30代半ばからの再出発。「シシガシラ」が見せる

2022.02.10

30代半ばからの再出発。「シシガシラ」が見せる
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互いに別のコンビを解散し、2018年に「シシガシラ」を結成した浜中英昌さん(37)と脇田浩幸さん(40)。それぞれ30代半ばからの再出発となりましたが、昨年末から東京・ヨシモト∞ホールの顔となる「ムゲンダイレギュラー」となり、TBSテレビ「ザ・ベストワン」、テレビ埼玉「いろはに千鳥」などでも話題となりました。21日には初のトークライブ「トルコキキョウ」(ヨシモト∞ホール)を開催するなど、まさに注目度急上昇中の二人ですが、その背中を後押しする先輩とは。



―もともと、お二人は別のコンビで活動されていたんですよね?

脇田:そうなんです。それぞれ別のコンビでやっていて、2016年に僕が解散したんです。解散後はアルバイトしかやっていない状況になっていて。

同じバイト先に先輩の「シマッシュレコード」の嶋田修平さんがいらっしゃって、今後の身の話も聞いてもらっていまして。確かに、何もしていない状態で「芸人です」というのはおこがましい。そして「辞めるのか?」と聞かれると、辞めたくはない自分がいる。

そんな中で、浜中もコンビを解散したという話を聞いたんです。自分が理想とする相方像に当てはまるし、自分なりにリサーチをすると、どうもコンビを組めそうな空気もある。これはチャンスだと思ったんです。

東京・中野にある美味しいステーキ屋さんに浜中を呼び出して、僕にしたらものすごく贅沢なディナーをご馳走したんです。僕の方が芸歴で言うと1年先輩にあたりますし。「どうなの?最近」というような話から始めて、よきところで「良かったらなんだけど、コンビを組んでくれたら」と切り出したんです。

そこで返ってきた答えが「すみません」と言う断りの返事で…。え、ステーキも食べさせたのにと(笑)。

正直、感触的にはほぼコンビを組むこと確定というか、そういう思いでステーキに誘ったんですけどね…。結成の打診ではなく、僕の中ではもう“固めの杯”というか「これから相方としてよろしく」という思いも込めてのステーキだったんです。

後から聞くと、浜中はポップな「EXIT」みたいなコンビを組みたかったと。そこにこのオジサンが来たので、さすがに違うと(笑)。
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(左)浜中 (右)脇田
―「EXIT」をイメージしていたなら、確かに対極ですよね…。

脇田:ただ、1週間ほど経って浜中から連絡がきて「お試しでやるのはどうでしょう」と言われたんです。そこからライブに出るようになって、良いネタもできてきて、周りの芸人からも「組んだらどう?」と言われて組むことになったんです。全くもって「EXIT」ではないですけど。

浜中:確かに、最初は断ったんです。でも、僕の中にも迷いがあったというか「ピンではなかなか売れないな…」というのがあったんです。それならば、コンビを組んだ方がいい。その思いでのスタートだったんです。

ただ、実際に組んで感じたのは「本当に組んでよかった」ということでした。組んで2カ月で「M-1」準々決勝までいって、分かりやすく組んだ意味を感じたといいますか。

脇田:僕は片思いみたいなことが成就したので、本当に良かったんですけど、そもそも、ほぼ芸人としての動きをしていなかったところから引っ張ってくださった方がいらっしゃいまして。それが「次長課長」の河本準一さんなんです。

浜中と組む前、本当にバイトしかやってなかった時に河本さんが僕のバイト先のバーにお客さんとしてたまたまいらっしゃったんです。僕らが超若手の時にMCをしてくださっていて、そのことがあって「あれ、お前、吉本の芸人やんな」となったんです。

「解散して今はバイトしかしてないんです」という話をしたら「芸人としての活動を何もしてないんだったらオレのライブに出ろよ」と言ってくださいまして。その場のノリかと思っていたら、本当にオファーをいただいてライブに出してもらったんです。

そこからもう一度、芸人の世界との接点ができて、浜中とのコンビになり、今に至る。もしそこで河本さんが誘ってくださっていなかったら、恐らくそのままフェードアウトしていたと思いますし、縁の力を感じた流れでもありました。

浜中:僕も個人的に感謝しているというか、すごく精神的な支えをくださった方がいらっしゃいまして。それが「しずる」の村上純さんなんです。

ほとんど接点はなかったのに、雑誌のインタビューで僕らをすごく誉めてくださったんです。「新しいインテリジェンスハゲ漫才だ」と。

そこから「東京03」の飯塚悟志さんとか「さらば青春の光」の森田哲矢さんらも「『シシガシラ』が面白い」と言ってくださって。

そういう誰もが認める方が「面白い」と言ってくださるありがたさはすさまじいですし、その端緒となったのが村上さんの言葉だったんです。

脇田:そういう方々にご恩返しする意味でも、もっと世に出ないといけないですしね。僕らで言うと、やっぱり「M-1」ですね。なんとか、優勝したいです。

浜中:武器としては、やっぱりハゲだと思っているんです。ハゲネタを極める。新しいハゲ漫才のために単独ライブも重ねています。

―武器であるハゲに磨きをかけるようなことはされているのですか?

脇田:特にケアはしてないんですけどね(笑)。ただ、組んで1年目くらいの時に浜中から「頭皮が光ってた方が面白いんじゃないか」と言われて、日焼け止めのジェルみたいなのを頭皮に塗って出たら、ものすごくスベッたんですよ。

浜中:あざとさが出たというか。

脇田:芸風的にもハゲをアピールするみたいな感じではなく、そこからの哀愁みたいなトーンでやってますからね。あまりにも頭皮が光っていると「誇ってるの?哀愁なの?」とお客さんが迷ってしまうのかなと(笑)。なのでね、もう、そこはナチュラルに、今はありのままの頭皮でやっています。
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■シシガシラ
1984年1月21日生まれで東京都出身の浜中英昌と81年10月23日生まれで鹿児島県出身の脇田浩幸のコンビ。浜中はNSC東京校13期生。脇田は同12期生。互いに別のコンビを解散し、2018年に結成。21日には初のトークライブ「トルコキキョウ」(東京・ヨシモト∞ホール)を開催する。

執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)

1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
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