【高知県】「おきゃく」「返杯」「べく杯」「菊の花」とにかく飲む飲む高知の酒文化!

2024.04.08

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「高知の人間は朝から飲みゆうき」とレディが平気な顔で言う高知県。男性もだが、女性も負けじと酒豪が多い飲んべえだらけの土地柄だ。
「赤うなったことはない。酔いすぎて青はなるで。」「ぎゃははは!」と女子のみなさんも豪快な飲みっぷり。1人あたりのビール・発泡酒消費量も全国1位の、間違いない酒飲み県だ。それにしてもなぜ高知県民はこれほど酒を飲みまくるのか。

そこで高知で取材した。商店街の蒲鉾屋さんの女子は「1日1升は当たり前やきね」と豪語する。なぜそこまで飲むのか聞くと「高知県民は生まれた時から『おきゃく』に出るきね」と言う。その「おきゃく」ってなんだ?「人を呼んでワイワイ飲むだけのこと。」と言われても漠然としている。

別の高知県民が説明する。「高知にはおきゃく文化というのがあって、ワイワイ皿鉢(さわち)料理を囲みながら飲む風習が今でも根付いちゅうがですよ。高知の唯一の文化。おきゃくがなくなったら死んじゃいます。」って大袈裟な。でもちょっとわかってきた。宴会のことかな?
土佐の飲んべえが集まるひろめ市場で昼飲み中の土佐軍団に、おきゃくって宴会のことか聞くと「とは、違う」と否定された。違うの?
お客さんを歓迎するために飲む。」「おもてなしの気持ちが『おきゃく』」ほおほお、お客さんと飲むから「おきゃく」なんだ。
酒と皿鉢料理でお客さんをもてなす文化があり、それを「おきゃく」と呼んでいた。いまは皿鉢がなくても、お客さんをもてなす飲み会を「おきゃく」と呼ぶようになったのだ。

別の居酒屋でサッカーチームの送別会をやっていた。これは「おきゃく」ではないそうだ。忘年会も「おきゃく」とは言わない。冠婚葬祭の宴会は「おきゃく」、お祭りの打ち上げも「おきゃく」。つまり、不特定多数が集まるのが「おきゃく」で、仲間内で集まる普通の宴会は「おきゃく」ではないようだ。
今度は地元のバスケチームが他県のチームをもてなす「おきゃく」にお邪魔した。するとある男性が杯でお酒を一気に飲むと隣の男性にその杯を渡す。受け取った男性もお酒をクイっと飲み干してまた元の男性に渡す。そしたらまたお酒を・・・と同じ杯で二人でどんどん飲んでいる。これは「返杯」という習慣。年配の男性が説明してくれる。「飲んだら渡す、返杯。それを飲んだらまた渡して、返杯。また返杯。次も返杯。これを永遠に繰り返す!」って終わらないじゃないか!

別のお店でもやってるやってる、返杯!
しかも二人から杯を渡されてダブルで!「自分で手酌しない文化。手酌はダメダメダメって注ぐ。」「退屈させない。寂しくさせない。」
わかるけど、どんどん飲んじゃうよね。

今度はスナックへ行くとママさんが歌ってる。「ベロベロの神様は〜正直の神様よ〜」なんだこの歌?これは「べく杯」という遊びだ。
大中小3つのお面の形の杯を用意し、お面と同じ絵柄が描かれたコマを回す。
止まったら、表に出た絵柄の杯で、コマの取っ手の方向にいる人がお酒を飲むルール。ようするに飲ませる遊びなのね。
しかも杯には穴が空いていて置くことができず、一息に飲み干さねばならない。これはキツい!この遊びについて、高知女子は「また始まった、この怖いゲーム!」と言いつつ「結果楽しい!」と陽気に笑う。「結局やっちゃう。翌日しんどい。きゃはははは!」恐ろしいのは君たちですよ。

もうひとつ、「菊の花」という遊びもある。「菊の花〜菊の花〜開けて嬉しい菊の花〜」と歌いながら杯を開けていく。
菊の花が入っていたら当たりで、それまでに開けた全部の杯にお酒を入れて飲み干さねばならない。なんでいちいち過酷なのか。とにかくあの手この手で飲ませる文化なのだ。

一体いつから高知県民はこんなに酒好きになったのか。高知県酒造組合の竹村理事長によると、「千年以上前の土佐日記にも、紀貫之が土佐に来たら、みんな宴会ばかりしていた。土佐の飲み方を好きになって帰ったと書かれています。」千年前からかよ!

高知には9日間公園に集まって飲む「おきゃく」がある。
商店街では畳の上に置かれたコタツが見えないほど遠くまでずらりと並び、そこに座ってお酒を飲む。
路上酒盛りだ!「こじゃんちうまい!」と盛り上がる高知県民。普段から飲んでるのにわざわざこのイベントをやる意味もよくわからないが、とにかく飲む、ひたすら飲む、何がなんでも飲む県民だとよくわかった。そりゃあ、お酒に強くもなるよね。でもちょっと怖い!返杯、べく杯、菊の花!
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