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【特集】生まれ変わるテレビの今。技術職“照明さん”が企画した番組が海外でグランプリ! リメイク権を売る時代へ

2022.03.22

鈴木しげき
【特集】生まれ変わるテレビの今。技術職“照明さん”が企画した番組が海外でグランプリ! リメイク権を売る時代へ
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テレビ局の照明担当が“照明”の知識をフルに生かした番組を企画し、放送されたのが約1年前。それが『光に当たるな!暗闇怪盗L』(読売テレビ・日本テレビ系2021年3月26日放送)だ。この番組、昨年に韓国でオンライン開催されたBCWW国際フォーマットピッチングにおいてグランプリ(最優秀賞)に選ばれる快挙を達成している。
BCWW 国際フォーマットピッチング2021の様子

BCWW 国際フォーマットピッチング2021の様子


BCWWはアジア最大級のコンテンツ見本市。イギリス、オランダ、韓国、スペイン、フランス、日本の6か国9社の放送コンテンツや番組フォーマットがエントリーする中、その頂点に立ったのだ。今後、同番組が海外で展開される可能性が出てきた。

今、テレビは海を渡る時代。同番組は、技術職である照明さんが発案したという点も注目すべきところだろう。この番組を企画・制作した読売テレビの照明・奥嶋駿介さんに話を聞いてみた。

【企画 : 藤生朋子 / 取材・文 : 鈴木しげき】

「光に当たると即失格」というシンプルなゲームだから海を渡った

――まずは、企画が実現した経緯からお聞かせください。

奥嶋 : 局内で「U(アンダー)34」という企画募集がありまして、34歳以下なら制作部でなくても誰が応募してもいいというもので、これに企画を出しました。

技術局の照明担当という立場で普段から番組制作には携わっているのですが、番組の企画や中身の制作というのは未経験でした。けど、せっかく社内募集しているのなら「出してみようか!」と思って。もともと何か新しいことを考えたりするのが好きだったので、企画を考えるのは楽しかったですね。

――制作部でなくても受け付ける募集があるんですね。

奥嶋 : 以前に『妄想エレベーター』というドラマが深夜にやっていたのですが、それも僕の企画が少しだけ採用されて配信関係には関わっていました。それも制作部でなくてもいいという企画募集で、内容さえよければ通してくれる土壌が弊社にはあるんだと思います。

――『光に当たるな!暗闇怪盗L』の発想はどこから?

奥嶋 : 募集の時は企画を5本書いていて、5本目の『暗闇怪盗』が通りました。いろいろ書いたのですが、自分の強みってなんだろうと考えた場合、自分は技術系なので、それを生かせる番組で、なおかつ今まで見たことのないもの。それを突き詰めました。

読売テレビの照明担当の中で、大きな目標の1つが『ベストヒット歌謡祭』です。全国で見られて、しかも年末の音楽番組の口火を切る番組なので注目度が大きいのです。この番組を担当することが決まって、その時は他の音楽番組を研究しまくりました。普通、照明演出は番組をきれいに見せたり、歌っている様子を盛り上げたりすることが中心なんですけど、ふと、それ自体が番組の内容そのものになったら面白いのでは!? と思ったんです。
「そこまで言って委員会NP」のスタジオで
©ytv

「そこまで言って委員会NP」のスタジオで


それで逆に、光に当たったら負けというゲーム企画だったら今まで見たことがないぞ! と思って企画書にしました。そしたら編成部から「これ、いいじゃない」となって動き出すことになったんです。

――そして出来上がったのが「光に当たると即失格!」というサバイバルゲーム。ステージに張り巡らされた様々な形態の照明に当たらないようにゴールにあるダイアモンドを目指す、というわけですね。では、制作で苦労したところは?

奥嶋 : それまで番組には技術として関わってきましたが、作る側の苦労がわかっているようでわかっていなかったと思い知らされました。実際、やってみると打ち合わせをひとつひとつ重ねて、シミュレーションも重ねて……こんなに大変なんだと痛感しました。

特にこの番組はこれまで技術的にあまりやったことのないことに挑んでいます。普通、照明は人に当てにいくものですけど、当てにいかない。かといって真っ暗だとただの放送事故になってしまうので(笑)、どうやって番組として成立させるか。その塩梅を技術のみんなと協力して見つけていきました。

僕が制作を経験していない分、ついつい尖りがちになってしまうので、そこはキャリアのある制作会社のみなさんがきれいに整えてくれました。そうやって、いろんな人たちに助けられて完成した番組です。

――それがBCWW国際フォーマットピッチングにおいてグランプリ。スゴイですね!

