グリグリに硬いうどんがうまいのか?山梨県民熱愛・吉田のうどん
2017.11.10
うどん。日本人の暮らしになじんだこの食べ物は土地土地によって麺やつゆが少しずつちがう。筆者は福岡出身で、前に「ケンミンSHOW」でも紹介されたやわやわのふにゃふにゃ、コシのないうどんになじんできた。もちろんコシがあってつるつるの讃岐うどんもおいしいが、基本的にはうどんは柔らかい方が好きだ。
11月9日放送の「秘密のケンミンSHOW」では山梨県は富士吉田市で親しまれてきた「吉田のうどん」が紹介された。これが見るからにゴツいうどんだ。なんだか麺が太いしどう見ても硬そう。コシがあると言うよりきっと硬いにちがいない。うどんの柔らかさに敏感な筆者は直感的にそう思った。当然、番組としてはおいしいと紹介するのだろうけど、どうなのかなあ。少々不安な気持ちになる。
地元の人びとに例によって聞いていくと案の定、吉田のうどんのおいしさを主張するのだが、力点がやはり麺の硬さに置かれている。
「とにかく硬くてうまい」
と言うのだが、その硬さを
「しんぎりしんぎり」とか「シッコンシッコン」とか、奇妙な擬音で表現する。そんな言い方ではちっともおいしそうに思えないじゃないかぁ。
「バリカタなんてもんじゃない」
あのぉ、バリカタは福岡の長浜ラーメンで使う硬さの表現なんですけど。
「ここいらでは、富士は親父、うどんはお母さんだ」
富士山を誇りに思うのはいいけど、何言ってるかわからない。
「グリグリ硬めのヒモのような」
それだと逆にまずそうなんだけど・・・
吉田のうどんは富士吉田市のあちこちのお店、全60軒で提供されるそうだ。不思議なのが、なぜかどの店も普通のおうちにしか見えないことだ。近所のおうちにふらりと遊びに行ったら座敷にテーブルが並んでいてうどん屋さんだった、そんな感じ。
どのお店でもだいたい、茹でたキャベツと甘く煮込んだ肉が具として添えられている。この肉がなんと、馬肉なのだそうだ。
かつお節などでとった出し汁に醤油を入れるのは普通だが、そこに味噌を加える。ええ?!
そして麺は小麦粉を力強くこねたあと、冷蔵庫で二日間寝かせるという。だからコシが出るのだろう。それはいいのだが、その生地をふとーく切った麺を、食べる時には3分半茹でてすぐにお湯からあげてしまう。
えー???3分半しか茹でないの?あの太い麺を?そりゃあ"グリグリ硬めのヒモ"になるよね。うどんは茹でるものなのに。10分は茹でるのが普通でしょう。
そうやってできたうどんを山梨県民はおいしそうに食べる。おいしそうに食べてるけど、なんだか大変そうでもある。つるつるのどごしを楽しむより、噛んで噛んで体力をめいっぱい使って食べている。うーん、そんなことでおいしいのかなあ。
さらに途中で、何やら赤黒い調味料をうどんに入れてまた食べている。「すりだね」と言って、唐辛子と山椒ととゴマを混ぜた独特のスパイスなのだ。見るからに辛そう!
