『永谷園』のCMに力士ばかり起用されるワケとは?

テレビを楽しむ上で欠かせない要素のひとつがCMだ。中には「妙にインパクトがある」とか「どういう意図でつくったの?」などと気になるものも多い。そこで、『読みテレ』では話題のCMの気になる部分に迫っていく。今回注目したのは、誰もが一度は観たことがある『永谷園』のCMだ。

同社のCMと言えば、真っ先に思い浮かぶのが高見山関や高見盛関などのお相撲さんだ。やたらお相撲さんが出てきて、お茶漬けを食べているイメージがある。どうして力士なんだろうか? 永谷園さんは相撲が好き過ぎではないのか? そんな疑問を解明してもらうべく、同社の広報部にいろいろと聞いてみた。

まず、意外だったのは、これまでに同社のCMに出演している力士は、当時の高見山関(前・東関親方)、当時の高見盛関(現・振分親方)、遠藤関、照ノ富士関の4人だけだった。「えっ、そんなもんだっけ?」と思った方も多いだろう。それぞれの出演期間を見てみると、

・高見山関(1978年~1984年)
・高見盛関(2003年~2012年、2013年~)
・遠藤関(2013年~)
・照ノ富士関(2015年~)

となっている。現在放送中の3人を除けば、同社のCMに出演した力士は高見山関だけだった。しかも、1人目の高見山関から2人目の高見盛関の間に約20年もの空白期間がある。つまり、「永谷園のCMと言えば、ずっと力士が出演している」というのは、単なる筆者の思い込みだったのだ。

では、どうしてこんな印象があるのだろう。同社の広報部はこう答えてくれた。

「ひとつには、ひとりの力士の方にさまざまな同社製品のCMにご出演いただいていることがあると思います。例えば、現在も遠藤関にはお茶づけ海苔と煮込みラーメン。照ノ富士関には麻婆春雨や広東風かに玉、チャーハンの素などの中華総菜のCMにご出演いただいています」(永谷園HD・広報部)

なるほど。それで<永谷園のCM=力士>というイメージになっているのかも。

「それに、『社として大相撲を応援させていただきたい』ということで、2000年より懸賞旗を出させていただいています。振分親方(前 高見盛関)にご出演いただいてからも15年近く経っていますし、大相撲がお好きな方なら、その印象があるのかもしれませんね。いずれにせよ、そのような印象をお持ちいただけているということは、それだけ弊社のCMが浸透しているということですから、広報としては素直にうれしいです」(永谷園HD・広報部)
ちなみに、最初に高見山関をCMに起用したのは、「高見山関の親しみやすく、温かいキャラクターと、商品コンセプトがマッチしたから」だったそう。

では、やはり社内に相撲好きは多いのだろうか?

「はい。もちろん、遠藤関や照ノ富士関の勝敗の行方も気になります。場所を通して、大相撲全体を応援しています(笑)」(永谷園HD・広報部)

相撲好きの社員たちが愛情を込めてつくっている同社のCM。そんなことを知ると、ちょっとCMの見方も変わるのではないだろうか。

【文:井出 尚志】