日本中で使いたい、北海道民の「なんもなんも」と沖縄県民の「なんくるないさ」

2019.08.23

日本中で使いたい、北海道民の「なんもなんも」と沖縄県民の「なんくるないさ」
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北海道民と沖縄県民。日本の北の端と南の端、もっとも遠く離れて住む人びとには意外に似た点が多い、という説がある。例えば海。両方とも四方を海に囲まれているにも関わらず、泳がない人が多いし、そもそも泳げない人も多いようだ。なのに海は大好きで、ビーチに集まってはバーベキューで飲んでワイワイ騒ぐ。そんな奇妙な共通点がある北海道民と沖縄県民にはまだまだ似たところがあるのではないか。それは人柄、キャラクター。

北海道民と沖縄県民には楽天家、くよくよしない人が多い。良く言えばおおらかだけど、悪く言うといい加減?

実際、沖縄県民に聞いて回ると自分たちのことを、おおらかで細かいことを気にしないという。というと聞こえはいいが、別の沖縄県民は「テーゲー」という。これは「大概」が訛った言葉で、なんでも大概にする、つまりいい加減という意味だ。そう、沖縄県民は自分たちのことをいい加減と言ってはばかることはない。
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一方、北海道民に聞くと自分たちのことを「ゆるい」と言う。数名の北海道民のうち一人が「ゆるい」という言葉を口にすると、一緒にいた他の北海道民も「そう、ゆるい!」「ゆるいゆるい!」と大合唱になる。自分たちを表す共通の言葉が「ゆるい」なのだ。何をするにもルーズだし、遅刻しても怒らないで「なんもなんも」と言うのだそうだ。「なんも」つまり「何も気にするな、何でもないことだ」という意味らしい。他県民はあまり使わない言葉だろう。

お店で出てきたフライドポテトに異物が入っていて何かと見たら、金だわしのカケラだった。それでもクレームをつけたりせず、帰り際に「気をつけてね」と言っただけだったそうだ。他県だったら大問題になりそうな話だが。
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ゆるいのは沖縄県民も同じこと。例えばランチに行った食堂で、食べ終わったらみんなで平気で昼寝する県民性。約束の時間に遅れても誰も怒らない。沖縄ではそういう時、「なんくるないさ」と言い合って気にしないのだ。「なんてことないよ」という意味だ。

だから居酒屋で飲み会の約束をしても、誰も時間通りにこない。あるグループに聞くと、7時の約束で最初に来たのは7時20分だった。その次に来た人は8時。8時半にメンバーからLINEが届いて缶ビールを手にようやく来る。「ビーチ行ってから家で風呂に入って今来た」という。なんで飲み会に風呂に入ってから来るのかわからないが、それでも誰も怒らない。「なんくるないさ」とみんなで笑ってまた楽しく飲み始めるのだ。
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そう、北海道民の「なんもなんも」と沖縄県民の「なんくるないさ」はほぼ同じ意味と言っていい。「なんも気にするな」「なんてことないさ」微妙に違うが、細かいことに目くじら立てず一緒に楽しくやろう、と言っている。なんておおらか、なんて素敵。我々は飲み会に遅れちゃまずいと分刻みでスケジュールをこなし、遅れてきたやつは何やってたんだと追及してしまう。仕事ならともかく、飲み会は「なんもなんも」「なんくるないさ」でいいんじゃないの?そう、他県の日本人は自分にも他人にも厳しすぎだ。この二つの言葉を覚えてことあるたびに使えば、日本もゆるーい、いい国になるのではないだろうか。

明日、約束に遅れた人がいたら、言ってみよう。「なんもなんも」「なんくるないさ」空気が和らぎ、きっと楽しく暮らせるはず!怒ったって誰も得なんてしないんだから!

【文:境 治】
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