【北海道】「おささる」とは「押しちゃった」の意味だけど、「押しちゃった」とは違うってどういうこと?

2023.04.29

【北海道】「おささる」とは「押しちゃった」の意味だけど、「押しちゃった」とは違うってどういうこと?
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日本中には、その土地土地で独特の言い回しがある。北海道民がよく使う言い方に「おささる」というのがあるらしい。
道民カップルに、どんな時に使うか聞くと「エレベーターに寄りかかってボタンが自然とおささっちゃう、とか言います」えーっと、よくわからないんですけど、どういう意味?「故意的にじゃなく自然と押してしまう・・・どう言ったらいいんだ?」と説明不能。
女子の方も「うーんと、おささる?・・・説明して!」と逃げてしまう。
ただどうやら「おささる=押ささる」で、「押す」関係の言葉らしいことがわかってきた。

別の町でも聞いてみた。
「電気のボタンを押す気はなかったけど肘がぶつかって電気消えちゃった」時に「ごめん、おささった」と言うそうだ。「そこに自分の意思はないけどそうなっちゃった」時に「おささる」と言うのだ。
それは「押しちゃった」ではダメなのか?だが「押しちゃったは違う」と言い張る。
「押す意志がなくて肘とかで押した=おささった」ということらしい。
「押す意志があって押すと押しちゃった」になるそうだ。
「行動に意志があるかないか、押す意志があるかないかがポイント」だとわかってきた。
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例えば、混んでるエレベーターで他人にぶつかったせいで偶然閉まるボタンを押してしまった場合。これは「おささった」と言う。ぶつかってきた人のせいで自分には意志がないからだ。思いがけず、不慮の事故で押すと、「おささった」。
ところが、エレベーターで「5階で降ります」と言われ間違って4階ボタンを押してしまった場合。これは押す意志があったので押しちゃったになる、というわけ。
うーんわかってきたけど、全国的にはどちらも「押しちゃった」で済む話だよねえ。
道民の子どもたちに「どっちも押しちゃったじゃダメなの?」と聞くと、キッパリ「ダメだと思う。」と回答。
「意味がちょっと違う、相手の捉え方が変わっちゃう」と説明する。
「ごめんおささったと言ったら、気をつけてね、で済む」
「押しちゃった」だと「何でそうやったの?」ってなる、つまり責められるのだ。
「そんな簡単に許してもらえない。」えー、なんか怖い。
カーリングチームの練習を見にいくと、「あー!おささっちゃう!」と叫んでいた。
「押しちゃっただと自分の責任になるからおささったと言う」ってスポーツ精神としてどうなの?
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札幌国際大学教授で北海道方言研究会会長の大鐘秀峰さんが解説してくれた。
「おささるは、押すに北海道の助動詞・さるがついてできた言葉です。さるとは、意図しないのにそうなってしまう意味で、主語を曖昧にし責任感を弱めます。多くの地域から集まる北海道で対立を生まないように、自己主張が控えめな方が好まれ、誰がやったか曖昧になるさるが浸透したようです。」
なるほど、不要な対立を避けるために使われるようになったのか。
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ただ、居酒屋で道産子父さんが「飲まさっちゃったからしょうがない」と言ってるのは、後でお母さんに叱られるかもよ。

【文:境治】
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