3分で涙腺崩壊?心動かされる「短編映画」のヒミツ

2017.09.10

ネット技術の進歩やスマートフォンの普及により、私たちが得られる情報は格段に増えました。友人の近況やトレンドが知りたければSNS、街で道に迷えば地図アプリ、どこへ食事行く?の店選びは検索サイトや飲食店案内アプリ…欲しいと思った情報がすぐに手に入ることが当たり前になっています。そして、そんなスピード感の中で生まれてきたのが「WEB動画」です。SNSでは1分程度という短い時間に料理レシピやメイク情報を盛り込んだノウハウ動画も増えてきましたし、ユーチューバーと呼ばれる人たちの活躍もめざましいものがあります。

3年ほど前に「タイの企業CMが泣ける!」とSNSで拡散・共有された映像をご存じでしょうか。3分から4分ほどの「作品」では、企業の商品やサービスを連呼することはありません。時を超えた恩返しや人の心の温かさなど、人生にとって本当に大事なものを見ている人に教えてくれる、心動かされるストーリーが美しく展開されていきます。電車の中で軽い気持ちで見始めたら、思わず涙があふれてきて困った…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このような動画・映像は「ブランデッドショート」と呼ばれ、短編映画の1ジャンルとしてすでに確立されています。3分程度から10数分と気軽に見られる短いものですがストーリーや演出は十分に練り込まれ、見終わったあとに心に響く、まさに「作品」と呼ぶにふさわしいものになっています。涙、笑い、感動…これいい!すぐに誰かに伝えたい!と思えば、簡単にSNSで共有・拡散できますので、まさに時代の流れにフィットした「映画」と言えるかもしれません。
もちろん「ブランデッド」ですから、企業が伝えたい世界観や取り組み、メッセージが込められています。それをいかに自然に、強く伝えるか、ブランドイメージをどう向上させるか、という点でも、作り手側では新たな仕掛けや工夫が続いている、とても面白い世界です。

国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF & ASIA)」を主宰する俳優・別所哲也さんのほか、タレントの松尾貴史さん、電通クリエイティブディレクター中尾孝年さん、読売テレビの名物プロデューサー西田二郎が、その魅力や制作側・企業側の狙い・思いなど「ブランデッドショート」を楽しく解説した番組がこの「魅惑の☆ショート劇場」です。番組内ではいくつか作品を紹介していますが、たとえば冒頭の「親子の時計」(アクサ生命保険・3分)は、ふだん離れて暮らしていてなかなかコミュニケーションがとれない親や家族の顔がふと思い浮かんで、思わず目頭が…そんな素敵な作品です。

小さな画面を見つめることが多い毎日、猛烈なスピードで行き交う情報やコミュニケーションに疲れたら、ぜひ「ブランデッドショート」の魅力に触れてみてください。同じ小さな画面の中、感動できる「3分」という時間が、乾いたあなたの心にあたたかい潤いをもたらせてくれるはずです。

【文・山本 一宗(チーフプロデューサー)】
この記事を共有する

新着記事

新着記事一覧へ

アクセスランキング