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【連載】影山貴彦のウエストサイドTV【31】

テレビと「不易流行」

2021.09.29

影山貴彦
テレビと「不易流行」
©ytv
ボクだけでしょうか。メディアを専門として仕事をしている人間として、もしかしたら恥ずかしいことかもしれませんが、ここしばらく時代のスピード感にいささかついていけないところがあります。パラリンピックの閉会式が今月5日のことだなんて。改めて確認して、少なからず驚いています。間もなく、自民党の新しい総裁が選出されます。実質上、わが国の総理大臣がまもなく交代するということです。もちろん、その後に控えた衆議院の総選挙の結果いかんでは、また大きな変化が生じることになるかもしれませんが。
社会全体が「コロナ」に覆われ激震が続いています。なんだか大きなうねりに、ボクたちは翻弄され過ぎて、少しばかり麻痺しているように思います。そんなこんなでもう1年の4分の3が終わろうとしています。それだけは、まぎれもない事実のようです。
テレビの世界に目を移すと、長寿番組の終了が目立ちます。東京キー局の番組もそうですが、大阪に本社を置く準キー局の番組も同様の傾向があります。ラジオにも似たような傾向はあるものの、関西のラジオでは、かつて人気を誇った番組の「復活」も、複数の局で報じられたりもしました。テレビとラジオで少しニュアンスが違いますね。
テレビの視聴率調査は、これまでの世帯視聴率からますます個人視聴率重視の方向へシフトしていますし、テレビを見るスタイルもどんどん変化を遂げてきました。仕事ですから、必死で後れをとらぬよう努めていますが、冒頭記した通り、いささか「しんどいなあ」と思うこともあります。ご同輩のみなさまはいかがですか?(笑)
松尾芭蕉が説いたとされる「不易流行」という言葉を思い出しました。解釈には諸説あるようですが、「伝統を踏まえつつも、一方では新しいことを取り入れること」と理解されているようです。このバランス感覚、とても魅力的だなとここ数年特に思うようになりました。
今の社会は、新しいことを取り入れることばかりに躍起になってはいないでしょうか。私たちが、どうも疲れるなあと感じるとするならば、伝統の部分が少しばかりおろそかになっているのかもしれません。
テレビの世界も同じはず。「不易流行」を意識した番組作りを今後一層お願いしたいところです。


執筆者プロフィール
影山貴彦
同志社女子大学メディア創造学科教授
(メディアエンターテインメント)
コラムニスト
元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員
ABCラジオ番組審議会委員長
毎日新聞等にコラム連載中
著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、
「おっさん力(ぢから)」など
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