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【連載】影山貴彦のウエストサイドTV【25】

コロナで気づく大切なこと

2021.03.24

影山貴彦
コロナで気づく大切なこと
©ytv
卒業式・入学式の季節です。私が勤務する同志社女子大学でも、先日18日に卒業式が行われました。新型コロナウイルスの影響下の中、例年1時間程度のプログラムが、およそ半分の時間に短縮されての実施でした。ただ、意外なことに?というと表現が適切ではないかもしれませんが、私が大学教員となって出席した16回の卒業式の中で、「最も良かった」と感じました。
 
コンパクトにはなりましたが、そのおかげで、登壇者の挨拶もテンポが増しました。
何より、コロナの中、無事卒業式を迎えられたという、関係者の感慨が大きかったことは疑いのないところですが、もしかしたら、今までのような時間を掛けなくても、いや掛けない方が、より感動的な卒業式を行うことができるのではないか、と思えたのです。

世の中には、むやみに時間を掛け過ぎてきたことが、数多くあるのではないか、と、ここしばらく考えることが増えました。時間をたくさん費やすことで、「仕事をした気」、「勉強した気」、「苦労した気」へと、私たちは錯覚してきたのではないか、と意識するようになったのです。

そう考えると、憎々しいコロナに対しても、少しばかり思いが変化してきます。私たちの「命」を脅かすという点で、一日も早く平穏な日が訪れることを願ってやみませんが、コロナ社会を経験したことで、気持ちをポジティブに置き換えられることは、実は少なくないようにも思うのです。

花見ができなくて嘆いている人がいる。これも考えようで、「通り抜けスタイル」の花見は、地域によって若干の差はあるものの、可能な場所も多いわけです。花見の場所取りを会社の若手がさせられて、飲みたくもないお酒をイヤな上司と交わすことは、少なくとも今年はしなくていいのです。いえ、これから先もそんなことは止めてはいかがでしょう。静かに「桜」を愛でる。いいもんじゃありませんか。

多人数での会食ができなくて悲しんでいる人がいる。私はずっと友人たちに黙っていましたが、元々4人以上の会食は苦手でした。お酒の場は大好きなのですが、多人数がそれぞれ好き勝手にワーワー騒ぎ立てることが、この上なくイヤでした。でもその事をなかなか口に出せないでいたのです。「会食は4人以下で」のルールは、私としては今後も続けて欲しいと願っているくらいです。飲食業界のみなさんにエールを送るためにも、少人数での会食は、コロナ対策を十分施した上で、もっと自然に、頻繁にできる日が早く来てほしいと思います。

テレビの面白さはどうでしょう。在宅時間が増えたことで、テレビの視聴時間はもっと増えてもいいはずです。もちろん、増えてはいるようですが、「飛躍的に」とまではいかないのが現状です。コロナ禍で番組制作に関する苦労は、視聴者の想像を超えています。けれど、「大変だ大変だ」の洪水では、私たちは決して満たされることはありません。今の私たちの心根に寄り添ってくれる番組には、きっとこれまで以上に多くの視聴者が群がるはずなのです。

そのキーワードは「ポジティブ」でしょう。それが、単に軽々しい「ノー天気」でないことは改めて申し上げる必要はありませんね。
執筆者プロフィール
影山貴彦
同志社女子大学メディア創造学科教授
(メディアエンターテインメント)
コラムニスト
元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員
ABCラジオ番組審議会委員長
毎日新聞等にコラム連載中
著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、
「おっさん力(ぢから)」など
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