独創的なギャグで注目度急上昇のピン芸人、ソマオ・ミートボールを突き動かす先輩の言葉と、見据える目的地|中西正男の「そら、この芸人さん、売れるにきまってる!」

2024.07.11

一度聞いたら耳から離れないギャグの数々で注目されるピン芸人、ソマオ・ミートボールさん(26)。今春、活動拠点を大阪から東京に移し新たな一歩を踏み出しました。新たな環境で日々学ぶこと。そして、見据える目的地とは。
―今春から東京を拠点に。新生活はいかがですか?

これがね、思っていたよりも楽しいです。想像していた“人の冷たさ”もそこまで感じていませんし(笑)。
人が多いと聞いていたので、もっと常にぎゅうぎゅう詰めみたいな感じかなと思っていたんですけど、中心街から少し離れると、大阪の鶴橋、桃谷くらいの人混みですし(笑)。
生活の上では予想よりも楽しくさせてもらっているんですけど、やっぱり舞台に立つと違いは強く感じています。僕がどんなネタをする人間なのか、大阪ではある程度、知ってもらえていたところもあると思うんですけど、東京では本当にゼロからのスタートだなと。
分かっていたことですし、そこからまた頑張ること前提で東京に来たんですけど「やっぱりこうなるのか」というのは感じています。

―「またゼロからか」と思うと、気持ちも大変でしょうね。

だからこそ、今度7月24日に上京後初の単独ライブをするんですけど、まずは僕の商品説明というか「こういうネタをする人間なんですよ」ということを示す新ネタをする。そして、周りの方々との関係性を示す意味でゲストの方にも来ていただいてネタをしていただく。僕が新ネタを6本、ゲストの方がネタを2本ということで、そのままタイトルも「ソマ6ゲス2」というものにしました。

―単独ライブはまさに自分を見せる場でもありますものね。東京ならではのお仕事というのもあるのですか?

現場の数も番組の数も多いので、いろいろなところに行かせてもらえる。それは実感しています。
有り難い話、全国ネットの番組に呼んでいただいて大先輩と絡ませてもらうこともあるんですけど、そこで先輩方の絡みやノリを見ていると「エグいな」と心底思います。
放送されている番組には当然編集が入っているので、全部の“起こっていること”が見られるスタジオにいると、もっとすごみを感じるといいますか。
何があってもノリを続ける永野さんの強さとか、陣内智則さんとのバトルみたいな場面もちょうど目の前で見ることになったんですけど、そこでの迫真のやり取り。そして、最後は全てを笑いで終わらせる。
なんというか、ニュアンスの世界でもあるので説明しにくいのが申し訳ないんですけど、ただただ「これか…」と思うというか。本当に日々痛感しています。
そして、僕もお客さんじゃないので、自分もそこに入っていかないといけない。そのレベル、もしくはさらに上のことをしないといけない。そう考えると、東京での日々は本当に刺激ばかりの空間でもあります。
―ここに至るまで、お世話になった先輩はいらっしゃいますか?

大阪時代にシェハウスもしていた「チェリー大作戦」の宗安さんにはデビューの頃からずっとお世話になっています。
僕はもともとコンビを組んでいて、解散してピンになったんですけど、コンビ時代は一回もネタを書いたことがなかったんです。そこからのスタートだったので、全くウケないことが続きました。なので、宗安さんにはネタの作り方から教えてもらいました。  

―芸人さん同士で、そこまで手取り足取りというか、微に入り細を穿つような手ほどきをするなんて、聞いたことがないですね。

本当に何から何まで、教えていただきました。自分は天才ではないということ。でも、努力すればそこに近づくことはできる。そういう基本的な心持ちもそうですし、自信についても教わりました。自信を持つことはいいこと。ただ、根拠のある自信でないと意味がない。根拠があるということは、説明できる自信であるということ。そういう部分も学ばせてもらいましたね。

―芸人さんとしての軸というか、人間としての軸から教わった感じでしょうね。

本当にそうなんです。そもそも、僕が自堕落というか、むちゃくちゃでもあったんで。田舎から出てきて、お酒が飲める年齢になったらお酒の楽しさにハマっていって、そっちにかなり流されていったんです。
もちろん芸人はしているんですけど、ネタは当時の相方任せ。ちゃんとお笑いとも向き合ってなかったと思いますし、仕事としての意識が本当になかったんだと思います。
そういう部分からしっかりと教えていただきましたし、宗安さんの言葉に沿っていった頃から少しずつ舞台もウケるようになって、お仕事も増えていったんです。

―それは恩義がありますね。

そうやって教えていただいて今があることは間違いないですし、なんとかお礼というか、お返しをするためにも、まずは賞レースだと思っています。そのための単独ライブですし。
そして、最終的には、ものすごくシンプルなんですけど、皆さんから「面白い」と思われたらいいなと(笑)。
自分がこの仕事をしようと思ったのも、テレビを見て芸人さんたちを「面白い」と思ったからですしね。いつか自分がそう思われる存在になれたらなと。
とはいえ、すごくシンプルで、その分、すごく難しいことだとも思うんですけど(笑)、なんとかそちらに向かって走り続けたいと思っています。
■ソマオ・ミートボール

1997年12月19日生まれ。京都府出身。本名・林蒼真(はやし・そうま)。吉本興業所属。NSC大阪校に39期生として入学しコンビとして始動するものの、2019年に解散。それ以降はピン芸人として活動する。キャッチ―なギャグ動画をTikTokにアップし注目を集めていく。今春、活動拠点を大阪から東京に移す。7月24日に上京後初の単独ライブ「ソマ6ゲス2」を東京・神保町よしもと漫才劇場で開催する。
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