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中西正男の「そら、この芸人さん、売れるにきまってる!」【13】

竹中直人も絶賛!「スクールゾーン」が織り成す世界

中西正男 2020.07.11

竹中直人も絶賛!「スクールゾーン」が織り成す世界
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実力派がひしめく東京吉本の若手の中でも、ひと際高い注目度を誇るのが「スクールゾーン」です。ボケ担当の橋本稜さん(28)は“韓流ドラマあるある”、ツッコミ担当の俵山峻さん(28)さんも特異なキャラクターを生かしたネタをそれぞれSNSで発信、熱心なファンを日々獲得し続けています。抜きんでた演技力に裏打ちされたコントが持ち味ですが、その根底にあるのは名優から贈られた言葉でした。

(取材・文:中西正男)

―新型コロナウイルスの感染拡大で、エンターテインメントにもいろいろな影響が出ていますが、実感されている部分はありますか?

橋本:僕らはもともとSNSを活用してネタ動画を発信してましたので、コロナということはあまり関係なく、いつも通り発信を続けていた感じでした。

ただ、見てくださる方々の意識が変わっているというか…。もちろん、僕らは笑っていただけたらと思って動画をアップしてるんです。でも、SNSのコメント欄に「ありがとうございます」というメッセージをたくさんいただくようになりました。

コロナで外に出られない。気持ちもふさぎ込む。そんな中でネタを見る。そうすると「こんな時に、ネタをアップしてくれてありがとう」と感謝の気持ちを持ってくださる方が多いようで。

もちろん、ありがたいし、うれしいです。でも、僕らとしては、ただただ面白いと思ってもらえたらと思って動画をアップしてきたので、感謝の言葉をいただいた時は「…そう取ってくださるんだ」ととても新鮮な感覚になりました。

と同時に、改めて、僕らがやっていることがそれだけ心の深くまで染み込んでいるのならば、それこそ、また別の意味でありがたいなと思ったりもしていました。

―そもそも、この世界に入ったきっかけは?

橋本:僕は高校までサッカーをやってまして。部活を引退してからは、燃え尽き症候群じゃないですけど「ここから、何をやろうか…」と考えるようになりまして。

そこでキーワードと言うか、一つ、ポイントになったのが「人が喜んでくれる」ということだったんです。

そもそも、小さい頃はマジシャンになりたかったんです。マジックをすると、人が喜んでくれるという理由で。そこから、次はマッサージの仕事をしようと思いました。これも人が喜んでくれるから。

そんな感じで、ずっと「喜んでもらえる仕事とは…」という意識はあったんですけど、ある日、高校からの帰り道で、おばあちゃんと小学1年くらいの男の子とすれ違ったんです。

この子が、学校でいじめられているのか、服が泥だらけになっている。おそらくは迎えに来たであろうおばあちゃんがその子のランドセルを持って、二人でトボトボ歩いてたんです。その二人とすれ違った時に、すごく切なくて、悲しくて…。ストレートに言うと、その光景がイヤだったんです。

その場ではその思いでアタマがいっぱいになって何もできなかったんですけど、なんとかその風景を変えたい。この子とおばあちゃんを喜ばせたい。あんな感じでトボトボ歩いている人たちに何とか幸せな気持ちになってもらいたい。そんな思いが一気に高まって、家に帰ってすぐ親に言ったんです。「お笑いの仕事をする」と。

俵山:僕のきっかけは「M-1」です。中学生の頃から見始めて、とにかく芸人さんがカッコ良く見えたんです。純粋に、いつか自分もああなりたい。そう思って入りました。

―実際に入って、感じたことは?

橋本:僕らは東京のNSC16期生なんですけど、NSCに入ってすぐ思いました。「間違えたぁ…」と(笑)。入る時は「自分が一番面白い!」と思ってたんですけど、本当に、一瞬で鼻を折られました。

俵山:僕もいきなり折られましたね…。僕や相方は高卒すぐで入ったんですけど、周りは大卒で入った人や、なんだったら、既に別の事務所などで芸人として活動していた人も入っていたんです。あらゆるスタートラインが全然違うというか。その時点で「しまった…」と思いました。

―そんな中「これはいけるかも」という手ごたえを感じたのはいつ頃ですか?

