最近テレビで見なくなったけど、昔よく見たものって何ですか?

2018.05.03

世間のみなさんが今どんなふうにテレビを楽しんでいるかに興味津々の『読みテレ』編集部。
テレビを取り巻く状況が目まぐるしく変化している昨今、番組もまたその影響を受けて刻一刻と変わっていきます。『みなさんのおかげ』『めちゃイケ』の終了でテレビは今後、別のところを目指さなければならないという業界内の声もありますし、SNS時代に視聴者が求める娯楽の質が様変わりしたというのもあるでしょう。同時に、コンプライアンスへの意識の高まりも影響しています。只今、テレビは激変中です。

というわけで、今回はテレビの変化を浮き彫りにしてみたいと、こんなアンケートを取ってみました。「最近テレビで見なくなったけど、昔よく見たものって何ですか?」。

その答えを世間のみなさんから伺いながら、「テレビが役割を終えたもの」「今、テレビが担うべきもの」を探ってみたいと思います。早速、みなさんの意見を見てみましょう。

テレビで見なくなったものは姿を変えて今もテレビの中に…?

■ランキング系の歌番組

「昔の『ザ・ベストテン』は新幹線移動しながらの中継や、湖の真ん中でボートの上で歌ったりして面白かった。『トップテン』もセットにお金がかかっていた。けど今見たいかと言われたら、そうでもないかも……」(40代・女性)

「ランキングじゃないけど、今も放送されている音楽番組だとアーティストに曲に関する質問だけだったり、次々という感じで観ていて忙しい感じがする」(20代・女性)

昔のランキング系の歌番組はとにかく忙しかったですね(笑)。ま、あれが魅力だったんですが……。今も特番としてアーティスト勢揃い的な音楽番組は人気ですが、一方でじっくりと一曲を掘り下げる、ひとりのアーティストの魅力を深掘りする。そんな番組に変化していったと言えるでしょう。

■素人参加クイズ番組

「小学生の頃は大人になったら『ウルトラクイズ』に出たい! と思っていたが、番組がなくなっていて寂しかった。じゃあ今、出たいかと言われるとNOですね。リスクもあるし」(30代・女性)

「家族参加の番組など今放送しても面白そうだが、クレーマーが多い時代にやるのは難しそう」(50代・男性)

確かに家族で出場するクイズ番組は多かった。懸賞はハワイ旅行ですね(ふ、古い……)。今も東大生やその分野にカルト的に詳しい一般の人がクイズには出ていますが、これはもう素人というよりプロでしょう。クイズのプロ。今、一般の人がほのぼのとした雰囲気で出場しているのを見て喜ぶ視聴者も少なそうです。家族のほのぼの感は“街ぶら”番組で堪能できますしね。

■おっぱい・エロ

「親の立場になると子供への影響を考えてしまうので、おっぱいはなくていい」(40代・女性)

「子供と観ていたらリビングの空気が変になるだけなので、おっぱいはいらない」(50代・男性)

「日テレ『投稿!特ホウ王国』でエロが流れていて、それは決まって7時25分だった。25年以上たっているが、その時間をまだ覚えている」(30代・男性)

多くの親たちはテレビにエロ要素は不要という意見。一方で、独身男性の中には「少しくらいあってもいい」という声も。10代の頃にこっそりと観たドキドキ感が懐かしく思えるようです。ま、これに関しては、現状ネットがその役割を担っているのでしょう。過激なくらいに。では、テレビにエロ要素がなくなったのかといえば、イケメンの裸はやたら見る気がします。視聴者の要望が多いんでしょうね(笑)。

■コント番組、罰ゲーム

「とんねるず、ダウンタウン、ウンナン、ナイナイの『とぶくすり』を見て育った世代なので、難しいのかもしれないけどコントは観たい」(30代・男性)

「見なくなったもの、たらい落とし。なくてもいい」(20代・女性)

コント番組を惜しむ声はありますが、たらい落としのような身体を張ったもの、罰ゲーム、誰かをイジるだけの会話には否定的な意見が圧倒的でした。一方で、お笑い芸人が自らのネタで勝ち抜いて頂点を目指す、そんな番組はしっかり支持されています。「こっちのほうが気持ちよく笑えるし、優勝した芸人さんを応援したい気になる」(20代・女性)という声も。

■芸能人水泳大会、野球大会、大運動会

「野球大会では意外な人の運動神経がよくて感心した思い出がある。堺正章さんと井上順さんのお約束の乱闘コントも楽しみだった。このあたりのイズムはダチョウ倶楽部に引き継がれてるような気が(笑)」(40代・男性)

「水泳大会、今の時代のイケメン・美人さんの身体は見てみたい」(30代・女性)

テレビで見なくなったものの中で、今でも復活したら見たいという声が多かったのがコレ。確かに芸能人の意外な一面が垣間見られて、笑いあり、ちょいエロありで楽しめる要素は盛り沢山なのですが、今、あの当時のような人気者をズラリ揃えようと思ってもキャスト面で難しそう。運動神経のよいタレントはそれ自体を売りに活動していますし、水着になることでセールスを作り出しているアイドルはテレビでは服を着ている。と、考えると昔の『芸能人水泳大会』や『野球大会』って大らかなんだなぁと感じます。聖子ちゃんのようなトップアイドルもフツーに水着になってましたからね。あれが観られたのはラッキーだったんですね。

■その他

「UFOや心霊番組」(30代・男性)
「ワイドショーの中の生コマーシャル」(40代・女性)
「刑事ドラマの派手な銃撃シーン」(30代・男性)
「シーズン中よりもオフシーズンに活躍するプロ野球選手」(30代・男性)
「賞品のダイヤモンドとか…聞かなくなった気が」(50代・男性)

テレビは時代を入れる容器。今後は何が…?

すっかり懐古厨のようになってしまいましたが、この記事、決して「昔はよかった」と言いたいわけではありません。時代の変遷の中で、テレビが手放した役割がある一方で、いっけん見なくなったけど姿を変えて我々を楽しませているものも多く、「テレビは入れもの」なんだなと改めて実感させられます。時代を入れる容器。ヒトの求めるものは時代が変わっても根本的にはさほど変わらないと思いますが、それをテレビの中でどう提示するか、どう切り取るか、これはもう目まぐるしく変わっていく。

今、これを誤ると、観ていて「不快だな」とか「気分悪い」なんて感じますよね。
じつはテレビの影響力は以前より上がっているんじゃないかと個人的に思う時があります。みんなが多様な暮らしをしている中、テレビには共通した何かを求めていると感じるからです。なので、不快なものが流れてくると“自分ごと”として、また“社会的”にも拒みたい。受け流せなくなっていますよね。

そんな中、『イッテQ!』や『池の水ぜんぶ抜く』は、いいトコ突いてる。こういう番組はテレビ界全体のヒントになってます。今後どういう番組が望まれているか、の。
あなたも面白い番組を観たら、つぶやくなり書き込むなりしてくださいね。
それもヒントになりますから。
【文:鈴木 しげき】

執筆者プロフィール
放送作家として『ダウンタウンDX』『志村けんのバカ殿様』などを担当。また脚本家として映画『ブルーハーツが聴こえる』連ドラ『黒猫、ときどき花屋』などを執筆。放送作家&ライター集団『リーゼント』主宰。
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