【連載】影山貴彦のウエストサイドTV【21】
コロナ社会の幸せとエンターテインメント
2020.11.27
影山貴彦本の中身は、まさにふかわさんの才能開花といって過言ではなくセンス抜群です。そんなふかわさん、自分でつけたこのタイトルが気に入ってないと言うのですから・・。そこがまた彼らしいところでもありますが。
現在の辛いコロナ社会をみんなで力を合わせて乗り越えていこうという考えは大いに賛同するところです。出口が見えないものほど、不安なことはありません。イライラ感を募らせている人が社会に増えているのは仕方ないことかもしれません。ただそんな中、自分の思っていることを自由に発言しにくいとか、多くの人と異なる意見を唱えると、寄ってたかって糾弾するという傾向は、決して好ましいものではありません。自らの不平不満を何の罪もない誰かを執拗に攻撃することで軽減させようとするのは、もうほどほどにしたいところです。
先日、私のゼミ生が興味深いデータを教えてくれました。イギリスの大手携帯電話会社O2と、行動科学が専門でゴールドスミス・カレッジで教鞭をとる、パトリック・フェイガン氏が共同で発表したところによると、ライブを約20分観客として体験すると、21%も幸福感が増加し、その結果寿命を延ばすことにつながるというのです。「他者との関わりを実感すること」が効果的に関与しているとのこと。
科学的に完全なる証明がなされるどうかについては、今後のさらなる研究を待ちたいところですが、今の私たちの気持ちに響くところが大なのは間違いないでしょう。ちなみにこの研究結果が公開されたのは、2年前の2018年のことです。ライブ、行きたいですよね。大好きなアーティストに力一杯の声援を送りたいと、教え子たちも切実に訴えます。
ただ、社会の流れはどうやらまた自粛自粛の渦に飲み込まれそうです。ライブに行きたいなどと言うだけで、「不謹慎!」と周りから言われそうな空気が、ほどなく漂ってきそうな気配さえあります。
私たちは、誰もが幸せになりたいと願っています。コロナ社会においてもそれは変わりません。浅はかな行動をする一部の人がいることで、コロナウイルスがさらに蔓延することは絶対に避けたいところです。ただ「不要不急」の合言葉の元、私たちの楽しみ全てを抑え込んでしまうのは、あまりに悲し過ぎます。ほどほどの塩梅で日々の楽しみに触れることを維持していけるよう全力で知恵を絞ることも、ウィズコロナの課題ではないかと、エンターテインメント研究を業とする者として強く思っているところです。
執筆者プロフィール
影山貴彦
同志社女子大学メディア創造学科教授
(メディアエンターテインメント)
コラムニスト
元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員
ABCラジオ番組審議会委員長
上方漫才大賞審査委員
著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、
「おっさん力(ぢから)」など
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