるか、なんて議論する時代が来るとは去年まで考えなかった。どうすれば最悪の事態を防げるか、簡単にはわからないがみんなが考える時だろう。

【文:境治】
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