今年の梅雨は要注意!

2021.05.24

今年の梅雨は要注意!
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西日本、東海地方は、平年より約3週間早い梅雨入りの発表がありました。
梅雨明けはどうか?!
そのまま3週間早くズレるかというと、…そうではありません。

おそらく7月になってからとなりますので、長梅雨というわけですね。
とはいえ、今年は全体的に季節の進みが早まっているので、多少は平年より早めに梅雨明けするのではないかと個人的には予想していますが。

さて、なぜこんなに早く梅雨に入ったかというと、梅雨入りの情報は、季節のお知らせだけではなくて、大雨シーズンですよという意味合いもあります。
今年は5月のうちから雨の日が多く大雨になりやすいため、「梅雨のはしり」を通り越して、いきなり梅雨本番となったのです。

ちなみに、梅雨明けの情報も、季節のお知らせだけではなくて、真夏の猛暑シーズンですよという熱中症に対する注意喚起の意味合いもあります。
画:蓬莱大介
今から6月が本格的な梅雨ど真ん中になってくるわけですが、今年、大雨から命を守るための情報が新たに変わったので、改めてポイントを整理しておきます。

① 警戒レベル情報が変わる

避難するかどうかの目安、避難勧告・避難指示。この違いが分かりづらいとの指摘から、避難勧告はなくなり、避難指示に一本化されました。
なので、お住まいの市区町村から警戒レベル4の避難指示が出るような時は、ただちに安全な場所に身を寄せて下さい。自宅が土砂災害や浸水のリスクがあるようであれば、指定された避難場所へ。リスクがなければ自宅の安全な場所で過ごして下さい。リスクがあるかどうかは、事前にハザードマップで確認しておきましょう。
(ハザードマップとは、過去の災害を参考してどこにリスクがあるのか詳しく描いた地図)
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② 集中豪雨をもたらす線状降水帯の発生情報をお知らせ

狭い範囲で大雨が降りやまない線状降水帯。これが発生すると高確率で大きな災害が発生します。この発生情報を、速報的に気象庁が6月中旬から始めます。
今の技術では、発生してからでないとわからない線状降水帯。2030年までには半日前の段階で予想できるようにし、大雨被害を軽減すると気象庁は目標を立てています。その第一歩が、6月から始まる線状降水帯の発生情報です。
これが自分の地域に発表された場合、土砂災害や河川の氾濫の危険性がかなり高くなっていると考えて、ただちに命を守る行動をとって下さい。
この情報について注意点があります。
線状降水帯の発生情報がなくても、大雨で災害は発生するので、待っていてはいけません。また、100%捕捉できるわけでもありません。
つまり、この情報はあくまで参考情報です。ご自身で念のための早めの防災行動が大切です。


次は、新たに防災情報は変わっていないですが、改めて情報整理しておきましょう。

③ 警報と特別警報

警報とは、その場所の過去の災害を参考にし、雨量、風速など基準を決めています。その値に達した時、もしくは達する予想の時に警報は発表されます。警報とは「学校休みだ、ラッキー」という意味ではなく、「人が死ぬかもしれない状況」という意味です。
雨が止んだ後も、警報がなかなか解除されない場合がありますが、それは、土の中の水分が抜けるのを計算したり、河川の増水が遅れて上がってくることを計算していますので、警報がきちんと解除されるまでは危ない場所には近づかないで下さい。

特別警報とは、警報の基準を超えて、超えて……、その場所で50年に1度レベルでしか起きないような気象状況の時に発表されるもので、それが発表された段階では「すでに自衛隊が出動するレベルのことが起きている」恐れがあります。
特別警報は、いわばサバイバル状況で出るものなので、様子を見る段階ではありません。
ただちに命を守る行動をとって下さい。
避難所に行けるなら避難所へ。自宅が安全なら自宅で。避難所以外にも親戚や友人宅に、もしもの時は頼れるように事前に相談しておくのも手です。


防災情報ポイントを3つ紹介しました。
今年の梅雨は大雨になりやすい気圧配置です。最新の天気予報をこまめにチェックして、それぞれが正しく防災行動をとって頂ければと思います。
プロフィール
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネットten.」「ウエークアップ」「a-yan」にレギュラー出演中。読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」を執筆。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
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