ytvSDGs×脱北ピアニスト 
初来日、”たった一度の演奏会”に密着!
「ピョンヤンから来たピアニストが送る平和へのメッセージ」

北朝鮮で「天才」と呼ばれた孤高のピアニスト
北朝鮮で「天才」と呼ばれたひとりのピアニストがいます。名前は、ファン・サンヒョクさん(49)。2014年、身の危険を感じ、スーパーエリートの人生を捨てて、単身北朝鮮を脱出しました。ピョンヤンに残した妻子の消息は不明。ファン氏は現在、韓国でひとり、ひっそりと暮らしています。私たちは今回、朝鮮半島問題の専門家、李相哲教授(龍谷大学)の招きで初来日したファン氏の演奏会に密着。ファン氏が日本で‘たった一度だけ’弾いたピアノに込めた「平和へのメッセージ」を皆さんにお届けしたいと思います。
(サステナビリティ部 山川友基)

演奏会は、2023年3月15日、大阪市中央公会堂(大阪市北区)で開催されました。中央公会堂は、1918年(大正7年)に竣工した国の重要文化財で、北朝鮮を脱北したピアニストの演奏会は、105年の歴史の中で初めてです。

盛大な拍手に導かれてファン・サンヒョク氏が登場。一礼の後、最初の曲として弾いたのは、「夜空のピアニスト」(リチャード・クレイダーマン)でした。名器・ベーゼンドルファー225とともにファン氏が奏でる旋律で、会場は荘厳な雰囲気に包まれました。

続いて、北朝鮮の楽曲を立て続けに披露。北朝鮮には「音楽政治」といわれる言葉があり、音楽は政治と直接結びつき、為政者の統治手段に利用され、音楽家は重要な役割を担っています。

演奏会の途中、ファン氏へのインタビューが行われました。北朝鮮の音楽事情や、脱北に至った経緯、さらに韓国での生活の様子など、ファン氏の言葉から想像を超える厳しい現実の数々が垣間見えました。

「自分が生まれてこなければ、妻子を苦しめることはなかった」。ファン氏の苦悩と怒り、悔恨の情が旋律とともに、観客の胸を打ち、心を揺さぶりました。楽曲は「明けないで、平壌(ピョンヤン)の夜を」。

フィナーレを飾る楽曲は「アリラン」。ファン氏が北朝鮮と韓国のアリランをミックスし、「統一アリラン」として編曲したもの。平和への想いと、夢を込めて、渾身のチカラと想いでメロディーを響かせました。

脱北ピアニスト「ファン・サンヒョク」さんの特集企画をご覧ください。

【動画】
「北朝鮮で生まれなければ…」北朝鮮“エリート”から一転…今も苦悩“脱北ピアニスト”波乱の人生【ウェークアップ】
(「ウェークアップ」3月18日放送分)