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テレビの疑問!番組リサーチャーってどんなことしてるの?その稼ぎは??

鈴木しげき 2019.04.18

『世界の果てまでイッテQ!』『人生が変わる1分間の深イイ話』『秘密のケンミンSHOW』……など、今、人気番組のほとんどには“リサーチャー”と呼ばれるスタッフがいます。

よく、番組がエンディングになる頃に流れるスタッフロールに「リサーチ ☓☓☓☓」という表記を見かけますよね? アレです。「☓☓☓☓」には会社名や個人名が入ったりしますが、その人たちがリサーチをして番組で紹介するネタを探しているのです。

今やネタ探し・ネタ選びは番組作りの根幹とも言える作業。リサーチャーなくして面白い番組は成立しない時代です。しかし、世間ではその仕事ぶりはあまり知られていません。

そこで、今回は人気番組を数々担当している売れっ子リサーチャーに話を聞いてみました。具体的な業務内容から、気になる稼ぎまで。リサーチというお仕事、たくさんのお声がかかればけっこう稼げるみたいです。

その仕事は話題の店や場所などのネタ探し、他にも……?

Aさんはリサーチャー歴20年以上の中堅さん。会社には所属せずにレギュラー・特番を常に10本以上は抱える売れっ子さんです。

――そもそも、どうやってリサーチャーになったんですか?

「もともと僕は『TVチャンピオン』という番組のアシスタントディレクター(AD)だったんです。この番組は、あるテーマに詳しいとかスゴ技を持っているとか、そんな人たちが真剣勝負を繰り広げてチャンピオンを決める番組なんですが、僕はその舞台となるロケ場所を探して仕込む担当でした。一方、選手たちを仕込んでいたのが大手のリサーチ会社です。その時にリサーチ業務を専門にやる会社があるのを初めて知りました。僕がロケ場所の仕込みが上手かったこともあって、先輩から“おまえ、ADよりリサーチャーの方が向いてるんじゃないの?”と言われたことがあります。自分でもそうかも、と。そこからリサーチャーの道に進むことになりました」

――えっ、リサーチってネット検索したり、図書館に行ってネタを集める仕事じゃないんですか!?

「もちろん、それもします。会議で出たアイディアに沿って行列のできる店や話題の場所などを探すことは基本です。それ以外にも、番組が望む“人”を見つけて仕込むこともリサーチの仕事です。要はテレビに出てくれる一般の人を探すってことです。リサーチ会社にも、情報を集めるのが得意な会社と、人物リサーチが得意な会社があって、僕は人を仕込む方が多いかな」

一方、Bさんはフリーでプロデューサーからリサーチまで幅広くこなす40代女性。どちらかと言えば、情報リサーチの方が得意だという。

――Bさんは何がきっかけでリサーチを?

「私も、もともとはADだったんです。けど、そのままディレクターになりたくなかった。なにせ当時のディレクターって怖いんですよ(笑)。理不尽なことも多くて。それで“もうイヤだ!”と訴えたら、だったらリサーチをやれと」

ADの手が足りないからリサーチャーが誕生した説が濃厚らしい

AさんやBさんのように、アシスタントディレクターからリサーチャーになった人はけっこう多い。なにせ当時のADさんは「キツイ・汚い・危険」の3K仕事でしたから、そこである種の見切りをつけた人が〈リサーチ〉という道に活路を見いだすわけです。

――Aさんに聞きます。駆け出しの頃はどんな感じで仕事してたんですか?

「当時はパソコンなんてありませんから、情報集めは新聞・雑誌・電話が頼りでした。そのため国会図書館や大宅文庫に通ってましたね。今はなくなりましたが、高田馬場の六月社にも。10万冊の雑誌が揃っていたんですよ。あと、当時はよく電話帳とにらめっこしてましたね。美空ひばりのファンを探すのに『ひばり』という店に電話してみたり。そうやって人探しをしてました」

――Bさんは?

「私の場合、商店会リストも必需品でした。片っ端から連絡を入れてネタにありつくという。個人情報とかまだ誰も気にしていない時代で(笑)。でもリサーチって番組のスタッフロールにクレジットもされませんでしたね」

正直、その役割を下に見ている人は多かったそうです。では、最初に〈リサーチ〉をクレジットした番組とは? Aさんが答えてくれました。

「『世界・ふしぎ発見!』だと言われています。あの番組って世界のふしぎをテーマにしたクイズ番組ですから、まだ誰も手を付けていないネタを探さなければなりません。それで30年以上も続いてますからね、スゴイです」

諸説あるようですが、リサーチと呼ばれる職業が成立するまでは、それらの仕事はどの番組も基本ADさんがやっていたようです。そこから主に調べものだけを担当していた人がスペシャリストとしてリサーチャーとなっていった、と言えるようです。

――Aさんに聞きます。ぶっちゃけ、リサーチャーの年収ってどれくらいなんですか?