橋本:初めて結果を出したというか、分かりやすく仕事に結びついたのが“月9ドラマ”のオーディションに受かった時でした。「嵐」の相葉雅紀さんが主演された「ようこそ、わが家へ」(2015年)のオーディションに何の加減か、受かりまして。まさか自分が“月9”に出るなんて、全く思ってもみなかったので、その時に、この仕事の面白みというか「こんなこともありえる仕事なんだ…」ということを強く感じました。
©ytv

左から橋本稜と俵山峻
―全く別ジャンルの仕事ですし、発見も多かったのでは?

橋本:本当にありがたいことに、その作品でお会いした竹中直人さんに今でもとてもお世話になってまして。最初は現場でご一緒して、そこからコンビ揃ってプライベートで食事に連れて行っていただくようにもなりまして。僕らの単独ライブにも、これまで4回ほど出ていただきました。

俵山:また、竹中さんとお会いした時が、僕らがちょうど悩んでいた時期と言いますか。ずっと漫才をやってきたけれど、なかなか芽が出ない。コントにスタイルを変えて、なんとかもがいていた頃に竹中さんとめぐりあったんです。

橋本:竹中さんに焼肉に連れて行っていただき、そこで言っていただいたのが「僕もすごく緊張するんだよ」という言葉でした。

その言葉を聞いた時に、当たり前なのかもしれませんけど、シンプルに「竹中さんでも緊張するんだ…」と思ったんです。

「僕は緊張もするし、さんまちゃんみたいには前に出られない。それぞれいろいろなタイプがいる。だから、自分そのままでいいんだよ」と言っていただきまして。それによって、すごく楽になりました。全てが。それまでの妙な焦りがスッと消えたというか。

こんなこと、本当におこがましいんですけど、竹中さんと僕らはどこか共通しているところがあると言いますか。僕らも、なかなか前に出られないというか、コントでもキャラクターに入らないと恥ずかしくてしゃべれない。今も「インタビューを受けている『スクールゾーン』橋本」という設定に入ってお話をさせてもらっているところもありますし(笑)。

俵山:あと「さんまちゃんがグイグイやってるのを見たら、オレなんか『もういいや』となっちゃうもんね」とおっしゃっているのを聞いて「『もういいや』という選択肢もあるんだ」とも思いました。竹中さんがおっしゃることなので、一つ一つに重みと説得力があると言いますか、お会いして、こちらの心の選択肢が広がった感じがすごくしています。

―今後、どのような方向性を目指したいですか?

俵山:劇場で新ネタをやることで食べていけるコンビになりたいですね。ずっと生の舞台をやって、そこにお客さんが来てくださって、それで生活がしていける。そんな形を作れれば、一番楽しいだろうなと思います。

橋本:今、僕らはSNSというツールもいろいろ使っていますが、もちろん、それも大切ですし、広く自分たちを知ってもらう意義は大きい。でも、あくまでも、何かで僕らを知ってくださった方に集まってもらって、そこで生でネタを見せる。それが最終的に一番やりたいことです。

あと、少し入り組んだ話になるんですけど、僕らのネタと言うのは、唐突にバイオリンを弾いてみたり、韓国語のものまねをやってみたり、特にオチはなく、妙なことをやっているといったものが多いんです。

竹中さんいわく「日本の笑いはいじめの構図になっている。自分はそれがすごく嫌だ」と。だから、竹中さんは「誰かを攻撃するわけでもなく、何をやってるのか分からないけど、見てると笑える」というのが好きだとおっしゃっていて、そこが僕らのやっていることと合致するんだと。そうやって言っていただく一言一言がこちらにとっては力になりますし、ありがたいです。

…よく考えたら、インタビューの中身、だいぶ、竹中さんの話になってますね。いつの間にか、竹中さんのお笑い論が軸になってますけど、これは大丈夫なんですかね(笑)。

■取材後記
取材時間は約30分でしたが、話すうちに、竹中直人さんがご飯に連れて行く気持ちがこれでもかと分かりました。

二人ともシャイな空気も漂わせながら、時折見せる笑顔がとても人懐こい。そして、内面はどこまでも深く、それが最後“優しさ”の出口に繋がっている。

しゃべればしゃべるほど、心地いい。その感覚は非常に新鮮でしたし、根底に流れる優しさこそが二人の大きな武器だと強く感じました。
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