安倍元総理の国葬、案内状が来たらあなたは参列する?しない?

『9月27日の国葬、あなたなら参列する?欠席する?』25日放送の『そこまで言って委員会NP』は「一歩踏み込んだ世界情勢」がテーマだったが、最初に扱ったのがこの議論。安倍元総理の国葬の案内状がもし自分に来たら、参列するか、欠席するかを論客たちに聞いたところ、意見は半々に分かれた。

丸田佳奈氏(医師)は「参列する」と回答。
「一般論として、法要のご案内状が届いたら、よほどのことがない限り欠席するのは失礼だと思う。」
一方、小倉智昭氏(タレント)は「欠席する」と回答し、強く主張する。
「安倍氏が国民のために何をやってくれたか、ずっと疑問に思っている。外交で実績を残したというが、 トランプ氏やプーチン大統領に何かやってもらえたか。何も結果が出てない気がする。アベノミクスの3本の矢は折れるし、悪いことが多い。そう考えると、国会で国葬を審議と言う前に、国葬はおかしいと思っている。」
田嶋陽子氏(元参議院議員)が賛同する。
「モリカケ問題では人が死んでいる。自分は小泉政権時に議員をやっていたが、その時も、桜の会のような招待があっても出なかった。」
「参列する」と答えた須田慎一郎氏(経済ジャーナリスト)が小倉氏に絡む。
「自分が葬儀に出席するかしないかについて、その人が過去にやってきた功績で判断するのか?」
小倉氏は「それもあるし、1番大きいのは自分との関係だろう。」と答えた。
須田氏が続ける。「自分もそうだ。安倍氏には私が司会をするラジオ番組に総理時代に出ていただいたし、いろいろな取材に応じていただいた。ここは義理を欠いてはいけない、 という気持ちで当然出席する」と語った。

小西克哉氏(ジャーナリスト)は「欠席する」と回答したが、考え方は同じだと言う。
「一国民として招待状が来たら、自分は別に安倍晋三氏と話したこともないし、出る義理があまりない。だからおそらく欠席する。ただ、自分がもし政治家であった場合、 同業者がああいう悲惨な殺され方をしたのだから、参加するのだろう。」
生前の安倍氏との関係が深かった峯村健司氏(青山学院大学客員教授)は少し違う観点で「欠席する」と回答。
「安倍元総理を個人的によく知っているし、お世話にもなった。だが気になるのがテロの標的になるのではないかという点。安倍氏銃撃時の奈良県警の警備状況、 そして今これだけ旧統一教会の問題で盛り上がっている。ある意味、テロが起こりうる教科書通りの状況だ。最近でも、国葬反対を叫んで焼身自殺未遂する人がでたりするなど、こんなにテロにもろい国はない。」
岡部芳彦氏(ウクライナ研究会 会長)は「参列する」と回答。
「暗殺された時はすごく衝撃的で、国葬になるのかなとイメージした。ただ冷静に考えてみると、前に国葬になった吉田茂は“バカヤロー解散”など、教科書にも業績がたくさん載っていて、映画化もされている。安倍元総理にはそこまでの業績があったのか。」
と言いながら面白いエピソードを語った。長いが紹介しよう。

「私は1度だけ安倍氏に会ったことがあり、感謝することがある。ウクライナ研究者目線でいうと、戦後、ウクライナに行った現職総理は安倍氏だけ。その点は個人的に業績だと思う。また10年前に自分がウクライナの国境警備隊博物館に行った時、急にセレモニーが始まり、旗のようなものを渡された。それは日本兵の遺品だった。抑留された方のものかもしれない。『これを日本の兵士の聖堂に返してくれ』と言われ、靖国神社のことだと思った。靖国神社に電話をして経緯を話したが、わかりにくい話なので要領を得ず、困っていた。この件をいろんなところで話したところ、安倍氏の秘書を紹介してもらえることになり、電話で話をした。すると10分後に、コールバックが来た。『安倍です』と。ご本人からだった。面識もないのでびっくりしたが、神社を紹介してくれた。結局お焚き上げで遺品を焼くことになったが、その前に旗をどうしても見たいと安倍氏が言うので、議員会館の部屋に持って行った。安倍氏は『よく遠いところからこの旗は帰ってきてくれた』と涙ぐんでいた。安倍氏には賛否両論あるが、この信念には好感を持った。だから案内状が来たら個人的には行くだろうと思う。ちなみに、招待状は来ていない。」
スタジオは少ししんみりしたが、ここで番組議長・黒木千晶アナが「この中で招待状が来た方はいますか?」と聞くと…誰も手をあげない。

竹田恒泰氏(作家)が説明する。
「国葬は政府主催なので各省庁がリストを上げ、それに基づいて招待状を出している。安倍氏に本当に近い方はすでに行われた葬儀に行っている。」
番組政策秘書・野村明大アナが「誰も招待状リストに載っていないのに、我々はなんでこんなに喧々諤々やっていたのか。」と言い一同爆笑した。

さてあなたに、もし案内状が届いていたら国葬に参列したかしなかったか。どんな気持ちになるのかを、想像してみるといいかもしれない。

【文:境治】