こんなおでんも、おでんなの?青森・長崎・沖縄、ケンミン熱愛おでん祭り!

2019.03.01

2月28日放送の「秘密のケンミンSHOW」では、日本各地のおでんから特に独特の具と味付けがおいしいものを紹介。ケンミン熱愛おでん祭りと題して盛り上がった。まだまだ寒い夜にじーんと沁みこむおいしそうなおでんを1時間楽しんだ。

最初に登場したのは、青森県民が熱愛するおでん。まず謎めくのは、タレだ。普通、おでんは出汁と一緒に味わうものだ。だが青森おでんは出汁をあまりよそわない。ほぼ具だけを器に入れて謎の濃い茶色のタレをかけるのだ。これはしょうが味噌、そのうまみを楽しむのが青森おでんなのだそうだ。出汁は脇役に過ぎないので、醤油などの調味料を入れずに超あっさりに仕上げるという。

さらに具も独特。まず目を引くのはつぶ貝だ。陸奥湾で獲れたつぶ貝を、肝の味をトロッと楽しみながらしょうが味噌で食べる。それにやけに細長い具は、根曲がり竹。さらに妙にうすーいさつま揚げ、大角天。他県では見られないオリジナルな具が使われている。
青森のおでん、変わってるなあと感心していると、次に紹介された長崎のおでんにまた驚いた。街をゆく長崎県民マダムにおでんについて聞くと・・・
「たまごに、大根、あとかまぼこ」と言う。・・・かまぼこ?
そう、長崎おでんのメインの具は、彼らの言う「かまぼこ」なのだ。ただこのかまぼこは、板についてる紅白のあれではなく、練り物のことをそう呼ぶ。多種多様な「かまぼこ」が長崎には存在し、それを煮て楽しむのが長崎おでんなのだった。

だから鍋のふたを開けると、一面茶色。バリエーション豊富な練り物で埋め尽くされている。茶色を食べるのが、長崎おでんの醍醐味だ。定番は、イカ天。円形の練り物の中に刻んだイカが入っている。さらに謎の球体は竜眼。ゆで卵が練りこまれていて、二つに切ると竜の目のようだとこの名になったそうだ。
長崎おでんの特徴はもう一つ、甘いこと。出汁が甘く、練り物が甘い。アゴ出汁にみりんと、砂糖をこれでもかと入れる。おでんが甘いと言われてもピンと来ないし、おいしそうにも思えないのだが、酒とともにうまそうに食べる長崎県民を見ていると、一度食べてみたいものだと思う。

最後は、沖縄のおでん!沖縄にもおでん、あるのは知らなかった!だが鍋に盛られているのは緑色の謎の野菜やウインナー、崩れかけたような得体の知れない肉も入っていて、怪しい。これ本当におでんなの?

沖縄おでんの老舗「東大」に取材すると、おでんを煮込む大きな鍋に仕切りはない。どこに何があるのかわからなくなりそうだが、これについておかみさんは
「そうですねえ、捜索願を出さないといけないものがあって、探し続けて26年程経ってます」と、面白いことを言う。
お客さんに出されたおでんを見てみると、得体の知れない肉は豚足煮込みだとわかった。沖縄では“テビチ”と呼ばれて親しまれている食材だ。ぷるぷるに煮込んだこのテビチをちゅるちゅる食べるのが、沖縄おでんのメインのようで、
「テビチは飲み物!」と言い切るウチナンチュもいるほどだ。
そして一番気になった謎の緑色の野菜。常連のお客さんに、この野菜は何なのか聞いても堂々と
「わからない」と答えるだけ。メニューにも“葉野菜”としか表記されていない。なんかざっくりしている。これは複数の野菜の総称で、レタス、からし菜、白菜を混ぜて使うのだそうだ。

さらに、串に刺したハツ、砂肝、セセリなど焼き鳥的な具が煮込まれて出てくる。テビチやウインナーを含めて肉がおでんの主役なのだ。そしてさっきから気になるのが、練り物が登場しないこと。そう、沖縄おでんは、長崎おでんでは主役だった練り物をまったく使わないのだ。それが同じおでんという名称でいいのだろうか?

こうして見ていくと、各県で独特のおでん文化が育まれ、まったく別々の食べものとして歩んできたことがわかる。そこがまた、面白い!あなたが食べてるおでんも、他県民から見ると「そんなおでんあるの?」と驚かれるかもしれない。などと感慨に浸りながら、今夜はおでんで一杯やって、身体を温めたくなってきたなあ。

【文:境 治】
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