奥嶋 : この企画は言葉もいらず、ルールも簡単です。企画段階から「海外でもウケるのでは?」と言われて、そこは意識して作りました。けど、まさかグランプリとは自分でもびっくりしました。

企画を進めるにあたり、海外番販チームから「非言語のゲームショーは世界のフォーマット販売でウケる」と聞いていたので、あとはどう見せるか? を必死に考えましたね。

おかげで、海外での評判は上々で、別の海外見本市では『暗闇怪盗』を「ジャパニーズ・ニンジャ」として紹介しているものもありました。僕が企画した中では「忍者」の要素はないのですが(笑)、面白いですよね。海外ウケだけを考えたら日本文化で押すのもアリだなと思ったり、今後の参考になりました。
番組内で、諸國沙代子アナウンサーの挑戦の様子
©ytv

番組内で、諸國沙代子アナウンサーの挑戦の様子


――今後、この番組フォーマットが海外で見られることに!?

奥嶋 : そういった動きはあるかもしれません。海外リメイク販売って数年かかるとかそんな話も聞いたので、うまくまとまるのを期待しています。

海外では視聴者参加型の番組がヒットすることが多いらしいので、この番組も各国の人が挑戦して楽しんでくれたら嬉しいですね。

――テレビは海を越える時代になりましたが、そういった変化をどう受け止めていますか?

奥嶋 : 個人的には、弊社は日本のテレビ局なので日本でヒットするのが大事だと思っていますが、世界の視聴者数を考えたら、やはり世界に市場を作ることは今後意識していくべきでしょうね。そのぶんリターンが大きくなりますし、読売テレビのブランドも上がると思うので、そういったところは期待しています。

テレビは世界にリメイク権を売ることで進化していく!

世界の見本市で、同番組がここまで評価されたのはいくつかポイントがあるという。コンテンツビジネスセンター海外番販チーフの中村拓未さんに聞いてみた。

中村 : 分かりやすいゲームショー、特徴的なセットやルールがある、拡張性が高いなど、海外リメイク市場としてはいくつかポイントがあります。そんな中、『暗闇怪盗』はこのすべてが揃っていることが海外で注目されている理由だと思います。海外リメイクの実現には数年かかることが多く、運と縁とタイミングもあるので、引き続き営業を掛けていきたいと思っています。

……ということらしい。今後、世界の人たちが『光に当たるな!暗闇怪盗L』に挑戦する可能性が出てきたが、このゲーム、クリアする秘訣はあるのだろうか?

実際に挑戦した、筋トレ好きで運動神経抜群の大野晃佳アナ(読売テレビ)にコツを聞いてみた。

大野 : ゲームの内容を聞かされた時は「これは行けるだろう」と思っていました。けど、いざ挑戦してみたら、目の前で照明が動いたり、光が交差したり、いつ飛び出していいかタイミングが難しかったです。わたし自身は、ゴール寸前で足が照らされてしまい、まさかの第1ステージ敗退でした(笑)。次は全クリア行けますので、ぜひまた挑戦したいです!
番組内で、大野晃佳アナの挑戦の様子
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番組内で、大野晃佳アナの挑戦の様子


……ということで、見た目ほど簡単ではないようだ。光と闇が交錯する世界は見ているだけでも美しいが、挑戦してみるとさらにハマるらしい。同番組の新展開に期待したい。
【奥嶋駿介 プロフィール】
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【奥嶋駿介 プロフィール】

読売テレビ技術局照明担当。2016年入社。制作経験がなかったものの、社内の番組企画コンテストに応募。それが番組『光に当たるな!暗闇怪盗L』。照明の知識をフルに生かした企画が、BCWW国際フォーマットピッチングにおいてグランプリを獲得。主な担当番組は『上沼・高田のクギズケ!』『漫才Lovers』『鳥人間コンテスト』『グッと!地球便』『カミオト-上方音祭-』『ベストヒット歌謡祭』など。
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