体力を使って噛んで噛んで食べるし、途中でえらく辛い調味料を入れるし、これでは苦行ではないか。
少なくとも、これはうどんとはまったくちがう食べ物だ。土地土地でちがうと書いたが、ちがいすぎる。全然ちがう。やわやわうどんが好きな福岡出身者としては、ちっともそそらない。
ところがスタジオに戻ってみのもんた以下、みんなが吉田のうどんを試食するのだが、口々にうまいうまいと言う。そして見ているとなんだかおいしそうに思えてくる。うどんだと思うので疑問がわくのであって「吉田のうどん」という独自の食べものと思うべきなのかもしれない。
極め付けは、福岡県民代表・篠田麻里子も「コシがあるうどんもおいしい。食べたっていう感がすごいありますね」と絶賛していたこと。大分県民代表・乃木坂46の衛藤美彩にいたっては、辛いのが好きだからと、「すりだね」を3杯も入れておいしいおいしいと食べている。
こうなると、猛烈に食べたくなってきたぞ、吉田のうどん!この秋のうちに、吉田のうどんを食べるためだけに富士吉田市に行ってみよう!最初の疑念から180度変わって、前のめりになる放送だった。
【文:境 治】
11月9日放送の「秘密のケンミンSHOW」では山梨県は富士吉田市で親しまれてきた「吉田のうどん」が紹介された。これが見るからにゴツいうどんだ。なんだか麺が太いしどう見ても硬そう。コシがあると言うよりきっと硬いにちがいない。うどんの柔らかさに敏感な筆者は直感的にそう思った。当然、番組としてはおいしいと紹介するのだろうけど、どうなのかなあ。少々不安な気持ちになる。
地元の人びとに例によって聞いていくと案の定、吉田のうどんのおいしさを主張するのだが、力点がやはり麺の硬さに置かれている。
「とにかく硬くてうまい」
と言うのだが、その硬さを
「しんぎりしんぎり」とか「シッコンシッコン」とか、奇妙な擬音で表現する。そんな言い方ではちっともおいしそうに思えないじゃないかぁ。
「バリカタなんてもんじゃない」
あのぉ、バリカタは福岡の長浜ラーメンで使う硬さの表現なんですけど。
「ここいらでは、富士は親父、うどんはお母さんだ」
富士山を誇りに思うのはいいけど、何言ってるかわからない。
「グリグリ硬めのヒモのような」
それだと逆にまずそうなんだけど・・・
吉田のうどんは富士吉田市のあちこちのお店、全60軒で提供されるそうだ。不思議なのが、なぜかどの店も普通のおうちにしか見えないことだ。近所のおうちにふらりと遊びに行ったら座敷にテーブルが並んでいてうどん屋さんだった、そんな感じ。
どのお店でもだいたい、茹でたキャベツと甘く煮込んだ肉が具として添えられている。この肉がなんと、馬肉なのだそうだ。
かつお節などでとった出し汁に醤油を入れるのは普通だが、そこに味噌を加える。ええ?!
そして麺は小麦粉を力強くこねたあと、冷蔵庫で二日間寝かせるという。だからコシが出るのだろう。それはいいのだが、その生地をふとーく切った麺を、食べる時には3分半茹でてすぐにお湯からあげてしまう。
えー???3分半しか茹でないの?あの太い麺を?そりゃあ"グリグリ硬めのヒモ"になるよね。うどんは茹でるものなのに。10分は茹でるのが普通でしょう。
そうやってできたうどんを山梨県民はおいしそうに食べる。おいしそうに食べてるけど、なんだか大変そうでもある。つるつるのどごしを楽しむより、噛んで噛んで体力をめいっぱい使って食べている。うーん、そんなことでおいしいのかなあ。
さらに途中で、何やら赤黒い調味料をうどんに入れてまた食べている。「すりだね」と言って、唐辛子と山椒ととゴマを混ぜた独特のスパイスなのだ。見るからに辛そう!
体力を使って噛んで噛んで食べるし、途中でえらく辛い調味料を入れるし、これでは苦行ではないか。
少なくとも、これはうどんとはまったくちがう食べ物だ。土地土地でちがうと書いたが、ちがいすぎる。全然ちがう。やわやわうどんが好きな福岡出身者としては、ちっともそそらない。
ところがスタジオに戻ってみのもんた以下、みんなが吉田のうどんを試食するのだが、口々にうまいうまいと言う。そして見ているとなんだかおいしそうに思えてくる。うどんだと思うので疑問がわくのであって「吉田のうどん」という独自の食べものと思うべきなのかもしれない。
極め付けは、福岡県民代表・篠田麻里子も「コシがあるうどんもおいしい。食べたっていう感がすごいありますね」と絶賛していたこと。大分県民代表・乃木坂46の衛藤美彩にいたっては、辛いのが好きだからと、「すりだね」を3杯も入れておいしいおいしいと食べている。
こうなると、猛烈に食べたくなってきたぞ、吉田のうどん!この秋のうちに、吉田のうどんを食べるためだけに富士吉田市に行ってみよう!最初の疑念から180度変わって、前のめりになる放送だった。
【文:境 治】
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