【山形県】天童市には「将棋の駒をお祝いに贈る」というよくわからない文化がある

2023.01.27

【山形県】天童市には「将棋の駒をお祝いに贈る」というよくわからない文化がある
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山形県天童市の名産を皆さん知っているだろうか?例えば駅に降り立ってすぐ遭遇する郵便ポストの上にドーンと将棋の駒が立っている。そう、天童市は将棋駒の生産で全国シェア90%以上を誇る、日本一の将棋タウンなのだ。

出会った二人のお兄さんに「天童の自慢は?」と聞くと、間髪いれず「将棋の駒ですね」と二人同時に返ってきた。

続けて言うには、「町の中にもありますし、自分の家の玄関にも置いてます。」ん?玄関に将棋の駒?「でっかい飾り駒が置いてあります。」と言うのだが、飾り駒って何だ?「買ったことはないですね。いただいたもの。」うーん、どうやら将棋の駒に関する独特の風習があるようだ。

別の人たちに聞くと「指すってよりも、飾ってあるもん。プレゼントでもらうもの」と解説する。「新築祝いとか、引っ越し祝いとか、出産祝い」つまり天童市周辺に住む山形県民はお祝いに巨大な将棋の駒をもらって飾る、ということらしい。

そこで天童市内のあるお宅にお邪魔してみた。玄関に入るといきなり、大小様々な王将の駒が靴箱の上に飾られている。一番大きいのは農協で記念にもらったそうだ。また、結婚式の記念に駒とこけしがくっついた飾りももらったという。「気持ちが入ってる」と自慢げだ。
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別のお宅にうかがうと靴箱の上に王将と裏返しの馬の駒が。王将はわかるとして、なぜ裏返しの駒が?これは左馬と言って、「うま」をひっくり返して「まう」と読み、「舞う」につながることから福を招くと意味づけられているそうだ。王将は、出世や成功の縁起担ぎで、王将と左馬をセットで贈るのがスタンダードだという。へー!変わった風習だなあ。
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この飾り駒は天童市内の20軒の将棋駒専門店で職人さんが彫ってつくっている。
天童中の将棋駒を一堂に集めて展示する「将棋むら」に行くと、大小様々な飾り駒が集結していた。一尺サイズのもので、2万4千円!一番大きい1尺2寸サイズだと、5万円以上するという。「引っ越し祝いに贈れば、遊びに行くたびに俺贈ったやつだろとすぐわかるのでいいですよ」とお店の人は勧めてくる。

では、なぜ天童市が将棋の駒の町になったのか。市内でもっとも古い、中島清吉商店の四代目主人・中島正晴さんにお聞きした。
「江戸時代末期、将棋が庶民の間で盛んになってきたのを見て、天童藩の家老・吉田大八が、貧しい武士たちの生活を助けるために将棋の駒づくりを内職として奨励。駒づくりによって豊かになったので駒が救世主的なアイテムになりました。」と説明してくれた。

昭和40年頃には縁起物として贈答の定番になったそうだ。

とにかく何かにつけ将棋の駒が目につく天童市。中でもダイナミックなのが、ホテル王将だ。まずロビーに入ると目に入るのが、超巨大な王将駒。高さ2.5m、重さ2.5トンで、買った当時は500万円もしたという。各部屋には王将のルームキーで入るし、ロビーには将棋台があってすぐ将棋が打てる。大浴場には巨大王将がドスンと鎮座し、なんだか豪快な気分が味わえそう。
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それにしても、将棋の駒を贈ったり贈られたりする文化ってよくわからない。日本って狭いようで広いもんだ。

【文:境治】
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