お天気の業界用語いくつわかるかな?

2021.04.19

お天気の業界用語いくつわかるかな?
©ytv
それぞれの業界で、そこでしか通用しない独特な言葉、いわゆる業界用語ってありますよね。
テレビ業界では、銀座が【ザギン】、六本木が【ギロッポン】というのはよくネタにもされています。そして深夜0時のことを【てっぺん】、出演者の場所などをテープなどであらかじめマーキングすることを【バミる】などは、スタッフの皆さんは自然に使っているのをよく耳にします。


以下は、ウェザールームにいる気象予報士3人の会話です。
皆さんはいくつ意味がわかりますか?
A「この所、暖かいね~。大阪でもう桜が咲いたよ。これ①サイハヤじゃない?②テンソウに聞いてみて」

B「了解です。春なのに③ゴヒャク④ゴーパッパーも例年より強いですし、季節の進みが早いですね」

C「いま昼の⑤アデスがきたんですけど、きょうの大阪⑥211で週末は⑦302できてますね」

A「きょうは211よりも⑧100でいいんじゃないかな。⑨1円玉だな」

B「週末は2週連続ですよ~、春の⑩二つ玉は勘弁してほしいです」

C「とりあえず、きょうは⑪ナンコウホクテイで気温も高めと…」
画:蓬莱大介
いかがでしょうか?まるで暗号が飛び交う気象の現場。まず、わからないですよね。
でも実際にこんな感じで働いています。
では、順番に説明していきます。

①    サイハヤ…「観測史上最も早い」の省略。本来、最早(さいそう)という所をこう呼ぶ。ちなみに最も遅いは、サイオソと言う。
②    テンソウ…気象庁の「天気相談所」のこと。一般の人でも電話すれば天気のことを教えてくれる。気象予報士は過去のデータや統計を聞くことが多い。
③    ゴヒャク…500hPa高度の専門天気図のこと。
④    ゴーパッパー…500hPa高度の等高度線5880mのこと。夏の太平洋高気圧の目安とされる。
⑤    アデス…地域気象伝送網(Local Automated Data Editing and Switching System)の英語の頭文字をとってエルアデスやアデスと呼ぶ。気象台からの予報などがプリントされ届く仕組みのこと。基本的に4時半頃、10時半頃、16時半頃に送られてきて、それを参考にしながら、朝、昼、夕方の天気予報を伝える。
⑥    211…画面の天気マークにそれぞれ番号を振った天気テロップ番号のこと。211は曇りのち晴れ。
⑦    302…雨時々曇り
⑧    100…晴れ
⑨    1円玉…これ以上崩せない(両替できない)ことから、安定した天気のこと。
⑩    二つ玉…低気圧が日本海と太平洋を挟むように発生する気圧配置のこと。雨雲に挟まれて逃げ場なし、広範囲で天気が崩れるパターン。
⑪    ナンコウホクテイ…南に高気圧、北に低気圧がある気圧配置。高気圧のふちを回って暖かい南風が低気圧に向かって吹くため、日本列島は気温が上がるパターン。
プロフィール
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネットten.」「ウエークアップ」「a-yan」にレギュラー出演中。読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」を執筆。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
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