【元テレビマンが世界のTVを見る!】(たぶん)日本で初めて南米ウルグアイのテレビ事情について書いてみる

2024.01.25

テレビ局をやめて「南米ウルグアイでシニア海外協力隊として合気道を教えに行ってきます!」と言って飛び立った男性がいる。合気道五段の彼は今、日本の裏側で本当に合気道を教えている。また、彼は元テレビマンだけあってコンプライアンスや著作権の専門家でもある。そこで、今回はウルグアイのテレビ事情についてレポートをお願いしてみた。ウルグアイといえばサッカーだが、お国柄を反映して日本にはない工夫や魅力がテレビの中にたくさんあった!(読みテレ編集部)

議論好きな国民性、ウルグアイ版『そこまで言って委員会』がある!?

前回、サッカーの聖地センテナリオスタジアムを訪れた記事を自分のnoteにアップしたところ、古巣のテレビ局の先輩の目に留まり、『読みテレ』に転載された。

自分の記事がたくさんの人の目に触れるのは気分がいいものだ。
先輩からもお礼のメッセージが届いた。

で、最後にさらっと一言、
「テレビのこととか、知りたいですー」

世の中には人にものを頼むタイミングが異常に上手い人がいる。
そして、私は断るのが大の苦手だ。

というわけで、先輩の要望(命令?)に応えてウルグアイのテレビ事情について書きます。

▼ウルグアイのテレビ局

ウルグアイの首都モンテビデオ。私の家のテレビでは5つのチャンネルが映る。そのうち3つがいわゆる民放。1つが国営。残る1つがモンテビデオ市の公共放送(だと思う)。

まだスペイン語はよくわからないが、何となくテレビをつけて見ている。

▼ウルグアイの朝は…少し遅い

まあまあ年寄りなので、朝起きるのは早い。
起きてすぐ、午前6時過ぎにテレビをつける。
日本なら5時くらいから全局、朝の情報番組で埋め尽くされる時間帯だ。
でも、ウルグアイではやってない。

やってるのは、
・やたら丁寧な星占い番組(事前収録)
・厳かなキリスト教の番組(事前収録)
・MTV風音楽ビデオをひたすら
やたら丁寧な星占い番組(引用元:Canal 10)
要するに生放送はやってない。
ウルグアイ人って宵っ張りの傾向があって、晩御飯も夜の10時くらいに食べてるらしい。だから朝も遅いんだと思う。きっと。

▼ニュースは王道、正統派

午前7時くらいになって、ようやく2つの局でニュース番組が始まる。(残りの局はまだ音楽ビデオとか)
朝のニュースから(引用元:Canal12)
天気予報は大事なコンテンツ(引用元:Canai12)
ニュースはしっかり作ってる印象だ。ヘッドラインから始まり、天気予報、スポーツ、生中継もある。その点は日本とあまり変わらない。
女性キャスターの衣装がちょっと露出度高めなのを除けば。
露出多めの女性キャスター(引用元:Canai12)
あと、ずっとニュース番組中、手話通訳がついているのは日本よりも進んでいるかも。
ニュースの手話通訳(引用元:Canai12)
ちなみにこの手話通訳、CMが短い時は映り続けてて、その時は何もせずきまり悪そうにしてる。消してあげたらいいのに。

スポーツニュースはやっぱりサッカーがメイン、というかほとんどサッカー。これは、スペイン語初心者の私にもだいたい分かる。
サッカー人気は絶大(引用元:Canal12)

▼どこまで言って委員会?

他に目に付くのはいわゆる「トーク系番組」。討論番組やインタビューにかなりの時間を割いている。
政治はもちろん、サッカーの試合についてひたすら討論している番組もある。結構、声を荒げて激論している。
サッカーだけの討論番組(引用元:Canal5)
想像するに、これには二つ理由があって、ひとつはウルグアイ人が議論好きな国民だということ。そしてもう一つは「事前準備が少なくて済むこと」。日本だとトーク番組もセットに凝ったり事前準備をかなりするけど、ウルグアイはわりとシンプルに討論している印象だ。

▼夜はアルゼンチン?

そしてバラエティ。
夜になるとニュースの後でバラエティが始まる。各局、クイズ番組やリアリティー番組が流れていて、しっかりと作りこまれている。セットにもお金をかけているのだが…
実はほとんどが隣国、アルゼンチンの番組だ。
例えば今、カナル(チャンネル)10で毎日放送されている「Gran Hermano」というリアリティショー。ネットニュースをにぎわす人気番組だ。集団生活をしている男女が視聴者投票で一人ずつ追放されていくのだが、作っているのはアルゼンチン。だから投票の電話番号がスーパー(字幕)されるときにはウルグアイの電話番号が被せてスーパーされる。

▼大晦日は…

ちなみに先日の大晦日。
日本だと各局がしのぎを削って番組を放送するけど、ウルグアイでは大晦日の夜は生放送は全くせず、時々スタジオをはさみながら一晩中ミュージックビデオを流すという超お手軽な構成の番組だった。
ある意味、紅白歌合戦的ではあるが。
バックのCGは大晦日っぽい(引用元:Canal10)

▼実は頑張ってるウルグアイのテレビ局

こうやって見ていくとウルグアイのテレビ、あんまり頑張ってないように見えるかもしれない。日本の人からは。
でも、実はこれって結構大変なことなのだ。
というのも、ウルグアイの人口は340万人ほど。日本の静岡県と同じくらい。そこで得られる広告費は日本に比べたらはるかに少ないし、かけられる製作費や人件費も少ないはずだ。
その中で毎日、自分たちが作った番組をたくさん放送しているウルグアイのテレビ局。私は頑張ってるなぁと素直に思っています。
スペイン語はあまりわかってないけど(^^;


【KO-AIKI プロフィール】
関西のテレビ局を早期退職し、JICAシニア海外協力隊として南米ウルグアイで合気道を教えている男性。合気道五段。著作権やコンプライアンスの専門家でもあります。投稿は個人のものでJICAや元勤め先の見解とは一切関係ありません。
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