入道雲は気象予報士泣かせ!?

2020.08.07

入道雲は気象予報士泣かせ!?
©ytv
梅雨が明けると本格的な夏の到来。
夏空のイメージといえば、大きな入道雲ではないでしょうか。

思い返すと僕は気象予報士になる前、子供の頃から青空に浮かぶもくもくした大きな入道雲にいろんな想像をかき立てられていました。
少年時代は、学校の教室の窓から瀬戸内海と淡路島が見える兵庫県明石市という場所で育ちました。勉強はあまり得意な方ではなく、よく教室の窓から入道雲を見ては、「あの雲の中に天空のお城が隠れているんじゃないか」とか「雲に乗ってどこか遠くに旅したいな」とかそんな妄想ばかりしていました。
大人になって空に関わる仕事をしていますが、今もじーっと雲をみて思いをめぐらせることがあります。
「あの雲ひとつで町一帯が浸ってしまう。それほどの大量の水が空に浮かんでいるんだなー」とか「8000mのヒマラヤ山脈が目の前にあるとこんな感じかー」とか。
撮影:蓬莱大介
入道雲は、その造形美からワクワクさせられるものであるけれど、一方で、空中に浮かぶ怖い“水の山”でもあります。
飛行機に乗ると、その入道雲のすぐそばを飛ぶことがあります。なんだか大きな怪物を窓越しに見るような感覚で僕は見ています。
撮影:蓬莱大介
もし入道雲の中に入ったら、どうなると思いますか?
例えば、僕たちが気球に乗って下から入っていったら、すぐに目の前は真っ白になり一緒に乗っている人の顔さえ見えなくなってしまうほどの霧に包まれるでしょう。
そして、上昇気流という空高くへ引っ張り上げられる強い風によって、雨が上からも下からも降ってきている状態で、わずか数分で気温がマイナスの世界へと連れていかれます。
そこの嵐の中では、手のひらサイズの氷のかたまりも目の前で落ちたり浮かんでいたりしているかもしれません。
突然、目の前で稲光りがしたり、とてつもない轟音が響くこともあるでしょう。
そんなすさまじい世界に数十分、身を預けていると、今度はいきなり水滴や氷と一緒に下へと引っ張られる強い下降気流に遭い、次に気づいた時には地面でぺしゃんこ状態・・・。

入道雲の中は、怪物のお腹の中へ入ってしまったようなものなんです。
だから頑丈な飛行機でさえ、入道雲の中には入ろうとはしません。
僕らの実生活では、雲の中に入らなくても、その雲の真下になってしまったなら、30分~1時間程度は激しい雨・雷・突風、場合によっては氷の粒の雹に気を付けなければなりません。
撮影:蓬莱大介
もし入道雲が同じ場所で発生し続けて数時間大雨が続くと災害が起こってしまいます。
気象予報士は入道雲のことを「積乱雲」と呼び、夏に神出鬼没に現れるこの雲の予想と格闘し、時に泣かされることもあります。
もし入道雲を見かけたら、皆さんもパソコンやスマートフォンの雨雲レーダーでどこで雨が降っているか、予想の動きはどうなるかをチェックして下さい。
気象庁のホームページが一般の人にも使いやすく分かりやすく進化しています。
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プロフィール
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネット ten.」「ウエークアップ!ぷらす」の3番組にレギュラー出演中。 2020年からはkiss-FM KOBE「FRIDAT NIGHT SPECIAL蓬莱大介RAIN SONGS」でラジオパーソナリティーを務める他、読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」の執筆スタート。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
「蓬莱さんのスケッチ予報Calendar2020」(2020年 読売テレビエンタープライズ)
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