ナワリヌイ氏暗殺未遂はプーチン氏の指示なのか?映画から見える真相とは!

2022.07.15

ナワリヌイ氏暗殺未遂はプーチン氏の指示なのか?映画から見える真相とは!
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最近、社会問題を扱う硬派な映画が多く公開されている。ミニシアターでの小規模な公開ながら話題を呼び、一部の人々が注目しているようだ。7月10日放送の「そこまで言って委員会NP」ではいくつかの映画を通じて様々な問題を議論した。

最初に取り上げたドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』(配給:トランスフォーマー)は、反プーチン政権運動の指導者であるアレクセイ・ナワリヌイ氏が、ロシアで毒殺されかけるもドイツに逃れ、様々な協力者とともに暗殺未遂の背後にプーチン大統領がいたことを突き止め、収監覚悟でロシアに戻るまでを描いた作品。フィクションを超えたサスペンス性があり、手に汗握る迫力の映画だ。

番組から論客たちへの質問は、映画で描かれたナワリヌイ氏の暗殺未遂は本当にプーチン大統領の仕業と思うか、というもの。

有村昆氏(映画コメンテーター)は「思う」と回答。「FSB(ロシア連邦保安庁。旧KGBの流れをくむ防諜・犯罪対策を行う諜報機関)の長官をやっていたプーチン氏が自分の駒を使ってやったのは、おそらく事実だと映画では言っている。その証拠としては主に2つ。ノビチョクという神経剤は、数時間経つと消えるのが特徴で、映画では半日ぐらい拘束され、毒物の使用を隠蔽しようとしていたことが描かれる。もう1つ、ナワリヌイ氏本人が8人の犯行メンバーに電話し、仲間のふりをしてカマをかけると、ノビチョクの使用を認めるというシーンもある。これはかなり信憑性がある。」

大野裕之氏(劇作家)は疑念を投げかける。「映画を見ると、インターネットオタクみたいな人が、パソコン1台で解析して証拠を集めていくシーンがある。あんなに簡単にいくのかな?と思った。また、有村さんのおっしゃる、電話でカマをかけるシーンも疑問。最高機密をそんなにぺらぺら喋るのか?事実だとしても、ちょっと演出が入っていてもおかしくないと思った。」と懐疑的だ。

タレントで、映画系YouTuberとしても活躍するRaMu氏は「思う」と回答。「“有名になれば命を狙われることはないだろう、と思っていたがそれでも殺されかけた”と本人が映画内のインタビューで話していた。とにかくパフォーマンスがうまい。この映画にしてもそうだが、他にも、YouTubeでプーチン氏の豪邸内部をCGで制作した、と言って公開したりしている。そういった行為で自身に対する信ぴょう性を高めている。」と分析する。
有村氏がさらに補足する。
「プーチン氏はすべてのメディアを掌握し、テレビ局も新聞も全部言うことを聞く。ナワリヌイ氏としてはプーチン氏の手の及ばないインターネットを最大限に使うしかない。ゲリラ的な戦い方ですごい戦法だった。」と称賛した。

山口真由氏(信州大学 特任教授)は「思わない」と回答。「ナワリヌイ氏はいわば、反プーチンを象徴する“器”だ。実はナワリヌイ氏は、民族的偏見と差別的な発言によって、西欧諸国からは支持されていない。革命家でもなく、プーチンの政敵にはなり得ない。彼を消すことで、よりカリスマ性のある若者が出現するほうが困る。彼を残しておいた方が、プーチンとしては得だから、殺しはしないはずだ。」と、プーチン大統領の目線から想像する。

森永卓郎氏(経済アナリスト)は「思わない、でも忖度」と回答。「もし独裁者が殺せと命じたら、パンツに毒を入れるような中途半端な殺し方はしない。100%殺す。プーチン大統領に喜んでもらおうと幹部がやったのでは。」と指摘。殺せなかったのは、幹部も自分の足がつくことを恐れたため、思い切りが足りなかったのだろうと予想する。

豊田真由子氏(元衆院議員)は違う視点で主張。
「プーチン大統領個人が命じたかどうかは、大きな問題ではない。プーチン政権としては、やったと思われてもいいと思っている。むしろ、逆らうとこうなるぞという見せしめ効果が大きい。そういう恐怖でソ連時代から暗殺してきた歴史の中での1人の事例でしかないと思う。」
門田隆将氏(作家・ジャーナリスト)はプーチン氏の過去に触れる。「彼がやってきたことは、みんなわかっている。例えば、第2次チェチェン紛争の際には、高層マンションやショッピングセンター爆破をチェチェン側のせいにしたが、それを実行した人たちが『プーチンの命令でやった』と内部告発している。するとどうなったか。告発者は次々と死んだ。イギリスでの2件の暗殺、ノビチョクを使った事件とポロニウムを使った事件では犯人も特定されている。プーチン氏がやったと世界中が認めている。」
竹田恒泰氏(作家)が畳みかける。「門田さんの言うロシア高層アパート連続爆破事件、これは恐ろしいことだ。戦争を始めるための口実作りのために、よりにもよって自国民を爆破によって295人殺すのだから、冷酷冷淡、野蛮の極致だ。プーチン大統領が直接命じて(戦争などで)殺しただけで、7万人ぐらいと見られている。」

ここでRaMu氏が究極の問いかけをする。「するとナワリヌイ氏はどこへ向かって声をあげているのかと疑問に思う。彼がどうしたらロシアは良くなるのか。」これには一瞬、全員が考え込んだ。
これを受けて山口真由氏は政治家・ナワリヌイ氏への疑念を語る。「ナショナリズムに突っ走ったと思えば、民衆に受けないと判断するや、リベラルに転向した。プーチン氏を打倒できる一番現実的な方法をとっているとの評価もあるが、一貫性のない単なるデマゴーク、パフォーマンスの人という評価もある。個人的にはナワリヌイ氏に代わる、より若い世代の革新的なリーダーが出てこないと難しいんじゃないかと思う。」と述べ、大野氏も「ゴルバチョフもエリツィンも何らかの思想があった。ナワリヌイ氏はポピュリストであり、悪い言葉で言ったら目立ちたがり屋。彼による国の形は見えない。」と同調した。
そして有村氏は「映画が世界的に公開されてこうやって番組で紹介している。これに触発されて、ナワリヌイ氏の後継者が出てくる気がする。」と映画コメンテーターらしく、映画の力が民主化に好影響をもたらすのでは、期待していた。

暗殺未遂がプーチン氏によるものかは置いておいても、この映画を見るとロシアの恐ろしい状況が真に迫ってくる。ぜひみなさんも映画館で見て、自分なりに感じてもらえればと思う。

【文:境治】
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