当世大学生は、「音楽」と「マネージメント」がお好き?

2020.01.31

メディア系の学科の教員をしていることもあって、私の教え子のうち過半数は、将来何らかの形で、メディアの分野に羽ばたきたいと考えている学生たちです。
 放送業界から大学へ仕事の場を移して、もうすぐ18年になりますが、ここ数年での教え子たちの目立った傾向が、2つほどあります。1つは、音楽業界で活躍したいと考える学生が増加している点です。テレビ番組の作り手になりたいと志向する人間も、私の実感からするとあまり減ってはいないのですが、その中でも「音楽番組を作りたいです!」と言う者が少なくありません。
 とは言え、です。ご存じのように、今のテレビ番組のラインナップを見ても、音楽番組はめっきり少なくなりました。昔ばなしで恐縮ですが、かつては、「ザ・ベストテン」、「歌のトップテン」、「夜のヒットスタジオ」など、生放送の音楽番組が1週間で3つ以上ひしめきあい、いずれも人気番組として多くの視聴者が楽しんでいたのです。懐かしの音楽番組や、年末になると登場するスペシャル音楽番組は数多くありますが、今、ゴールデンあるいはプライムタイムに放送される、レギュラーの音楽番組は数少なくなったのが現状です。多くの若者たちが、仕事として音楽に携わることを強く望んでいながら、その受け皿が十分ではない。このギャップをなんとかして解消することはできないものかと思えてなりません。音楽番組は視聴率が取れないと言われますが、本当にそうでしょうか。
 野外イベント等の充実もあって、音楽ライブに足を運ぶ人は年々増えています。そういえば、スポーツイベントの観客動員も伸びているにも関わらず、地上波テレビの中継枠は決して増加してはいませんね。テレビだからこそできることが、もっとあるはずです。
 もうひとつ。タレントのマネージメントを志向する学生が増えています。これは、どういう気持ちによるものなのか、確たる理由は分かりませんが、「自らの力でアイドルを育てたい」などと、キラキラした目で言うのです。先日、みのもんたさんが長らく務められた「秘密のケンミンSHOW」の司会を春で卒業され、後任には、爆笑問題の田中裕二さんがキャスティングされるとの報道がありました。ご存じの方も多いでしょうが、田中さんの所属事務所「タイタン」の社長は、太田光代さんで、ご主人は田中さんとコンビを組む太田光さんです。この決定に至るまでの経緯には色々あるのでしょうが、私はニュースに触れ、太田光代さんのマネージャーとしての才覚に一番感心しました。所属タレントをいかにしてより伸ばしていくかということをさまざまな角度から常に考えているからこそ、今回の田中さんの抜擢にも繋がったのだと思います。
 エンターテインメントの世界における大きな魅力は、人と人とのつながり、「ライブ感」でしょう。「音楽」と「マネージメント」、その2つが今の若者たちにとっては、特に生き生きと映るのかもしれません。
執筆者プロフィール
影山貴彦
同志社女子大学メディア創造学科教授
(メディアエンターテインメント)
コラムニスト
元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員
ABCラジオ番組審議会委員長
上方漫才大賞審査委員
著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、
「おっさん力(ぢから)」など
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