「ピンからキリまでだと思いますが、情報を集めるリサーチと人物リサーチでは、もともとの単価が違うんですよ。昔、血液型別の大家族の様子を比較して見るという番組があって、そのために全員A型の大家族、全員B型の大家族、全員O型の……と、すべての血液型を揃えたことがあります。これなんか探すだけでも大変ですし、ましてや“テレビに出てくれませんか?”と説得するのは至難の業です。ま、なんとか説得しましたが(笑)。こういう仕込みをこなしていけば、それなりに稼げるかもしれません。人物リサーチの方が単価は高いです」

――大変そう。コツとかあるんですか?

「とにかく相手と仲良くなりますね。僕、人が好きなんですよ。おじいちゃんやおばあちゃんと話をするのも大好きで、親しくなってご飯に呼ばれたりしたこともあるくらいで(笑)。さっきの血液型別の大家族の企画ですが、大家族ってだいたい一人くらいテレビに出たくないって人がいるんですよ。年頃のお兄ちゃんとか。そんな時、仲良くなっていれば他の家族からお兄ちゃんを説得してもらったりして、それで話がまとまったり」

――なるほど。で、リサーチャーの年収は?

「忙しい人なら1000万超える人はいますよ」

ネタは生モノだ!新鮮でなきゃ意味がない!

リサーチャーの業務や報酬はだいたいわかりました。そんな中、Bさんがリサーチャーの役割をこんなふうに例えてくれました。「番組をレストランだとしたら、プロデューサーはオーナー。ディレクターは料理人。レシピを編み出すのは構成作家。で、食材探しをするのが我々リサーチャーです」なるほど、これはわかりやすい。

――では、リサーチの仕事をしていて喜びを感じる瞬間は?

「それはもう、こちらが探した食材をディレクターが美味しく料理してくれた時です。仕上がったVTRを見て、こんなふうに味付けしてくれたんだ! と感激することがあります。そういうスタッフと組んでいると、不思議とその後もいいネタが見つかりますね」

――一方、苦労や悩ましいことは?

「時間があまりない中で“とりあえず調べて”と言われることがあります。“昔、調べたものでいいから出して”と。けど、昔、調べたものをそのまま出すことはありませんね。リサーチャーなら、今どうなっているのかを必ず調べてそれを加えて出します。だから、それなりに労力もかかるんですよ。ネタは生モノですから」

リサーチは1、2…をくり返す仕事。達成感は少ないけど、人とつながるのが楽しい!

――Aさんに伺います。今後リサーチャーを目指す人たちにアドバイスなどあれば。

「じつはリサーチの仕事って、1、2をくり返す仕事なんですよ。ネタを渡したら、その後の3、4、5、6……はディレクター、作家、プロデューサーらが進めて、10のゴールとなった瞬間を我々はオンエアで観るという。そういう意味では“やったー!”という達成感を味わうことは少ない立場ですね。放送でネタが面白くなっていたら“ああ、ネタの魅力を最大に引き出してくれたな……”と胸を撫でおろします(笑)。けど、いい形で世に出たネタだと、そこでつながった人たちとその後もおつきあいが続いたりして、自分の財産になっています。僕、人づきあいが好きなんですよ。そこはこの仕事ならではの醍醐味かもしれません」

今や、ネットで検索すれば、多くのことがわかる時代です。そんな時代だからこそ、足で稼がなきゃわからない、つながってみなきゃ手に入らない、そんな情報が重みを持ってくるのでしょう。今後もテレビ界でリサーチの重要性は上がってくるはず。

話を聞くと、テレビ業界内にリサーチャーと呼ばれる人は100人ほどしかいないそうです。
興味を持ったアナタ、目指してみてはいかがでしょう。
ネット検索すれば、大手の会社がいくつか出てきます。けど、その先はアナタの行動力次第!業界トップのリサーチャーの話を聞いてそう感じました。
【文:鈴木 しげき】

執筆者プロフィール
放送作家として『ダウンタウンDX』『志村けんのバカ殿様』などを担当。また脚本家として映画『ブルーハーツが聴こえる』連ドラ『黒猫、ときどき花屋』などを執筆。放送作家&ライター集団『リーゼント』主宰。
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